
山田太郎という麺専門店では、定食メニューも存在する。サイドメニューである唐揚げや餃子を定食にして販売している。ただし、これはあくまでも麺業態の余儀であり、飯屋(丼飯とおかずの組み合わせ)になるつもりはないはずだ。
飯屋はすでに本業の山田うどんが、麺類専門店から定食+麺の店に転換して、おまけにうどん屋なのにラーメンを投入した業態変革を完了している。店名も「山田うどん」から「山田うどん食堂」になっている。個人的に見る限りでは、埼玉の最強定食屋ではないか。
その山田太郎で、微妙なサイドメニュー主役争いをしているのが餃子と鳥の唐揚げだ。どちらも人気商品だが、餃子のメリットは原価が低く抑えられるが調理時間が長いこと。唐揚げのメリットは調理に時間がかからないことだ。

唐揚げの完成度はかなり高い。一般的に鳥唐揚げもも肉を使うことが多い。もも肉に生姜やニンニクなどを使ったタレに漬け込み味付けを施し、ボール状の肉塊をあげる。ただ、衣になにを選ぶかで食感はだいぶ異なる。そのあたりが、店のノウハウということになるのだろう。この店では比較的薄い衣でさっぱりとした感じになっている。
面白いのは唐揚げ単品を注文しても盛り合わせに野菜がついてくることだ。マヨネーズも付いているが、これは野菜向けではなく唐揚げ用調味料だと思われる。さて、この唐揚げと餃子、どちらがサイドアイテムの勝者なのだろう。値段は唐揚げ一個、餃子3個、どちらも140円という手頃な設定だ。実食した結果として、個人的には唐揚げが優勢になりそうな気がする。
複雑なメニュー構成を持つ町中華と比較的絞り込んだメニューで運営できるラーメン専門店では、オペレーションに求める基準が違う。専門店であれば、より単純な工程でできること、調理時間が短いことが重要だ。町中華であれば食数を稼げる低原価アイテムの存在が必須だろう。
餃子の王将が店内手作りにこだわっていたのは、この低原価維持にあったのは間違いない。(すでに餃子は手作りの方がうまいというのは伝説だろうと思っているので)

埼玉の町中華である満州は、店名にある通り餃子推しのブランドだ。基本的に全てのセットに餃子がついてくる。注文する客もそれはわかっている。餃子と合わせて食べることを前提に味付け、レシピー設計されているのだろう。
肉もりもり系のメニューが少ない。豚生姜焼きくらいしかない。チャーシューメンはあるが、チャーシュー単品は存在しない。つまり、肉を食いたければ餃子だよ、と暗に言われているのだ。牛肉を使ったメニューもない。昨年には好物だった鳥唐揚げも廃番にされてしまった。(これは悲しい)
つまり、山田太郎とは全く異なる方向感で、餃子専門で唐揚げなしのブランドとして構築されている。月替わりメニューも基本的には野菜が主力の料理になっている。
実に戦略的なメニュー企画、商品開発だろう。町中華でありながら、極めてファストフード的発想でメニューとオペレーションを組み立てている。業界の教科書的存在だろう。
コロナを乗り越えた外食企業の戦いは、値上げと客数減少の防止という二律背反する課題を解決することだ。次の生き残りステージでは、勝ち組同士が激突する。(コロナで生存失敗したブランドはそろそろ淘汰が完了するので)
それを横から観察するだけというのは、楽しいのか悔しいのか、ちょいと微妙だけれど。