
小腹が空いたので、軽く何か食べようとしたら、回転寿司とハンバーガーどちらを選ぶか。選択肢としては面白いが、少なくともお江戸とその周辺に限ると、ハンバーガー店は今やファストフードとは言えない。スマホで事前オーダーでも済ませておけば状況は違うが、店頭で商品を注文しようとすると、実に時間のかかる業態になっている。以前の評判は、国産のMバーガーでは注文してから作るので時間がかかるが、出来立てなので美味しいと言うものだった。今では米国伝来のMバーガーも注文してから作るので時間がかかる。味は、比べてみれば違いはあるかもしれないが、そこは好き好きというものだろう。
本来の言葉通りのファストフードは、今や立ち食いそばか牛丼くらいではないかと思う。そういう点(早く商品が手に入る)で、回転寿司こそは最強のファストフードだと思っていた。ところが、どこかの目立ちたがり、承認欲求の間違った人たちが起こした一連のぺろぺろ事件のせいで、寿司が回らなくなってしまった。
一皿ずつ注文し出来たてが出てくるのがメリットかというと、そうでもない。実は素早くチャチャっと飯を食いたいというニーズには、全く対応できなくなっている。一皿注文して商品が出てくるまで5-10分かかることもある。やれやれだ。
と嘆いていたのだが、なんとついに皿が回り出していた。めでたしめでたし、と思ったがよくよく見るとお安いネタの皿だけが回っている。注意書きを見ると、いわゆる「旧100円皿」だけが回転レーンに乗っているようだ。300円とか400円のお高い皿は注文しなければいけないらしい。まあ、普通に考えてもお高い皿は需要が少なめだから、鮮度管理を考えれば回る対象にはならないはずだ。
それはそれで納得できる。個人的には好みの商品が安い皿に偏っているので、もっとじゃんじゃん回してほしいものだ。

と喜んでいたのだが、好物のサバをたのんで出てきたのが、尻尾が乗った寿司だった。左と右を比べるとわかるが、どちらもサバであることは間違いない。部位の差だけだ。ただ、尻尾を食べさせられるのかとちょっと悲しくなる。
こういう部分は、何か別のもの、例えば巻物の具材にするとか、サイドメニューの酢の物に使うとか、工夫してもらえないものだろうか。ロス削減できっちり使い切るというのは理解できるが、食べ物には見栄えが重要だろうと力説したい。
まあ、食べてみればふつうにおいしいのだが。


イカは不漁つづきのせいですっかり高級ネタになったはずだが、今でも低価格帯で頑張っていた。逆に低価格の典型ネタだったタコは、世界的にタコ不足らしく、すでにイカのレベルを超え中級ネタから高級ネタに迫る躍進ぶりだった。タコ好きとしてはかなり厳しい世界になっているのが悲しい。
今やタコは海で獲るものではなく、海で育てるものになりつつあるようだ。一山当てる気があれば、タコの養殖業は成長産業になるだろう。
海鮮ユッケという軍艦巻きがあり、これがまさに魚の端っこをミンチにしたような具材だったが、予想外にうまい。なんの魚が使われているかはわからないが、混ぜると美味いの典型例だろう。ユッケというだけあり、コチジャンなどの辛味に、なぜか長芋のとろろが混じって、ネバネバ系な感じも併せ持つ「不思議寿司」だった。が、これはすっかり気に入ってしまった。もう一度食べてみたい。ただ、中身は今回とは違うだろうなあ。
サバの尻尾の有効活用は、こんな仕立てにしてもらえるといいのだが。