食べ物レポート, 旅をする

佐渡の鮨は回っているか

新潟でおすすめの鮨屋はと尋ねたら、この店を勧められた。佐渡の魚を食べさせる回転寿司屋だった。人気店なので、1時間待ちも当たり前らしい。ということで、夜のピーク前に出かけたが、すでにカウンターには3組いて、ボックス席もほぼ埋まっているようだった。注文はタッチパネルだが、その中に佐渡沖の魚コーナーがある。なるほど、確かに佐渡の鮨屋らしい。
日本酒はカップ酒での提供で、よくみると佐渡の酒蔵限定のようだ。とりあえず一番名前の知れたブランドを注文してみた。記憶にあるより遥かにうまい気がするのは、店内に漂ううまそうオーラのせいだろうか。

鮨の前に何かつまみにと思ったら、刺身盛り合わせというのがある。一人前でも注文できるので、それを頼んで見たのだが、なんともコスパの良い一皿が登場した。居酒屋でもこの値段では無理だろうという低価格だった。

「自家製」の言葉に惹かれて追加で頼んだイカの塩辛は、塩味控えめで胃パン的に売られている製品特有の「塩辛い」感じがしない。イカの味を感じる逸品だった。これだけでも買って帰りたい。
福岡で有名な行列のできる天ぷら屋も、自家製塩辛を販売していた。天ぷら定食はネタの組み合わせで何種類かバリエーションがある。券売機で食券を買うスタイルの店だが、その券売機の一番目立つところに、「塩辛」のボタンがある。かなりの客がテイクアウト用に買うのだろう。店内では卓上に塩辛が置いてあり、天ぷらと共に楽しめるようになっている。ご飯の上にたっぷり塩辛を乗せて食べる客が多い。あの塩辛は記憶に残るうまいさだが、それに負けずこちらもうまい。塩辛の名品だった。

一通り酒を楽しんだ後、一気に握りタイムに突入する。まずは絶対定番であるイカからの発進だ。普通にうまい、という一段上のうまさだった。イカの甘さ、ねっとりとした歯触りは文句なしだ。

鯖も締め具合がちょうど良い。シメサバは鮨屋によっては酢がきつすぎることがある。大手チェーン回転寿司の店では美味いシメサバに会うことは全く期待していない。この店の鯖は「うまし」だった。

地元ネタということで佐渡沖の魚をいくつか堪能した。好物の鮑は当然だが、予想外の美味さに感動したのがアジだった。好みによっては、ノドグロやブリを注文する人も多いだろう。佐渡沖の魚を楽しむだけでも来た甲斐があった。

二杯目には初見の佐渡の酒を頼んだ。これもまた特徴のある酒だったが、魚にはよく合うような気がする。小一時間の滞在で、会計を終え店の外に出たら長蛇の列ができていた。
観光客も多い場所だろうが、どうも地元民、特に若い世代の方に支持されているようだ。確かに、このレベルが回転寿司で食べられるのであれば、居酒屋に行くよりよほどよさそうだ。新潟に住み人たちは幸せだなと、かなり本気で羨ましくなってしまった。良い店でした。

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