食べ物レポート

最近のうまいもの発見

長野県諏訪にある「ハルピンラーメン」は個人的に隠れ名店(地元では有名なのだろうけれど)認定をしている。その春ピンラーメンの味噌ラーメン版が「雷蔵」という店になる。ここの味噌ラーメンは信州味噌、というか諏訪地方の味噌にこだわった名品だ。ただ、これまでなんとなく敬遠していた辛味噌ラーメンを食べる気になったのは気温が少し下がったからだろう。

辛いと痺れの合わせ技

あー、これはうまいと(個人的に)激賞したい。辛味と痺れが合わさるとこれほどうまいかと思うが、それが味噌味なので微妙にバラン氏が取れる。あちちと言いながら麺ともやしを交互に口に放り込む。ハルピンラーメン特有の辛い味噌もスープに溶き合わせるをまたうまい。昼時で周りは男だらけだったが、確かにこれは男のガツン系だなあなどと思いつつスープまで完食した。

池袋駅地下でたこ焼きとナポリタンとうどん・そばの店が集まったミニフードコート

池袋駅の地下レストランに讃岐うどんの店があるのは知っていたが、食べもしないで勝手に決め付けていたのが「駅の立ち食いうどん」でしょう・・・という思い込み。これが全く間違っていた。とりあえず飲みにいく前に小腹を収めようと冷やしぶっかけを頼んだのだが、麺の腰が「本物」だった。麺は香川県から運んでいるらしい。いや、お見それしました。このレベルであれば週一で通っても大丈夫だ。次回は熱いかけうどんにしてみよう。

なんだ世の中にはまだまだみたことのない世界があるのだと、そして自分で勝手に「制限」付けていることが多いなあと思った、9月のうまいものでありました。

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埼玉の味噌ラーメンと長野の味噌ラーメン

埼玉県北部から南に進む幹線道路沿いは、あちこちにレストラン集合地のようなものが出来上がっている。面白いのはマクドナルドやKFCのような洋物ブランドは、あまりその塊の中に入っていない。一軒だけ群れずに別なところに立っているのが妙におかしい。

そんな街道筋のどこかで昼飯にしようと思って、ふらりと入ったラーメン屋がなかなか楽しかった。

世の中、いつの間にか味噌ラーメンブームなのかなと思う。豚骨ベースのガツンとした味なので、濃厚という感じが強い。現在のトレンドらしき魚介系+豚骨合わせたWスープとは違う。味噌の強さで豚骨を押さえ込むという感じだろうか。豚骨スープの臭みはほぼないので、ラーメン屋としてスープの取り方が上達しているのだろうか。あとはチャーシューという煮豚が大型化していることも特徴だろう。店員さんのお勧めは、おろし生姜たっぷりで唐辛子だそうだ。確かに生姜は味噌味にあう。麺は中太で、濃いスープにぴったりだった。

白地に黒で感じの看板というのも、最近はやりなのか。わかりやすいのが一番だなと、つい看板の写真を撮ってしまった。五穀味噌とは聞きなれない言葉だなと思ったら、麦米大豆胡麻落花生なのだそうだ。葉はブレンド味噌らしい。

ハルピン味噌ラーメン

似たようなラーメンを長野県諏訪で食べた。こちらは信州味噌を使っているので、全体的に甘い。名店ハルピンラーメンが出した味噌味拡張型なので、辛味噌ものっている。幸楽苑が閉店したところで繁盛しているので、色々と考えさせられた。

味噌ラーメンがあちこちで同時並行進化しているようだ。頑張って欲しいものだ。

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吉山商店 うまいぞ

札幌駅に隣接した商業施設、元そごうデパートだったビルが専門店ビルに代わり、最上階のレストラン街にらーめん共和国という専門店集合体ができたのは10年くらい前だったような記憶がある。

当然、ラーメン店にも流行り廃りもあり中のテナントは入れ替わっているのだが、その中の一店は名前も知らないので無視していた。テナントは札幌以外の街からも出店しているので、どこの街から来たことやらなどと思っていたのだが、このコロナの惨状でどの店もガラガラだったので、どうせならば行ったことのない店にしようとブラリと入ったら、これが正解だった。

濃厚魚介焙煎胡麻味噌

吉山商店は本店が札幌で、味噌ラーメンで勝負の店のようだ。おすすめらしい濃厚魚介焙煎ごま味噌ラーメン(ずいぶん長い名前だ)を頼んでみたら、これがドンピシャのストライクゾーンだった。名前の通り濃厚なスープは、これぞ現代風の味噌ラーメンという味だ。Wスープにしても味噌に負けるのが宿命だろうと思っていたが、そこは良い意味で期待を裏切ってくれた。スープが味噌に負けない強さだ。エビそば一幻もスープが味噌に負けない事が強みだと思うが、この店も負けていない。
満足だ、とスープをほとんど飲み干してしまった。

焙煎胡麻味噌 見た目は一緒?

そして、どうしても気になった魚介なしの味噌ラーメンを別の日に食べにきた。こちらは普通に味噌ラーメンというか、豚骨スープで上手に味噌ラーメン作りましたという感じで、これも気に入った。最近の札幌の有名店はだいたいがとんこつ味噌系なので、その流れには乗っているが、何といってもスープと味噌の調和が難しい。この店は安心して食べられる。無理やり乗せました感がある、「全部乗せ」売りをしていないのも好感度アップにつながるのだね。ただ、この北海道らーめん共和国も観光客依存度の高い場所なので、コロナが治るまでは当面厳しいだろうなとは思う。昼時にはほぼ満席になっていたので、持ち堪えてもらえるだろう。

何故か隣でタイ人らしき女性の団体がラーメンを食べていたのが印象に残ったが、ネットで紹介されているのかもしれない。中国人観光客の行列で入れなかった回転鮨屋や豚丼屋も、ここ最近は並ばずに入れるのはありがたいとは思うが、店側からすると商売になっていないのだろうな。申し訳ない気もする。
Go Toキャンペンもあれこれイチャモン付きまくりで、相変わらずの政府の混乱ぶりを笑ってみるしかないのだが、もし北海道旅行に行く機会があれば、札幌駅近くのビルレストラン街は、なかなか名店揃いなので今がチャンス。

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幸楽苑の苦悩?

長らく幸楽苑の株主をしている。最小単位しか持っていないので偉そうな振りはできないが、長期保有株主としては認めてもらえるのではないか。きっかけは先代社長がラーメン業界でのマクドナルドになるという決意を表明していたので、そこに感銘を受けたということだった。

味噌野菜たんめん こってりと半チャーハン

オーナー会社でもあるので、変わり身が早いのは好感を持っていた。ラーメン業界はトレンドの変化が早いので、変わり身は大事なことだと思う。豚骨ベースのスープから魚介だしスープへ、あるいはつけ麺や油そばと言った嗜好の変化など、どのタイミングで取り入れるかは重要な販売技術だと言えるだろう。頑固に自分たちの味にこだわるのも大事だが、200店、300店と多数店舗を展開するチェーン店では、「今、何が売れるのか」はいつも探究すべき経営課題だと思う。

そういった意味で言うと最近の幸楽苑はちょっとブレ気味なのだ。異物混入事件の後に味噌野菜ラーメンで旗印を変えたのはよかった。醤油味の中華そばからのイメージ転換は成功したと思っていた。ところが、その「味噌味」の磨き込みが足りない。(ちょっと辛口な意見だとは思うが)
また、価格をいじりすぎる。単価をあげたいのはわかるが、上方に振りすぎだろう。低価格ラーメンチェーン店を脱却したいのであればやり方が違うような気がする。
サイドアイテムも餃子は改良されたと思う。しかし、チャーハンも含めセットの作り方、価格設定があまりに下手くそだと思ってしまうのだ。

普通の味噌ラーメン 平面的だな

「味噌野菜たんめんこってり」は、野菜が多めに乗っているが、味噌野菜たんめんとは100円差。つまり、こってり味に変更すると100円高くなる。スープで100円差というのはいかがなものかと言いたい。こってりと普通の味噌味を食べ比べてみたが、正直いって「そんな違いがあるかなあ」という気がする。

味噌野菜たんめんと味噌野菜ラーメンの差もよくわからないが、これも100円差。そして味噌ラーメンになると野菜がきえてもう100円安くなる。簡単に書くと
味噌ラーメン +100円=味噌野菜ラーメン
味噌野菜ラーメン +100円=味噌野菜「たんめん」
味噌野菜「たんめん」 +100円=味噌野菜たんめん「こってり」
という構造になる。

おまけに半チャーハンは味噌ラーメンより100円安いという価格設定なのだが、「半」チャーハンなのだ。おまけに普通盛りのチャーハンは販売指定ない(不思議だ)。

なんだか大混乱期だった7−8年前のマクドナルドを思い起こすようだ。コロナ禍の影響で大変な状況にあるとは思うが、ぜひ早く立ち直って欲しいものだ。
個人的には無くなってしまった「㐂伝ラーメン」が大好物だったのだが。あれもブランドとして復活してくれないかと願う今日この頃。

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たまにはハズレもあるものだ

勘が悪いと、あまり美味しくないものに当たってしまうことがある。これは仕方がない。怪しいと思っても選んだのは自分なので自己責任というしかない。
しかし、流れ弾に当たってしまうこともある。これは自己責任とはいえず、不運だったというしかない。

味噌ラーメン とある空港のフードコート

不運の原因は、基本的に従業員のミスにあることが多い。例えば何度も使ったことがある店で、たまたまその日の調理担当者が手抜きをしたとかいう時だ。親父が一人でやっているような店ではこういうことはほとんど起きない。ところが、多人数のアルバイトを調理担当に使うような店では時々起こる。
ラーメンで言えば、麺の茹で過ぎとか、スープの味が濃すぎる、薄すぎるといった根本的な欠陥は「金返せ」と言いたくなる類のものだ。それ以外では、チャーシューが入っていなかったとか、ネギの量が極端に少ないとか、微妙に判断のつきにくい欠陥もある。なんだ、この店、チャーシュー減らすことにしたのかなどと勝手に推理納得してしまったりするからだ。もちろん、一枚減ったチャーシューが原因で、2度とこの店を使わなくなる可能性もあるが。
また、従業員の技量というか注意不足で、料理の見栄えが悪くなるということもある。盛り付けは料理にとってかなり重要な要素なので、そこを手抜きすると「プロの料理」から「アマチュア・下手くその料理」に落ちこぼれる。
そして、この二つが重なると最悪の商品になる。この味噌ラーメンがその典型で、まず見た目がひどい。トッピングが全てスープの中に沈み込んでいる。具なしのインスタント麺みたいなものになっている。あれれと思いながら、一口食べてみると、スープの味が薄い。明らかに味噌ダレが足りない。
仕方がないから底から全体をかき混ぜ試してみる。二口三口食べ進めギブアップした。ここ数年で思い返してもこれほど酷いラーメンを食べた記憶がない。運が悪い日だった。でも、もういかなくなるだろうな。

店舗数は日本最大のファミリーレストランの台湾まぜそば

もう一つのパターンはチェーン店でたまにある「設計が間違っている食べ物」。これは店舗の従業員のミスではないので、「そもそも論」になる。メニュー開発者の力量とそれを販売許可した上級管理職の舌がおかしいというレベルなので、天災級のミスだろう。特に、最近流行のご当地グルメ、地名がついた麺類や料理名に釣られてお手軽に注文してみると、たいてい頭の中は疑問符の嵐で???状態になる。特に現地で食べたことがあり、それを懐かしんで食べてみようと思った場合、ハズレの失望感は強い。まだ食べたことのないものであれば、こんなものなのか、大したことないなで諦めもつくが、それでは現地の名店に対して申し訳ないだろう。実は〇〇地方の名物料理は美味しくないのですよというネガティブキャンペーンになる。
台湾まぜそばは、名古屋中心のローカルメニューだが個人的にはこの味の濃い食べ物が好みなので、相当期待して食べに行った。見た目は良さそうだ。グリグリと全てのトッポングを混ぜ込み一口食べ、絶望した。違うのだよ。油そばとしても欠陥だと感じた。麺の仕上がりがなんとも言えず「ゆるい」。締まりが無い麺だった。タレの味もしない、薄い、足りない。おまけに卵の黄身が中途半端な甘味をつける。去年の夏はファミリーレストラン各社が坦々麺という名の偽物を出していた。やはり、ファミリーレストランは麺を出してはいけない。せいぜい許容範囲にあるのは冷凍適性が良い、うどんくらいのものだろう。
これを名古屋人が食べたらどう思うか、是非感想を聞いてみたい。

辛口に文句をつけると

地方区での名物は、やはりその地方の好みに合わせた味付けなので、それなりに尖っている。だから全国向けに味の調整をした時点で、その商品の持つ魅力や強さは失われてしまうのだろう。
騙された気分になるのは仕方がないが、やはり現地の人が食べてもうまいと納得するものにして欲しい。大企業の商品開発者よ、きちんと現地に行って味を確かめてこいよ。大企業の管理職よ、客の舌を舐めるな、自分の舌をもっと鍛えろと言いたい。
外食産業はまだまだ発展途上の産業なのだという失望を、ぜひ「今日も美味しいもの食べた」という喜びに変えて欲しいものだ。

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札幌で食べるラーメン 二題

札幌はラーメンに関して寛大な市場だ。何が寛大かというと高い価格を受け入れる広い客層があるということだ。東京の激戦区で競争しているラーメン屋と札幌のラーメン屋は価格帯がほぼ同じ。店によっては札幌の方が高いかもしれない。個人的な相場感で行くと、札幌のラーメンは2割くらい高い。つまり、札幌のラーメンファンはお店に対して寛大なのだよね。

さて、そのラーメンヘブンな札幌で知らない間にずいぶんたっぷりと店が増えた老舗 「さんぱち」だが、その存在意義は時代に媚を占い、昔通りの味噌ラーメンを提供し続けていることだ。と断言する。(したい)
札幌に数々ある味噌ラーメンの名店に共通するのは、減塩とか脂肪カットとか言い出さないことだ。味はあくまでガツンと濃い味で、ネギをたっぷりケチケチしないで、チャーシューは店によってそれぞれだが厚切りが多い。ブルーカラー系の味だといえば、確かにそうなのだが、これがうまいぞ、これが好きだぞという男性中心の顧客層に支えられている。老舗というにはちょっと荒っぽいという感はあるが、ススキの周辺にあった古いラーメン屋が次々と変身していく中、さんぱちの変わらなさは貴重だと思う。
ただし、店による味のばらつきもそれなりにあるので、自分の好きなさんぱちを発見するのがちょっとたいへんだ。

札幌 さんぱちの味噌ラーメン

全く知らないラーメン屋に初見で入るのはかなり気合のいる博打だと思うが、札幌ではたまに博打してみることがある。勝率は五分五分という感じなので、あまり良い博打ではない。だから勝った時は実に嬉しい。「辛いラーメン14」というずいぶん変わった名前のラーメン屋に入ったんのは土曜の昼だった。近くには北海道庁がある札幌のオフィス街で、「土曜に店を開けているというのが立派だ」という心意気に負けて入ってみたのだが。これが大当たりだった。

辛さは10段階くらいで選べる。取り合えず無難なところで普通というか中辛にしたが、これが顔から汗が出るほどの辛さだった。人によっては辛さをレベル下げすることも必要だろう。それでも周りの客は5辛くらいが結構いたので、辛いもの好きには中辛では物足りないのだね。ただ、単純に辛いのではなく旨辛系なので、ちょっと水を多めに補給すれば大丈夫だと思う。チャーシューがうまいと感じたのは久しぶりで、辛さによく合うチャーシューという珍しい一品だった。これはまた行きたくなる、後を引くうまさを感じる。札幌では「辛さ」を押し出したラーメン屋は珍しい。

普通のラーメン屋でも辛味噌程度は提供するようだが、辛さ専門は嬉しい。近郊の北広島には地獄ラーメン的な辛いラーメンもあるが、あまりにも遠い。札幌で辛いラーメンがメジャーになる日までぜひ頑張ってもらいたい。

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味噌ラーメン 初代とよし乃

札幌駅前にある専門店ビルESTA(旧そごう)の最上階にあるレストラン街、そこの一角にラーメン共和国というラーメン屋の屋台村のようなものがある。定期的にテナントが入れ替わるので、飽きがこないのが良いところだろう。

詳しくは看板を読めばわかる

小樽「初代」は、小樽の町外れの一軒家ラーメン店で、そろそろ20年近くになる。不便な場所でありながら昼は行列のできる名店だが、札幌豚骨系スープの初期の開拓者でもあった。初代に行けば醤油と決めていたが、ラーメン共和国に出店していたのを思い出しふらっと寄ってみて、たまには味噌ラーメンも食べてみるかと。

このラーメン共和国は、仲が昭和レトロというか映画「三丁目の夕日」的な設定なので、ともかく中が暗い。写真を撮りづらい環境だ。とぶつくさ言いっているうちに「味噌ラーメン」が登場した。豚骨系スープに味噌というのは、これがなかなか難しい。相当濃い味付けにしなければスープに負けてしまうが、味噌味を強くすると豚汁になってしまう。豚骨スープの流行始めに味噌味がなかったのも当然だ。この初代でもその難点はやはり存在していて、醤油と比べるとちょっと味が弱め(十分濃厚ではあるがバランスの問題だ)。麺をもっと細めにしてスープの絡みを増せば良いのかもしれない。全体的な評価とすれば、やはり醤油味がよろしいかな。

札幌の味噌ラーメンといえば元祖「味の三平」と言いたいところだが、「よし乃」も捨てがたい。札幌の老舗ラーメン屋は、当然ながら昔風のスープの取り方なので、鶏ガラ+野菜というシンプル系が多い。それでは味が弱いので、化学調味料を大量投下(個人的にはこれを否定しない)して、味噌味に負けないように仕上げるという手法だ。

これぞ味噌ラーメンのルックス

「よし乃」は、この昔懐かし系の店よりも濃厚だと思うが、何せノスタルジックな味なので、舌がこれを喜んでしまう。麺も硬めのチャーシューも、もやし炒めも全てがありし日のバランスなので文句はつけがたい。札幌に観光できた人がイメージするのはこちらの味付けではないか。札幌ラーメンでは定番の中太縮れ麺がよく合うラーメンという感じだ。こちらは札幌駅地下街にあるので利用しやすい。

ちなみによし乃本店は旭川らしいので、正確にいうと旭川味噌ラーメンということだ。

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ローカルラーメン 太樹「味の龍月」

北海道の住人でも、この街はどこにあると聞かれたら答えに困る人も多いであろう「大樹町」だが、最近では民間ロケットの打ち上げ実験が報道されている。あの堀江さんが支援するロケット集団「インターステラテクノロジズ」社が打ち上げるロケットの射場がある。十勝平野の南側で太平洋に面しているあたり。ここにスペースシャトル(宇宙往還機)の機場を作る話もあった。SFに登場するスペースシャトルの発着陸には通常の空港の何倍もの長さの滑走路が必要で、日本の既存空港では対応できない。広大な十勝平野であればそれが建設できると言うことだったのだろう。だから、大樹町道の駅も「コスモール大樹」という。(ただ中に入ると宇宙感はほとんどしないのが悲しい)
個人的には、将来には日本の宇宙事業のメッカになって欲しい。(種子島のJAXA射場は遠すぎるので)

そんな大樹町の道の駅の向かいにある食堂で食べたラーメンはなかなかの感動ものだった。
ナルトにお麩にチャーシューにシナチク(メンマとは言いたくない)が乗った醤油ラーメンは、スープも麺も昔のままだ。都会の店ではすっかり進化して、国民食から日本料理B級代表へすっかり垢抜けて行った小洒落た「ラーメン」からは取り残されたような、「レトロ」なラーメンが現役なのだ。北海道でも町の中華料理や食堂では、こうしたラーメンが今も生き残っていて、それがまたうまい。最近の流行には超然とした孤高の一品だ。きっと大樹町以外でもあちこちにこう言うレトロ・ラーメンが生き残っていると思うのだが、ぜひ長生きして欲しい。

名品と言うしかない 醤油ラーメン プレーン

ただ、これは東京の支那そばとは違う、北海道の「ラーメン」と言うものなので、ローカル食であることも間違いない。

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野郎ラーメンと桑名の類似性

東京で、一時期ものすごい勢いで出店していた野朗ラーメン。最近はちょっとご無沙汰気味だったが、サイトで店舗数を見たら16店あった。感覚的にはもっと店があったような気がしていたが、あれっ? 意外と少ないな。

チャーシューが素敵な野郎ラーメン

野郎ラーメンの定義?といえば、こってり豚骨、野菜大盛り、太麺でもぐもぐと噛むラーメンといった感じだった。記憶ではもう少し麺が細くても良いのではと思っていたのだが、久しぶりに実食してみると、うーん、麺が太いなあ、もう少し茹でてもらいたいなあだった。全体的に量が多いラーメンなので、食べている途中で麺がだんだん伸びてくるから、これくらいが良いのかもしれないのかなと、頭の中を疑問符が飛び交うまま食べきった。若い人向きであることは間違いない。繊細というより力押しのスープには好みが分かれるところだろう。ただ、これで麺大盛りを頼めば、1日1食で良いというボリューム感であることは間違いない。野菜大盛りもできるので、今日はガツンと食うぞという時には向いている。いってみれば「伝説のすた丼」のラーメン版、ラーメン二郎の進化系ということか。

味噌スープがうまい桑名

そして、野郎ラーメンを食べてから数日後、札幌で「桑名」のラーメンを食べた。札幌で豚骨ラーメンの開祖といえば、この桑名と、あと数店をあげることができる。当時は、まだ豚骨ラーメンが九州ローカル系の、一部にしか広まっていない希少ラーメンだった頃から、札幌で人気があった。その桑名で味噌ラーメンを食べたのだが、あれ、こんなにスープが濃厚だったか? 豚骨ベースがこんなに強かったか?と感じた。スープは強いが味噌味は控えめというちょっと変わったバランスで、昔の記憶にある味とは明らかに違う。減塩した上で、出汁を濃厚に変えたというところか。これが妙に野郎ラーメンのスープに似ている。桑名の麺はやや太めの中太麺で、いわゆる札幌系の縮れ麺だから野郎ラーメンのガッツリ太麺的な要素は全くない。チャーシューも野郎ラーメンは煮豚系の柔らかさで、桑名は硬めの豚くささが残る古典的チャーシュー。簡単にいえば、野郎ラーメンは発展途上の荒さがあり、桑名は完成系の大人しさがあるという感じだ。

類似性があるとは言い難いのだが、妙に食べた後の感じが似ているのは、やはりスープのせいかとも思う。東京と札幌でラーメンのスープが平行進化してこうなったのか、それともどちらも日本のどこかにある、美味しいラーメンを模倣してここまで進化したのか、そのどちらでもあるような気がする。なんと言うか、一つのゴールに向けて収斂していくような、そんな不思議な感想を持った。

ラーメンを食べて哲学的になったのはこれが初めてだが・・・。

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今は札幌ナンバーワン行列店 彩未

冬なのでしばらくラーメンの話を続けることにした。

今札幌で一番行列ができるラーメンといえば、この「麺屋 彩未」ではないか。テレビ番組などに露出することも多い有名店だ。
最寄りの地下鉄駅から歩いて5分程度、駐車場も併設されているがこの行列にたえられるような台数ではないので、車で行くのは止めた方が良い。タクシーで乗り付けても、都心部からは大した距離でもないが、とにかく行列が凄いので、待ち時間は1時間で済めば御の字ということだ。

開店時でこの行列

店主は、これも名店「すみれ」で修行したとホームページに書いてある。「すみれ」と「純蓮」は兄弟店(のようなもの)なので、札幌のラーメン屋にはこのどちらかの卒業生も多いようだが、個人的には「すみれ」の方が好きだ。どちらの店も表面に油の層ができていて、それがラーメンの熱を逃さない熱々の秘訣といったあたりは同じ。人気店で昼には行列しないと入れない。

生姜が特徴
色はグレー? 味噌ラーメン

さて、彩未のラーメンだが、見た目は味噌ラーメンらしからぬ色だ。正直いってグレーな味噌ラーメンは初めてみたような気がする。味噌ラーメン独特のオレンジに近い茶色のスープを見慣れているだけに、「これは何?」というのが第一感だった。ただ、それ以外は思ったよりオーソドックスな感じの味噌ラーメン。スープがちょっと塩味薄めながら豚骨だしが濃厚という珍しいバランスだ。トッピングとしてのっているおろし生姜を少しずつスープに溶かしながら、味変を楽しむのがおすすめらしい。もともとラーメンスープ、特に豚骨系は生姜が合うとは思っていたが、生姜推しというラーメン屋は珍しい。一つには生姜が原材料としては高いということもあるようだが。最近札幌ではやりの店は、濃厚系Wスープの店が多いようで、それと比べるとシンプルにまとまっている感じだ。

これはぜひ醤油味も食べてみたいと思わせる旨さなのだが、この行列に並ぶことを思うとゲンナリしてしまう。ましてや、冬になってきて雪の中で並ぶのは些いささかしんどい。

雪が溶けたら、再度チャレンジしてみようかと。

お店のサイトはこちら→ https://www.menya-saimi.com/about