旅をする

飛び方が違っていたので

千歳空港は空軍基地でもあるのだが

千歳空港は旧帝国海軍時代から拡張された軍事施設だった。そのためか、千歳は軍都として成長した。現在も陸自と空自の主要基地が存在する。人口比率でも自衛隊関係者(家族も含む)が多い街だ。
空港は戦後米軍に接収されたが返還されて、軍民共用となる航空施設になった。だから昔は航空自衛隊の訓練(スクランブル発進?)で戦闘機が離陸する姿が見えたものだ。
現在はほぼ空自利用部分と民間利用部分がほぼ完全分離されている。昔は、滑走路の先にF15の姿が拝めていたが、今では滑走路も全く別になっているので、空港の外側は千歳の原野しか見えない。全国には自衛隊の基地と併設された空港も多いが、規模で言えば千歳が最大級ではないか。

千歳空港から苫小牧にかけては原野が広がる

いつもであれば、千歳から羽田行きの便を利用するのだが、たまたまLCC(格安航空会社)の便を使い成田行きに乗った。これまた気分の問題で、いつもであれば通路側の席にするのだが、前方窓側の席が空いていたので空から写真でも撮ってみようかと思った。
通常、羽田便の航路は、だいたい太平洋上を飛ぶ。せいぜい右手に青森から宮城に続く海岸線が見えるくらいで、着陸寸前まで陸地の上を飛ぶことはない。ただ、今回は成田行きのためか、格安ルートのせいなのか、ずっと陸地の上を飛んでいた。

下北半島から津軽海峡を挟んで、上部に函館付近が見える 
これまでみたことがないアングルだった

苫小牧上空から太平洋に出た後、右手に下北半島が見える位置で若干旋回して陸地の上に移動した。その時に、下北半島北部と渡島半島南部(函館の東側)が見えてきた。意外と津軽海峡は狭いのだ。そして眼下にあるのは下北半島の拠点であるむつ市の市街地だった。

真ん中の丸い部分が、恐山に面する湖 下はむつ市街

むつ市の位置から類推すると、市街地上部にある丸い地形は「恐山」とその湖ということになる。丸く見える水たまりの右側にある白い部分が、恐山のお寺あたりだ。去年はずいぶん時間をかけてバス移動した、山の中の「秘境」だと思っていたが、空から見るとむつ市内からほんのひと息の距離に感じる。妙に感慨深いものがあった。

茨城県太平洋岸 なだらかな砂浜が続くのがわかる

その後は、東北地域を北から南へ縦断するように飛んでいった。福島から茨城にかけて海上に出たが、それは成田に向けて右旋回する為の移動だったようだ。茨城県太平洋岸の鹿島灘がはっきり見える。これも想像していた以上に長い砂浜が続いている。地図では感覚的によくわからない。Googleアースで見ることができそうだが、肉眼で見た印象とはやはり違うだろう。

霞ヶ浦上空で旋回中 左上にあるのが筑波山(多分)

茨城県から成田(千葉県北東部)に向かうには、霞ヶ浦の上を飛び、そこで左旋回するコースだった。霞ヶ浦も空から見ると予想を超える大きさだ。やはり地面を這い回る蟻の目と、空を飛び回る鳥の目では、世界を捉える印象が変わるのが実感できた。

平らな関東平野が実感できる 成田上空

霞ヶ浦上空から左旋回が続き、進路がまっすぐになったと思った時は一面が田んぼになっていた。高度が落ちていたこともあるが、関東平野は平らなのだということがよくわかる。千葉県東部は低い山・丘が続く凸凹な地だったが、成田あたりはまさに真っ平だ。
空から見ると、護岸工事を施された川と高速道路などの幅の広い道路がよくわかる。それこそ、まるでGoogleアースの光景だ。
普段は、全く見ることのない窓の外の光景だが、今回は実に新鮮な体験だった。たまには変わったことをしてみるものだ。

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