旅をする

会津若松駅の光景

会津若松に来たのは、仕事を含め7度目か8度目だ。自動車旅の途中で寄ったこともあるが、大抵はJRを使った移動にしている。来るたびに駅の中が変わっている印象があるが、外回りの景色はあまり変わらない。
特徴的だと思うのが、駅前の駐車場がガラガラだということだ。パーク&ライドという使い方はされないようだ。会津市内完結型のビジネスマンが多いのか、あるいは郡山市や福島市までは自動車移動するからなのか。多分、車移動が中心なのだろう。駅前のバスの発着も目立たない。

その静かな駅前に立つホテルによく泊まる。駅近が理由だが、最近は駅前の反対側に全国チェーンのホテルも立っているので、ホテル間の競争が激しいようだ。それでも利用するのは、毎回この少し古びたホテルだ。
そのホテルの一階に喫茶店があり、どうやら夜になるとお酒が飲めるようだ。たまたま到着した午後の時間帯は準備中の札がかかっていた。夕方になると、軽い居酒屋的な営業に変わるのだろうか。

店頭のガラス窓に貼ってあったのは不思議なポスターだった。大丈夫、間に合います。とはどこかで聞いたようなセリフだが、確かに飲み始めてから終電者までの発車時刻が書かれある。飲み始める時にお店の人に一声かけておけば、乗り遅れることもなさそうだ。終電は午後9時台なので、ちょっと急ぎ目で飲む必要はある。
今回の目的である只見線の発車時刻を見ると、なんといきなり19時台まで乗車できない。午後6時に仕事が終わると、1時間半ほど時間を潰さなければならないのだ。これでは通勤に使うはしんどいかもしれない。
なんだか自分の高校生時代を思い出した。いささか交通の不便な場所に住んでいたためJRの運転本数が少なく、時間帯によっては1時間半から2時間ほど駅で時間待ちをすることがよくあった。それを思い出したのだ。
今では10-15分間隔で運転している近郊通勤線だが、当時はローカル線の極みで、朝の通勤通学時間だけは1時間に2-3本運行する。あとは2時間間隔みたいな運転で隔世の感がある。陸の孤島に住んでいるという感じがあったし、こんな間引き運転しかできないJR(当時、国鉄)は解体されるわけだと思っていたし、恨んでいた。が、今でもそれと変わらない状況があちこちのローカル線にはあるのだ。
ローカル線の運転本数が少ないのは、鶏と卵みたいな関係があると思う。運転本数が少ないから不便で乗らなくなる。乗らなくなるから儲からないので運転本数を間引く。この繰り返しでローカル鉄道は滅びていく。負のスパイラルだ。

そんなローカル鉄道の「観光客誘導作戦」が鉄道むすめというキャラ立てプロモー^ションだが、これは「乗り鉄」の一部には好評らしい。御朱印巡り旅の現代版として、もっと活用されても良いのではと思うが。確か三陸鉄道のキャラが、人気があるというニュースを見た記憶がある。
会津鉄道はなかなか乗車難度が高い路線だが、一度乗ってみたいものだと改めて思った。少なくとも路線名だけでは記憶に残りにくいが、こういう目立つキャラと合わせ技で覚えてもらうというのは、ブランド確立のための基本手法だろう。
そういえば会津鉄道は。猫の駅長さんでも有名だったか。このお嬢さんが手に持っているのは鉄印帳だろうなあ。今更、この魔の誘惑「鉄印の旅」に乗せられてはいけない。

只見線全面運転再開はニュースにもなっているし、旅番組などでも度々放送されている。お盆を過ぎて少し暇になったと思って乗りに来たのだが、なんと高齢者の乗客が多いことに気がついた。
ちなみに、会津若松駅は只見線の始発駅だが、終点の小出駅まで行くのは、一日3本しかない。早朝、午後、夕方の3本だ。だから、沿線の景色を楽しもうとすると、朝一の始発、あるいは午後の便しかない。ところが午後の便は、小出についてからの移動がちょっと不便になる。小出駅がある上越線も、なかなかのローカル線なので、小出から長岡・水上間の運行本数が少ない。必然的に朝一の始発に乗る「高齢者客」が多くなるのだろう。ただ、そのためには会津若松に前泊しなければならない。

会津若松駅では、伝統的なキャラである「会津地方の牛」の像がお出迎えしてくれるのだが、今回は新キャラが増えていた。見た目は同じ赤い造形だが、どうやらこれはトマトのキャラらしい。やはり、宣伝はキャラ全盛時代なのだ。
郡山から磐越西線で会津若松までは1時間強。山の中を走る旅なので沿線風景は木と森ばかりだが、会津盆地に入ってくる時に空間が広がるところが気に入っている。

首都圏からは程よい移動距離の旅になるので、「乗り鉄」系の方にはおすすめの観光地だと思うのだが。次回は磐越西線完全制覇に挑戦してみたい。

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