食べ物レポート

真っ当な食べ物

ひさしぶりに幸楽苑に行ってきた。これでも零細株主なので、毎年6月になると株主優待券が送られてくる。昔は紙の商品券みたいなものだったが、今ではデジタル対応でラインのクーポンに変わっている。ラインというアプリの特性上、ダウンロードしてから使わずに放置していると、画面のずっと下側に消えていって、いざ使おうとすると探すのが大変だ。という苦い経験を何度もして学んだのが、幸楽苑の電子優待券は、もらったらすぐに使ってしまうに限るということだ。

おまけに、今年の株主総会で、すでに引退したはずの先代社長が、社長兼会長で現役復帰した。おどろくべきことだ。ユニクロでも後継者に譲った経営を、結局は創業者が社長として復活した例もあるが、お家騒動ということでもないようだ。
要するに、二代目の社長は相当なキレものでなければ、後継者としては認められない。先代に足元を掬われるか、クビになるという運命が待っているということだ。これはヤマトの昔から政治の世界では当たり前で、戦国時代でも親子騒動は引も切らない日常茶飯事だった。お家が潰れれば自分の首も飛ぶ(物理的に)のだから、それは必死にならざるを得ない。それでも二代目が亡国の主人だった例は一山いくらの大安売りで存在する。
現代の経済社会でも、クビになる二代目の多いこと。最近では中古車販売の会社が、親子ともどもポイされたケースはちょっと珍しいが、創業者一族がクビになるのもよくあることだ。

さて、経営トップが変わって、店の運営は何か変わったのかと思ってランチの時間に行ってみた。席は満席だったので、なかなか繁盛しているみたいだ。ただ、家族連れは非常に少ない。高齢者カップルと単独男性が目立つ。オペレーションでは、水がセルフではなくなっていた。ただ、「二杯目からはご自分で」と言われた。これも珍しい対応だ。この一言を全員に言う手間を考えれば、昔のようにテーブルに水ポットを戻す方が合理的ではないか。
メニュー(タブレット)を見たら、随分とシンプルになっていた。色々あった「不思議系メニュ」がバッサリなくなっていた。価格ラインもシンプル化されている。この辺りが、新社長の最初のやり方、改善なのだろう。
冷やし坦々麺を注文した。見栄えはよい。立体感がある。味付けは濃厚というか、かなり濃い味に仕上がっている。同系統の冷たい麺である冷やし中華のさっぱりとした味と全く別方向で、胡麻の効いた濃厚スープが「濃い味」好きを取り込むだろうと思った。真っ当な商品という感じが強くする。この三年間の残念な新商品と比べると、その差は明らかではないか。

コロナの間は、やはり試行錯誤というか、迷走が続いていたラーメン業界だが、ようやく1000円越えに挑戦する「価格の天井」突破の取り組みが始まっている。その中で、低価格で高頻度客創出を狙っていた幸楽苑が、その昔の戦略に戻るのか、それとも高価格帯へ移行して新世界を目指すのか、ちょっと楽しみになってきた。
社長が変われば会社も変わるという典型例に見えるが、気になるのはその新社長の年齢くらいだろうか。生涯現役、の時代なのかもしれない。

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