
キャンプでは輸入肉のステーキを食べるのが楽しみの一つだ。赤身の肉を焚き火でじっくり炙るというのは、まさに最高の調味料になる。はずだったが、今回の食材調達に入ったスーパーで「プルコギ」用の味付け肉が売っていた。普段であればあまり口にしない脂身の多い牛肉だが、頭の中にあの甘辛いチープな焼き肉のイメージが浮き上がって来て……………結局、しょうもない衝動買いをしてしまった。
豚の細切れ肉というのは普通に肉売り場で見かけるが、牛の細切れ肉、それも脂身多しというのは目にすることが少ない。それが味付き、タレ付き加工肉になっているのだから、なんとなく肉屋のロス対策という匂いがプンプンする。まあ、それでもチープな美味さを否定する気もないので、えいっと3人前はありそうなパック肉を買ってしまった。

ニラ玉を作った残りのニラを大量に投入してみた。玉ねぎも追加したのは、やはり牛肉とのバランスを考えてだ。

まずニラと玉ねぎをいためる。ニラは火が入るとあっという間に量が減っていく。玉ねぎには全然火が入っていないが、そこはあっさり無視する。仕上がるまでには熱が通るはずだ。

ニラ玉ねぎの上に肉をドンと乗せる。しばらく蒸し焼き状態をたもつ。この時、むやみやたらに掻き回さない。どちらかというとニラが軽く焦げるくらいまで放置する。味付き肉なので、ニラと玉ねぎにタレの味をなじませる。

しばらくしたら、下のニラをひっくり返すように肉と混ぜ合わせて火を通していく。牛肉ではあるが、味付け肉だし完全に火が通るまでよく炒める。

プルコギなので、地元の酒マッコリを用意すれば良いのだろうが、そこまでの根性もない。代わりに持って来た濁り酒と合わせることにした。会津若松で買って来たもので、お江戸界隈では珍しい酒だろう。クーラーボックスで冷やしていた。冷えた濁り酒はアペタイザーと合わせると良いと思う。

大根のつけもの(キムチ味)をつけ合わせて、プルコギ定食風に仕上げてみた。肉は予想通りの、甘辛で脂多め。一口食べると口の中が濃厚な味で一杯になる。そこで、大根の漬物を一口、辛味とニンニク風味がプルコギの濃い味付けを違った意味で中和する。そこに濁り酒をグビリとやれば、これまた濃厚な米の味と甘さが脂分を洗い流す。あとは、このプルコギ、大根、濁り酒の無限ループになる。
チープな焼き肉はうまい。肉は正義なのだ。仕上げに白飯を食べたくなるが、そこはキャンプ飯なので後回しになるのはしかたがない。この肉を食べ終わる頃には、すっかり陽が落ちてしまった。早い夕飯になるが、キャンプの夜はここからが本番。(いつもだと……………)