食べ物レポート

布袋本店にて

中国料理布袋は、小ぶりな店だ。札幌の繁華街中心部、大通りから歩くと5分くらい離れている。決して便利な場所ではないから、この店に来るということは「わざわざ」来るということだ。周りにマンションもたくさんあるが、住宅立地というわけではない。オフィス外の外れというところかもしれない。
店内はカウンターには5−6人、テーブルが5卓くらい(テーブルがくっつきあっているので微妙な感じなのだ)あり、全体では30人入ると満席満卓というところだ。店頭では、揚げ物を調理する匂いがガツンと来る。この油感は、はらぺこの客にはズシっと来るボディーブローになる。

小体な店で、テイク注文も多かった

いっぺんに10人前くらい揚げている「ザンギ」は、テイクアウトの分も含め、一斉に出てくる。ザンギ単品は3個の小盛り、定食になるとこれが7個ついてくる。ザンギ定食を頼むには、前の夜から絶食して供えるくらいの気合が入りそうだ。と思っていたのだが、小盛りのザンギ3個はビールとともに、あれよという速さで完食。最初の2個は何もつけずにプレーンで食べる。最後の一個は特製のタレ(甘酸っぱい)をかけて味変した。あ、これだと7個食べられるかもしれないなあ、などと呑気に考えてしまった。表面はカリッと、中は熱々という揚げたての鳥唐揚げ、北海道バージョンが「ザンギ」だ。味付けはニンニクと生姜と醤油。不思議と東京あたりでこの手の唐揚げが売られていない。布袋は、中国料理点というより「ザンギ専門店」という感がするが、普通の中華系メニューも充実している。

名物 ザンギ

酢豚は、オーソドックスな中身で、豚肉は生姜醤油で下味がついている。ザンギを食べた後で、酢豚はきついと思ったが、完成度が高いのは間違いない。具材は玉ねぎとニンジンにピーマン。普通の組み合わせで、普通にうまい。酢豚定食も人気がありそうだ。最近流行の「黒酢の酢豚」的な(豚肉ごろりで野菜なし)モダンな料理は好みに合わない。酢豚は、やはり申し訳程度の豚肉と大量の野菜というのが、昭和の貧困世代にはあっているようだ。この酢豚は豚肉の量を見れば、限りなくご馳走というレベルで、涙が出るほど嬉しい。そういえば、もう一つのお気に入りの町中華「香州」の酢豚も肉が多かった。札幌の酢豚は肉推しか?
(個人的体験では、東京の中華の酢豚は肉が2−3切れというところが多い)

肉多めの酢豚 うまし

もう一つの評判メニューは麻婆豆腐なのだが、それはまた次回にしよう。

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鮨とザンギと中華麺  偉大なコラボ

札幌の都心部から少し離れたところにある町中華「布袋」は、何軒か支店を出しているが、そのうちの一つ「福禄寿」が鮨と中華料理を一緒に食べられる実にありがたいお店だ。雑居ビルの中層階にあるが、札幌駅前通り沿いに面していて、店内は小洒落た感じの「ジャパニーズ・チャイニーズレストラン」だ。カウンターに座ると鮨バーという仕掛けで楽しい。

窓の外は駅前通り

ランチには、鮨セット、鮨・中華セット、中華セットがある。今回は初めてのお試しなので、鮨中華セットにしてみた。遅めのランチということで店内は空いていたが、昼時はかなり混みそうな感じだった。その鮨・中華セットは握り4巻と巻物、中華麺、ザンギという取り合わせ。量的にはちょっと多いかなというところだが、まずは麺の伸びないうちに中華麺がから片付けることにした。

奥の皿がザンギ

あっさり系のスープと細麺で、強いて言えば味噌汁かわりみたいな感じだったが、これは好みだ。昼にガツンと食べる時には、太麺でつけ麺にするという満腹コースもあるが、細麺で量半分をスープとして食べる方がお腹に優しい。トッピングもない「素ラーメン」だが、横についているザンギがスーパーヘビー級なので、この具なし麺で良いのだ。布袋のザンギ(鳥唐揚げの北海道版)は、自分の中の全国鳥唐揚げベスト3のトップランクなので、なんの問題もない。「布袋のザンギ」は、おそらく札幌でも相当に評価が高いと思うが、ガツン系ランチとして布袋で「ザンギ定食」を食べると絶妙な幸福感を得られるという優れもの。それがラーメンのサイドとしてついてくるのであれば、全く文句のつけようがない。

鮨と中華麺のセット

そして締めに握り鮨を食すのだが、実は中華と鮨という組み合わせで、本店が中華なのだから鮨の方はまあまあの期待かな、などと正直軽く見ていた。実際に食べてみて、その見識の甘さを反省した。うまいのだ。鮨屋の鮨と同レベルと言うと失礼だが、鮨の専門店に負けていない。この鮨だけで十分にやっていける。お見それしました。個人的には鮨屋のレベルは、海苔巻きのノリで決まると思っているが、立派な海苔だった。

夜のコースメニューはもう少しメニューのバラエティーがあるようなので、次回はぜひ夜の部にチャレンジしよう。その時はザンギを3個にしなければ。

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ザンギという食べ物を極める 弁財天にて

ザンギという食べ物がどこまで全国区になったかは知りようもないが、北海道内でザンギが鳥唐揚げに変質しているのは事実だ。

昔はスーパーの惣菜売り場に行っても「ザンギ」しか売っていなかった。ところが本州から進攻してきた全国展開スーパーの拡大とともに、売り場に「鳥唐揚げ」が並ぶようになった。先月妙に気になり、札幌市内のイオン、ヨーガドーをみて回ったら、なんと「ザンギ」はすでに売り場にない。地元系のスーパーでもザンギではなく、鳥唐揚げになっている。これは歴史的文化的退廃であり、食文化の消滅現象だと一人で騒いでいた。
しかし、やはり心ある人たちはいる。少数ながらザンギ専門店というか、ザンギにプライドをかけた店もそれなりに生き残っているのだ。

布袋という中華料理屋は、何よりそのザンギで有名な店で、なんと嬉しいことにザンギ定食が餃子定食以上にゆるぎない存在感を示している。そしてその布袋が姉妹店を出した。「弁財天」は、飲茶を提供する中華料理店だが、セットメニューにはほぼほぼ「ザンギ」がついている。その名も布袋式ザンギ、強そうな名前だ。(まあ、弁財天は女の神様だから姉妹店ということで・・・)
注文したのは麻婆豆腐と麺とザンギのランチセットで、これはお買い得と言える。手前の小皿にあるのが2種類のザンギのタレ。もともとザンギはニンニクと生姜と醤油がベースの濃い味付けの鳥の唐揚げと定義できる。(味付けのバリエーションは店の数だけあるが)
だからタレをつけて食べる必要はないのだが、おそらく釧路地方のザンギ有名店が発祥のザンタレ定食が進化したものだろう。ザンタレは甘酸っぱい、いわゆる南蛮漬けのタレのようなものだ。

ザンギ本体は大ぶりの塊肉で、表面の衣はカラッとしている。小麦粉系ではなくデンプン系のカリカリさだ。そして、これを箸で食べるのが、生活習慣的に難しく(笑)、つい指で摘んでフライドチキン風に食べてしまう。はしたない食べ方だとは思うが、これがやめられない。本当はこのザンギを5個くらいテイクアウトして、家でゴロゴロしながら食べるのが良いのだよななどと思いつつ。味付けは正統醤油味でニンニク生姜か強め。旨しだ。

狸小路3丁目にあったサンデパート跡地が取り壊しになり、新ビルが建設されている。そこに入っていたドンキホーテが、向かいの狸小路4丁目に移り、そのドンキビル?にレストラン階ができた。なかなか個性的なラインアップのレストラン街だが、弁財天はそこにある。ザンギを食べに行くというと大袈裟だが、まさにザンギを食べに行くための店だ。

ちなみに麻婆豆腐も個人的には好みでありますよ。

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北海道のヒーロー 餃子のみよしのとザンギ

みよしのとは・・・

餃子の「みよしの」といえば、札幌人のソウルフードというか、札幌の高校生でみよしのを知らない奴はいない。だから元高校生以上という年配者も含めてみんな知っている、はずだ。もともとは狸小路にあるカウンターのみ、10席程度の小さな店だった。その餃子の安さに高校生が飛びついて、地下鉄駅周辺にじわりじわりと店が増えていった。カレーも安く、びっくりカレー¥190円は大学の学食より安いくらいだった。びっくりカレーに餃子三個乗せた餃子カレーが、男子高校生の鉄板定番だった。今ではさすがに餃子カレーも¥400程度はするだろう。

ザンギの話その「みよしの」で、一部店舗限定だがラーメンが食べられる。決してラーメン専門店の味を求めてはいけないが、そもそも餃子だって、とてつもなくうまいというものではない。この値段で、このボリュームで、十分満足できるよねというのが、「みよしの」の満足の方程式だ。うまさで超絶しているわけでもないし、長蛇の列ができるわけでもない。それでも、元高校生から現役高校生まで幅広い層で「みよしの」は支持されている。だから、この餃子とラーメンのセットは、そこそこのうまさの実現という意味でとてつもなく意味がある。「みよしの」の餃子食べたいなあ、できればラーメンも一緒に食べたいな的な利用動機にドンピシャあっているわけだ。
だいたいラーメン屋の餃子は高すぎるし多すぎるんだよね。(と、これは個人的な文句だ)
札幌人のB級ソウルフード、「みよしの」の餃子があるうちは、全国チェーン「餃子の王将」も、「幸楽苑」もなかなか札幌進出は大変だろう。

ザンギとは・・・

そして、もう一つの札幌というか北海道B級ソウルフード、「ザンギ」。ザンギとは何かと言われると、味付けの濃い鳥唐揚げといえば良いのだろうが、これもローカルルールの塊みたいな食べ物で、正確に定義は難しい。特に、鳥の唐揚げと何が違うと言われるのが一番答えにくい。最近のスーパー惣菜売り場では、ザンギが売られていないことが多いようだ。売っているのは鳥の唐揚げだ。(商品名にそう書いてある) ところが北海道人の会話には、鳥の唐揚げなる単語はほとんど出現せず、だれもがザンギという。

では、北海道人は一体どこでザンギを買うのかという疑問が出てくるが、街を歩いていたらザンギ専門店を発見した。
ザンギとは、まあ、写真の通り、こんなルックスの鳥の唐揚げだ。だいたい一口サイズよりも大きい。肉量でいくと50−100gの間くらいではないか。子供のゲンコツくらいという感じだ。そして、衣は小麦粉ではなく片栗粉、澱粉が多い。(この時点で竜田揚げとの差別が難しい)下味はニンニク・生姜・醤油が基本だが、最近は塩ザンギなるものが勢いづいてきたので、醤油が必須ではない。釧路地方では、これにザンギのタレ、ザンタレという酸味の強い甘酢醤油のたれをかけることがある。これも最近じわじわ広がっているらしい。
残念ながらザンギ専門店が札幌市内にごろごろあるわけでもなく、居酒屋でもザンギに遭遇できる確率は半分くらいではないか。

それでもこの後100年ぐらいは、北海道人はザンギと言い続けることだろう。少なくとも北海道に旅行して、メニューにザンギと書かれていたら注文してみることをお勧めしておこう。

ザンギ、うまいよ。

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札幌の中華料理屋を偉そうに研究してみると

札幌といえばジンギスカンとラーメンというステロタイプな話はちょっと脇に置いておき、札幌の中華料理店を考えてみる。ラーメン屋ではなく中華料理店だ。もともと日本の中華料理店には二系統あるように思ってきた。一つは日本が大陸を含めあちこちに出張っていた時期に、日本に渡ってきたメインランドチャイニーズをルーツとする、いわゆる本格派中華料理店。チャイニーズが日本人の下に合わせて調整しながらも、外国料理店として確立していったもの。横浜とか神戸にある中華街はこの典型だ。
もう一つは戦争に負けて、大陸から引き揚げてきた日本人、特に元軍人が当時を思い出しながら再現した、日本人の中華料理。言って見ればなんちゃってチャイニーズ料理であり、あっという間に日本化したもの。このタイプにはラーメン店や餃子店なども多い。で、札幌のチャイナレストラン事情なのだが、どうにもなんちゃって感が強いというか、ルーツなしなのではないか?といいたいぐらいで、ラーメン店から逆進化したようなとでもいえば良いのか。日本人が日本人に習って覚えた中華料理なのだろう。第三の波、サード・ウェーブ・チャイニーズといっておこう。

サードウェーブのキング? 「布袋」

布袋のザンギ

そんな札幌的中華料理店で超がつくほど人気なのが「布袋」のザンギ。そもそもザンギと鳥の唐揚げは違うのかという哲学的な命題だが、多分違う、いや、違うんじゃないかなと思う。スーパーの惣菜売り場やデパ地下の食品売り場では、ザンギと鳥からが別に売られていることもあるので、多分、違うものなのだ。個人的見解でいえば、しょうゆ味でにんにくとしょうががきつい味付けなのがザンギ。衣はデンプンの場合が多い。(竜田揚げ風ね)まあ、ザンギはローカルルールの塊みたいな商品なので、にんにく味の鳥の唐揚げは、大体の札幌人がザンギと認めるのではないか。そのザンギの名店が「布袋」であり、当たり前のようににんにくとしょうががガツンとくる。うまい。衣はカリカリしているので、揚げたてを食べつと中から熱々の肉汁と脂が飛び出してきて、口内火傷は必至だ。危険な食べ物なのだ。ついでに頼んだ春巻も実に好みだ。一緒についてくるつけ出汁も良いが、ここは浜松餃子風に酢に黒胡椒をたっぷり入れたものをつけて食べたい。ビールのお供のワン・ツーフィニッシュ。「布袋」恐るべしなのだ。

町中華の王様 「香州」

札幌で待ち中華の典型だった五十番がビルの建て替えで閉店してしまい、残る老舗といえば南3条西4丁目角「香州」のみか。この店もいい加減古いから客層はもうすっかり高齢者限定といいたいぐらいなのだが、味の方はまだまだこってりとしていて、オススメはこの大ぶりのシュウマイ。横浜崎陽軒のシュウマイは首都圏の定番と言えるが、札幌でうまいシュウマイを食べたければこの店に限る。カニシュウマイでちびちび紹興酒をロックで飲んでいると、これまた「貧乏人の桃源郷」となってくる。この店はいささか頑固なポリシーを持っていて、入り口にわざわざ「当店には禁煙席はありません」と書いてある。このネット社会では札幌の片隅の老舗にも外国人観光客が押し寄せてきて、禁煙席を要求するらしい。だったら日本語ではなく、簡体略字で「禁煙席ありません」と書けば良いのになと思いもする。

そして、本命中の本命酢豚を食す。これがまた良い、愛してやまないパイナップル入りに酢豚だ。人参が少なめなので色気が悪いが、味は抜群で、昭和の中華の定番的な甘酸っぱさがする。最近はやりの黒酢酢豚(具材は豚のあげたのだけ)みたいな偏屈な食い物ではない、野菜たっぷり、玉ねぎシャキシャキな酢豚だ。ご飯にかけて食べたいおかずな酢豚だ。この店で食す料理は、皆平成のオシャレ感はない昭和ストロングスタイル。令和の時代に生き残っていけるか心配だが、少なくとも自分が生きている間は元気に商売が続いていることを祈るしかない。

札幌に来たら中華を食べろとは言わない。が、布袋のザンギは食う価値がある。香州の酢豚も同じく食う価値がある。