
北の街でランチをやっている鮨屋は多いが、ビジネス街で週末にランチ営業している店は貴重だ。週末に人と会う時にはよくこの店を使うのだが、個室があるので密談向きなのだ。
本店は昔から、夜の遅い時間にお世話になっているが、昼時であれば駅前通り沿いにあるこの店を使うことが多い。意外と外人観光客が押し寄せてこないところも気に入っている。近頃では珍しい喫煙可能店なのだが、思いの外タバコの匂いはしない。

ランチセットは実に大盛りな組み合わせで、まずは茶碗蒸しとそばが出てくる。これがアペタイザーらしいのだが、これまではランチセットを頼んたことがないので、このボリューム感は知らなかった。

ランチセットは松竹梅があるのだが、値段とともに鮨の貫数が増えるので、松を頼むと食べきれない量になる。おまけにシャリ玉も大きめなので、よほど腹ペコでない限りは竹で十分だ。
昔は松竹梅の梅(つまり安い方)を頼むと、鯖とイカとタコが入っていた。好物のネタを食べるには松とか竹を注文してはいけなかったの。その記憶を頼りに、とりあえず安いセットものを注文してイカとサバをゲットし、そのほかに食べたいものがあれば単品追加をしていた。
今回も竹を頼めばイカやサバくらいは入っているものだと思っていたら、何とどちらも見当たらない。おやまあ、鮨ネタのランキングはとうなってしまったのだろう。
北の街来てまでわざわざマグロを食べる気もしないし、かといってサーモンは鮭とは違い、すでにほぼ完全輸入食材だ。日本中どこで食べて同じ気がする。マグロとサーモンが主役とは、地元民にはあまり気にならないのだろうけれど、こちらにはおおいに気になるネタの組み合わせだった。食べるのであればイカと鯖は追加注文するしかない。
時間をかけて完食したが、予想通り動くのが嫌になるくらいの満腹感だった。追加など考えたくもない。おまけに、何と食後にコーヒーが出る。鮨にコーヒーねえ、と思いつつも初めて鮨屋でコーヒー飲んでみたら、意外と本格的なものが出てきた。酸味が強いのでモカが多めのブレンドらしい。このコーヒーのこだわりはすごい。が、鮨の後に残る味としては微妙な感じもする。ただ、これが北の街ではビジネスランチとして成立しているのだ。うーん、なるほどね…………という感じがした。
たまには好きなものを食い散らかすのではなく、定番ランチを試してみるのもお勉強になるなと思った。でも次回はランチセットではなく単品注文するぞ。