食べ物レポート

渋谷で日本酒を

お通しは味噌汁 汁物で酒を飲むのはとても好ましい

渋谷で友人と飲んだ2軒目が、奥渋というか松濤方向にあるこぢんまりとした店だった。居酒屋というより小料理屋という雰囲気だが、おそらく日本酒バーと考えた方が良いのではと思う。
酒の種類は多い。お江戸の日本酒バーにありがちな東日本偏重ではなく、西日本の酒もそれなりに用意されている。関西では灘、伏見の酒メーカーが巨大化して全国ブランドになっているが、実はそこそこの数の地酒・蔵元がある。大阪の居酒屋では当たり前に存在する「呉春」という酒が、お江戸ではほとんど見かけない。関西系の日本酒はもう少しお江戸に入ってきて良いのではと思うが。
かといって大阪でも、福井から松江にかけてにつながる日本海側の酒を見かけるかというと、それもまた稀なことだ。良い日本酒バー、日本酒専門の店では店主のこだわりが酒の銘柄に現れるが、そこにも店主の出身地などを含めた地域差があるような気もする。
この店は、九州の酒も置いてあるという懐の広さだから、これまで飲んだことのない酒を目当てにまた訪れてみようという気になった。

おまかせの5点盛り トマトが気に入った

料理のメニューも豊富だった。あれこれ試してみたいと思ったが、二件目なので抑え気味に店主のおすすめツマミ五種盛りにしてみた。器も変化に富んだ身に優しい食べ物だった。この手の目によく映る仕掛け作りが、固定な店ではなかなかできていない。うまさ最優先みたいな店が多いのだが、そこは客が店を鍛えるべきなのだろう。見栄えで金を取るようになれば、店の力がついた証拠だと思う。

暑くなってきた時期だが、入り口の戸が開け放されているのは、おそらくコロナの後遺症だ。この店は開店直後を見計らって、もう一度行ってみたい。常連客が来る前にさっと入ってさっと飲んで退散するという使い方がよさそうだ。
若者の街渋谷で、ちょっと渋めの店があるのは嬉しいものだなあ。

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