食べ物レポート

繁盛町中華 これなんだよなあ

春先にとても気になる看板を見つけて、これは一度入ってみたいと思っていた。ただ、食堂なのに営業時間が夜だけという不思議さで、それでは夕方から町中華で一杯ということにしようと思っていた。
しかし、自分で町中華と名乗る店も初めてみた。営業していない昼間に店頭のメニューサンプルを見たみると、なかなか好物なものが並んでいるし、お値段もリーズナブル。実に楽しみにしていた。

最初は平日の夜だし、そんなに混み合うこともないだろうと思っていた。お店のある場所も北のまちの繁華街としては、ほとんどハズレに近い場所で、人通りも少ないところにあるからだ。
ただ、なんとなく虫の知らせというか、ぼんやりとした予感があり、珍しく電話で席を予約することにした。それが正解だった。この日、入り口近くに席が確保されていたが、滞在時間中におよそ10組ほどの客が訪れ、予約がないと入店を断られていた。予想を遥かに裏切る人気店だった。世の中には凄い店があるものだ。表に行列がないだけで、店内は予約客で満席が続く混雑ぶりだった。

大好物の酢豚 きゅうりやパイナップルなどの色物はなし これで良しだ

並んでいるメニューは全て「字」のみ。写真など親切なものはないが、どのメニューも字を読むと想像出来る「当たり前のメニュー」だから問題はない。すぐに出てくる前菜もあるし、調理するものにしても5分と待たずに出てくる。よい店だ。
マイ定番である酢豚を頼み、実に満足する味付けでホッとする。酢豚にありがちな色付け野菜、パイナップルやきゅうりや、マンゴーなどは入っていない。豚肉と玉ねぎが主体のストロングスタイルで、これこそ The酢豚 と言いたい。「あー、美味しい」だった。

冷菜としてよだれどりを追加で頼んだ。辛味の効いたソースがよく合う。これだけで酒が美味く飲める。ちなみに、酒の種類はあまり多くない。定番であるサワーとハイボールが主力だ。ただ、その中に男気サワー、男気ハイボールというのがある。値段は普通品と比べて100円増で、いわゆる大盛りグラスなのだが、その大盛りが凄すぎる。男気というのは、店長の男気の事だろうと言いたくなるくらいの大盛りだった。居酒屋でメガ・ハイボールなどと言って出てくる、名前は大盛りだが中身があまり大盛りになっていないものとは違う。グラスの直径が普通品と比べて完全に2倍はある「すごく大きい」ジョッキだった。メガではなくギガノナに相応しいが、男気はその上をいく。その男気ハイボールを二杯飲んだら、本日は終了と言いたくなる、

グビグビと男気ハイボールを飲みながら、お店の推薦メニューらしい麻婆豆腐を注文した。これが、よく中華料理店で出てくる日本人向けに甘く改造された麻婆豆腐ではなく、バリバリに花椒がきいた痺れ度抜群の麻婆豆腐だった。
お江戸でも四川料理を名乗る店では、この手の痺れ系がメニューにある。が、普通の中華料理店ではまず登場しない。中華ファミレスで、たまに季節メニューとして登場したのを見たことがあるが、決して定番にはならない超ストロングスタイルだ。
町中華が圧倒的に少ない北の街では、この手の「尖ったメニュー」が受けるのだろうかと心配になったが、おそらくそれは杞憂というものだろう。なんと言っても、予約客で満員の店内こそが、その証明だった。
ちなみに、店内を眺めてみて気がついたのだが、カウンターに座る女子高生二人組(それも制服のまま)の隣が、高齢者オヤジとジジイの二人組で、その隣のテーブルにはキャリアウーマン的女性会社員、その横はガタイのいいガテン系兄さん三人組だった。
制服の女子高生が予約して来る店なんだと、思わず目がテンになる光景だが、男女問わず、年齢問わずの人気店だから、早く2号店を出したほうが良いと思うのだが。
次回は、これまた看板メニューらしい毛沢東スペアリブに挑戦だ。個人的には毛沢東を尊敬することはないが、形容詞に使われている「毛沢東」味はどんなものか興味がある。毛おじさんはとっても甘い人だったということなのか、とっても辛い人だったということなのか。それとも一言で言わないような複雑な人だった(味だった)ということなのか。ちょっと楽しみだ。

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