
お江戸の周りではほとんど見かけない「キャンベル」と言うブドウがある。小樽周辺ではこの葡萄を栽培する一大産地があるので、地元では一般的な葡萄だ。糖度はとても高い。巨峰などの大粒ブドウよりよほど甘味があると感じる。(糖度を測ったわけではないのであくまで感覚的なもの)
このブドウを使ってワインが作られているのだが、仕上がりがちょっと甘めというか,ワインというより葡萄酒という言葉が似合う。ワインは葡萄で味が決まるのだが、ヨーロッパ系のワインとは随分と違っている。
甲州や信州でも地元特有の葡萄を使ったワインが製造されているが(こちらが日本ワインの本場だ)、出来上がったワインは酸味がキリッとしたヨーロッパ系ワインに近い味がする。
ワイナリーの社長に聞いた話だが、同じ品種でも土地によって葡萄の味は微妙に変わるそうだ。だから、いくつかの畑で取れた葡萄を使って原酒(原ワイン?)を作り、それをブレンドすることで味に幅を持たせる。フランスのボルドーなどは、数ある名シャトーでそのブレンド技術が一子相伝みたいなものになっているらしい。
だから、このキャンベルという葡萄を使ったワインも、もう少し幅が広げられるのではないかと、ずっと思っていた。
葡萄の栽培はまさに惜しげもなく人手を投入することが必要な農業らしいが、生の葡萄を売るのではなくワインに加工することを起点として、高付加価値を生み出す「新型農業」の取り組み方にかえられないだろうか。
最近では夏の気温上昇のせいで、本州の葡萄産地がじわじわと北上しているが、そのため北海道で葡萄栽培をはじめるワインの作り手も増えている。
生の葡萄であれば、移送の問題(移動中に粒が落ちてしまう)がある北海道は首都圏向け販売には不適地になる。キャンベルがお江戸で食べられないのも、まさにそれが原因だ。だが 、ワインという加工品にすれば輸送問題は心配無用になる。
どうも葡萄農園も跡継ぎ問題が深刻なようなので、一時期はやったクラフトビールで町おこしより、カリフォルニアのワイナリー的に6次化された農業・工業・商業複合体ビジネスを北の大地で生み出せないものかと思った。
農業福祉連携法人にして、社会的弱者の自立支援と徹底した機械化による効率追求を合わせて行う。収益あるビジネスにして永続化させる。補助金で持たせるのではなく、儲かるから続けられるというのが重要なポイントだ。ちなみにカリフォルニアのワイナリー経営は社会的経済的に大成功した「成り上がり者」が目指す最終ゴールらしい。日本の金持ちも、北海道でワイナリーを持つという夢・理想を抱いてくれないかな。
何を食べても酒がらみのビジネスしか思いつかないというのは、我ながら呆れてしまうが、地域おこしというより北海道という土地だからできるビジネスとして大規模ワイナリーを……………という妄想をしてみました。