食べ物レポート

唐辛子のはなし

トウガラシは、一番お世話になる香辛料だ。そばやうどんを食べる時は一味、七味唐辛子なしでは済ませられない。最近、カウンターの上から調味料を撤去する店が増えてきて(感染対策らしい)、目の前に料理が出てきてから慌てることも多い。個人的には、そんな店には2度と行かないと決めている。撤去するならしても良いが、注文を取りに来た時に調味料の必要、希望くらい聞けよと腹を立てている。コロナ対策に名を借りて手抜きをするんじゃねえ、ということだ。たかが唐辛子で、「客を一人失うのだぞ。それも未来永劫にだ。」とまるで魔王になったような偉そうな気分で腹の中で黒い喜びに浸っている。店からすれば嫌な客だろうなあ。まあ、それくらい重要な役割を果たすトウガラシだ。

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イタリアンでも唐辛子は必須の調味料で、ペペロンチーノに唐辛子抜は考えられない。日本ではピザにタバスコというのが定番になっているが、あれは喫茶店文化の伝承からきたもので、イタリアでピザを食べた時はチリオイル(トウガラシ入りのオリーブオイル)だった。そもそもタバスコの説明ができずに苦労した。アメリカで食べればクラッシュペッパー(あらみじん切りの赤唐辛子)が出てきたが、説明するとホットソース(タバスコのようなもの)は出してくれた。不思議そうな顔で見られたが。知人がステーキハウスで醤油を頼んだ時も同じ顔をされたので、ピザにタバスコは奇妙な組み合わせなのだろう。
韓国料理でも唐辛子とニンニクは欠かせない調味料だが、赤唐辛子の細切りが乗っていると料理の見栄えが一気に上がる。ネットでアップされているうまそうな料理の写真でも、「赤」代表で使われるのはトウガラシ、レッドペッパーが多い。大活躍している。
唐辛子は世界調味料で、スパイスとしては不動の一位認定としたい。などとあらぬ妄想を書き連ねているのも、今年は猫の額ほどの庭で唐辛子をプランターで栽培したからだ。

去年、道の駅の野菜売り場で青唐辛子を安く手に入れた。100gほど入って2−300円だったと思う。それをみじん切りにして米麹と醤油で漬け込んだ「三升漬け」を作った。夏に作ったものは麹の発酵に温度があっていたのか、予想以上にうまいものができた。それに味をしめこれはもっと大量に作ろうと、秋になり唐辛子をどかっと買い込み作ったのだが、どうも秋の唐辛子は辛いようで、とてつもなく辛くて食べきれないものが大量に出来上がってしまった。
個人的な感覚では、タイ料理の激辛料理の辛味と同等くらいなので、日本人的な料理には向いていない。冷奴にかけて食べるのが、美味しい三升漬けの食べ方だと思っていたが、あまりにも辛くて、小スプーンいっぱいの量をかけてしまうと豆腐一丁でも足りない。

そこで、今年はあまり辛くならないうちに採集しようと、自家栽培に挑戦してみた。苗を二つ買ってきてプランターで育てたのだが、どうやら強い苗だったらしく病気にもならず、虫もつかなかった。(唐辛子を好む虫がいるのかどうかはちょっと疑問だが)
そして、赤唐辛子(完熟唐辛子)が一つ二つできる頃に、大きい青唐辛子(つまり未熟の唐辛子)を全部採り上げた。苗二つで青唐辛子100g程度の収穫だった。採り残した小さい唐辛子も、その後はずいぶん大きくなり、今では全てが赤く完熟しつつある。これはこれでまた別の楽しみ方をするつもりだが。
ことしの自家製青唐辛子で作った山椒漬けがうまく行ったら(現在熟成中)、来年は唐辛子農園の拡大を推進するつもりだ。苗ひとつだと100gは取れないみたいなので(この辺りが素人なのだな)、10本ぐらいは植える必要がありそうだ。来年の栽培計画を企てるあたりは専業農家なみだが、それでもたったの10本の唐辛子なので、人様にお話しできることでもない、

赤唐辛子は新潟名物?かんずり(もどき)にしてみたいななどと思っております。