食べ物レポート

仙台の老舗 居酒屋と牛タン焼きと

仙台の誇る横丁文化

仙台は横丁が多く残っている。映画「深夜食堂」に出てくるような細い道の両脇にびっしりと食い物屋と飲み屋が立ち並ぶ。これを人工的に作ったのが各地にある屋台村だろう。仙台の本屋に行けば、仙台横丁についてのムックも並んでいる。横丁が残るということは、再開発から逃れ商売が長く続いているという意味だ。だから当然のように、老舗化している店が多い。

居酒屋 源氏の看板はひっそりと

仙台の有名横丁に「文化横丁」がある。これは一番町から続くアーケド街を、横に外れた一角にあって、店舗数は30−40軒ばかりだろうか。いつでも行列のできる餃子屋もあり、鮨屋あり、焼肉屋ありのカオスな展開が良い。その横丁の中間あたりを曲がり、また一段と奥まったところの突き当たりにひっそりと暖簾を上げている居酒屋が「源氏」だ。テレビのルポ番組でも度々取り上げられている有名店なのだが、中に入ると実に古い居酒屋だ。そして居心地が良い。
コの字のカウンターに15人も座ればいっぱいになる小ぶりな店で、中には女将一人が忙しく注文をとり、料理を並べている。ここは酒を頼むと自動的に料理が一品つく仕掛けなので、好みの日本酒、ビールなどを頼み、まずはお通しを片付けながら、一品めの肴は何が出てくるかをじっと待つ。周りの客の前を見れば、なんとなく今日の出し物がわかるのだが、追加で料理を注文する人も多いので判別がつかないことも多い。

一品目は煮物、二品目が冷奴というのが、この日の出し物だった。そして、お酒の注文には制限があり(3杯だったか4杯だったか)、最後の肴には味噌汁が締めのサインとしてつくらしい。そこまで飲んだことがないので、不確実情報だが。
追加の料理もいろいろあり、個人的な一押しは「汐ウニ」。塩漬けのウニが小皿にふたつまみ程度、この量が絶妙で、だいたいこのウニを肴に冷や酒2杯が的量だ。そして、あと一杯呑みたいのになと思いながら、さっと退散する。次から次へと客が来るので、長居するのは野暮というもの。老舗居酒屋に行く時は、この早い回転を手伝う(他の客のためもあり店のためもあり)のが、暗黙のルールだという気がする。
ちなみに塩釜の日本酒「浦霞」を、グラス酒(もっきり)で頼むと1000円だった。料理一品付きなので、まずまずのお値段。

仙台随一の飲み屋街国分町の名店 太助

戦後の食糧不足期に開発された「牛タン」焼は、すでに仙台の名物であるのは間違いない。その牛タン発祥の地が、「太助」。仙台の夜の繁華街、国分町の真ん中あたりにある小ぶりなお店だ。国分町は仙台屈指、つまり北日本ではススキノに次ぐ夜の街だろう。ススキノではジンギスカンの店が目立つが、仙台では牛タン屋が多い。
お昼時は観光客を含む行列が伸びている。それでも昼時を外せば、比較的すんなりと入れる。メニューは牛タン焼とテールスープと麦飯、これをバラで頼むかセットで頼むかの違いだけで、超がつくほどシンプルだ。客の選択肢は牛タン3枚にするか4枚にするかくらいしかない。
なぜ麦飯なのかとは考えなくても良い。モリモリと麦飯をかき込みながら、塩味の効いた牛タンを噛み締める。肉汁と油が口の中でいっぱいに広がる。それをテールスープで流し込む。こういった動作の繰り返しで、定食を完食する。満足度は高い。

余計なことだが、テレビ番組で見た店主はにこやかに牛タンのいわれなど話していた。気さくな親父と言う感じだったが、実際に店に行ってみると、にこりともせずに牛タンを黙々と焼いている。おー、あれは営業トークだったのだねなどと思いつつ、目の前の仏頂面親父を見ながら笑いだしそうになった。カウンター内で働く女性も、それなりに表情硬いのは親父の仏頂面が移ったのか。ランチもディナーも混み合う店なので、まあ仕方がないだろう。大チェーン店になった利久では、まるでファミリーレストランみたいな接客をされるので、どっちが良いと感じるかは個人の好みだろう。

牛タン3枚 テールスープ 麦飯セット

老舗には老舗の重みがあるということを承知して、この二軒お試しあれ。どちらも仙台のお宝だと思う。

旅をする

仙台駅まわりをぶらぶら+おまけ

洋風酒場 最近1番のお気に入り

ハンバーグで酒を飲むのはうれしい。サルサソースがけ。

なかなかありそうでない、ハンバーグで酒を飲もうという居酒屋。肉バルというのともちょっと違う気がする。ハンバーグはゴツゴツ系でみろいろなソースで味が違うが、基本的には鉄板の上のハンバーグでグビグビとワインを飲むというのがこの店のスタイルだ(と勝手に思っている)。ステーキもあるし、他に肉料理も多いが、やはりハンバーグだよね。大人のハンバーグで、酒飲みのためのハンバーグ。So Good!!

ちくわの中にポテサラが入ったテンプラ

変わったところでは、一品100円のつまみ各種、特にこのちくわの天ぷらがなんとも言えない。熊本の弁当屋チェーンで人気のポテサラ入りちくわの天ぷらに仙台でお目にかかるとは。札幌ではちくわの中にツナマヨを入れて生地で巻いたちくわパンという名品もあるが、酒飲んで食べるにはちくわの天ぷらは好みだ。これおwそのまま食べるか、醤油をかけるか、はたまたソースにするか。これは育った文化圏の違いが出る「良いクイズ」ですよ。ちなみに、個人的には醤油で半分、ソースで半分食べたい。

仙台駅西口正面から歩いて5分ほど。歩行者デッキでひたすら北を目指し、でき位のハズレから徒歩1分。

仙台駅西口正面から出てペデストリアンデッキ(歩行者用陸橋ね)を右側に進むとパルコがある。そこを通り過ぎると広瀬通という広い道にあたるが、そこもデッキをつたい歩き広瀬通を渡る。ここでデッキが終了。地上に降りてもう一息歩く。店がすっかりまばらになるところで到着。
ちなみに広瀬通に行く手前、パルコの先で仙台駅から繁華街一番町に通じるアーケード街がある。ここが飲食店などの集中地域なので、仙台名物牛タン屋、すし屋、ラーメン屋などがごちゃっとある。普通の人はこちらのアーケード街に行くだろうから、場所的にはちょっと外れている。でも、そういう外れの場所にこそ名店があるはずだ(多分)

洋風酒場 Great Bonten というのが店の名前だが、GBという看板を見て勝手にGreat Britainだと思い込んでいた。そうか、ビールの店なのかと見過ごしていたが、実は仙台の居酒屋チェーン 梵天グループの一店だった。だから洋風酒場なのにマグロの刺身が売り物だったりする。実に楽しい。

そば よし田  駅近の名店か

ざるそば うまし

仙台駅近はレストランと食品売り場があり、なかなか見逃せない場所だ。駅近の食堂など・・とバカにしてはいけない。仙台で蕎麦といえば、丸松だが。そこの視点も駅近に入っている。しかし、あえて、よし田を選んだのは銀座の蕎麦屋の視点だからで、何を隠そう、銀座よし田のコロッケそばが好物なのだ。で、コロッケそばを注文しようとしたらメニューにない。残念・・・。渋々ざるそばを頼んだ。良いそばだと思います。でも、コロッケそば発売してほしい、絶賛しますから。

ロッケンキッチン おしゃれに一杯

仙台駅構内2階の東西口をつなぐ通路がある。その上に新幹線ホームにつながるあたりに数件、面白い店がある。ちょっと変わったメニューを出す居酒屋やカフェが立ち並ぶ。本格点心の店おまるので、地元づかいもされているだろう。その中にある、牛タンの利休がやっているおしゃれ飲み屋で、新幹線の時間待ちにサクッと飲む。玉コンと塩辛でひんやりと冷たい浦霞純米をグビッと。

三㐂 おまけに 仙台市北側住宅地の中にある繁盛蕎麦屋

天ぷらそばがオススメ

仙台駅前とは全く関係ないのだが、住宅地の真ん中にある行列のできる蕎麦屋。仙台は住宅地の真ん中に忽然と現れる蕎麦屋が多いような気がする。そば好きが多いのだろう。この店も昼時はまず行列、駐車場が足りないので入るには相当幸運が必要。時間をずらすのが賢明だ。普通にうまい、梅雨はドンピシャで、甘辛くバランスが良い。山形もそば文化圏だが、仙台もうまい蕎麦屋多いな。
ちなみに「㐂」の読みは「き」、喜の異体字だ。日本語変換では簡単に出て来ない難字だ。屋号としてはありなのだけれど、検索するときは「三喜」で出てきます。

街を歩く, 食べ物レポート

仙台の街中華2店

仙台の町中華を食べ歩いている。土地勘はほとんどないので、もっぱらネットで情報収拾をする。キーワードは餃子だったり、酢豚だったり。ラーメンでは中華料理屋がヒットしい辛いのは、それだけラーメン専門店が多いからだから仕方がない。その数ある町中華で、うまいまずいを超越して人気があるのが、この「北京餃子」らしい。名物は餃子であるのだと思うが、味は「餃子の王将」に近いニンニクが効いた肉少なめ餃子。値段を考えると立派なものだと思う。個人的な感想を言えば、価格品質比、コスパが良いのは埼玉地盤の満洲餃子が一番だと思っているが、北京餃子はそこに限りなく近い。

フォーラスというファッションビルの地下二階

この北京餃子の隣にはカラオケがある。反対側の隣はライブハウスらしい。ファッションビルの地下二階だが、地下一階からは通路がない。階段も一般人には閉ざされている。エレベーターで降りるか、地上一階からの直通エスカレータしか通用口がない。ほとんどダンジョンだ。そんな場所にも関わらず、学生を中心に男客でいっぱいなのは、圧倒的なコスパの良さだろう。特に餃子以外の名物が広東風あんかけ焼きそばで、隣の客が食べているのを見ると麺が3玉くらい入っているようだ。見ただけで腹一杯になる。その割にラーメンは普通の量で、味は・・・普通よりちょっと下だなあ。

肉野菜炒めのようなキクラゲ炒め

ちょっと変わったメニューとして、キクラゲ炒めとかエビ玉チリソース炒めとかがあるが、男二人とか三人とかでやってきて、ワイワイしゃべくりながら食い散らかすイメージ。だから、女性二人などという組み合わせは異常に目立つ。ところが、その目立つ二人がガツンと大盛りあんかけ焼きそばを食べていたりするから、油断できない。何度か足を運び全メニュー制覇してみたいものだが、どうにもダンジョンふうな通路が入りにくいのだよなあ。

ここの餃子は好みの味だ

餃子は見た目通り、ごくごく普通。最近聞きかじった酢と胡椒で食べてみるつもりだったが、焼き上がりのルックスであっさり方向転換し、酢と醤油とラー油でいただくことにした。普通にうまい。町中華では、普通にうまいが一番大事だから、看板商品が普通でよかった。ちなみに、この店では餃子単品のみという注文は不可。餃子定食にするか、他のメニューと合わせて頼むしかない。(安すぎるからだろう)ビールと餃子と行きたいところだが、申し訳ないので一皿ふた皿は他のものを頼もう。

さて、ダンジョンの奥深くから地上に出てくる。仙台駅から繁華街の一番町に通じるアーケードからちょっと折れたところ。コレまた古い造りのビルに、もっと古そうな店がある。「末広本店」であるが、ネット上では秋田に本店があるラーメン屋「末廣」とよく間違えられている。秋田の方の店は、ご主人が京都の有名ラーメン屋で修行して、秋田で開いた店だとのことで、いわゆる京都風豚骨コテコテラーメンだ。個人的には好きな部類だが、東北の各地、青森や岩手でたべてきて、いつも不思議だなと思っていた。

隣はおそらく本店の本店、蕎麦末広

さて、宮城の末広本店だが、コレは町中華の定番的定番店であり、自分が小学校の頃はこうした店でラーメンを食べるのが普通であった。デパートの大食堂のラーメンは、あまりうまくなかったような記憶がある。けっこう全国的に有名である札幌ラーメンも、昭和の中期には鳥がらスープに山ほどの人工調味料が入った、野蛮な味だったのだ。そんな時代に育ったので、今風の豚骨やら魚ダシやらWスープやらよりも、普通の醤油ラーメンが食べたいと思うことが多くなってきた。まあ、昔のラーメンはご馳走といにはあまりに野卑だったな。北の国からで純と蛍が食べていたラーメンもそんな感じだった。

メニュー表

このメニュー表を見てもらうとわかるが、潔いくらいシンプルだ。裏面にはご飯もののメニューもあるが、それも決してデミグラソースのかかったオムライスなんて乗っていない。心底、正当な町中華とはこういう店だ。店の入り口におばちゃんが座っていて、まず食券を買う。自動販売機ではない、おばちゃんに注文して食券を買うのだ。すばらしい。おばちゃんも昭和中期には、さぞ看板娘として人気があったろうと思う。おまけに従業員の女性は、某 泉ピン子さん出演テレビ番組のラーメン屋のような制服だ。

注文したのは迷うことなく醤油ラーメン。今風のラーメンはトッピングを含め実に立体的なのだが、昭和のラーメンはこのように平面的なビジュアルだ。メンマではなくシナチク、チャーシューは限りなく薄めがよい。札幌版なら、コレにお麩となるとが乗っているが、仙台版はだいぶ簡素なようだった。
黒板五郎さんが「まだ子供たちが食べてるでしょう」とクレームをつけたラーメン屋もこんな感じのラーメンだったような記憶がある。

シンプルな醤油味はありがたい。間違ってもごく太メンマとか炙りチャーシュウとかは乗っていて欲しくない、(どちらも好きですけどね)できれば、コレに追加でケチャップのかかったオムライスを注文したい。餃子ではなく酢豚が注文できるともっと良い。エビチリではなくかに玉が好みだ。目玉焼きの乗ったソース焼きそばも良いな。町中華でレトロなメニューを注文するのは、それも金に糸目をつけず、食べたいものを食べたいだけというのは、貧乏学生の頃の夢を叶える魔法の時間だが、残念ながら胃袋がもうそれについていけなくなっている。やるとしたら、半分以上食べ残し食い散らかすことになるので、あまりにも申し訳ない。誰か、胃袋の元気な連れを見つけて繰り出すしかないなあ。