食べ物レポート, 旅をする

立ち食いそばの旅 その2

前回の立ち食い蕎麦の旅は、なんとお目当ての店を間違えるという冗談みたいな失敗をしてしまった。駅の構内に2軒も立ち食いそば屋があるなど、普通は想像できないと思うのだが、事実は改札口の左右に2軒蕎麦屋があった。ちなみに、この本日の蕎麦屋の向かい側にはラーメン屋がある。なんとも素晴らしい麺麺天国な駅だ。それを支えるだけの乗降客数があるのだろうか心配になるレベルだ。秩父市民は無類の麺好きなのかと思ってしまう。

芝桜駅と書いてあるが、この駅は「御花畑」駅だ。芝桜の名所が近くにあるので、飾り看板としてかかっているのだろうし、愛称駅名だ。その駅舎の隣に立ち食い蕎麦屋がある。これも実に古典的な立地だ。

店名は、どうやら「秩父そば」らしい。この店の他にも店があるのかもしれない。メニューは駅そば店としては珍しくシンプルだ。ただし、今回のお目当てはきのこそばで、それもメニュー板を見ると季節限定とある。何も迷わずにきのこそばを注文したが、メニュー板をよくよく眺めてみると、これが一番高額な看板メニューだった。きのこそばは天ぷらそばより高いのだから、「きのこ」はトッピングとして偉いようだ。キング・オブ・トッピングというやつだ。

注文の品は、ほぼ待ち時間なしに登場してきた。(駅そばなので当たり前か)そして、味はジャパニーズ・ファストフードである立ち食いそばの伝統をしっかり守った逸品だった。大量にのっているきのこは、何種類かのキノコがミックスされていて、薄い塩味がついている。ネギも多めだが、立ち食いそばの名脇役であるワカメもたっぷり入っていた。
このワカメというのは、伝統的な蕎麦屋ではあまり見かけない気がするが、立ち食いそばでは海苔の代わりに廉価版トッピングとして使われているのだろう。わずかにただよう磯の香りが、出汁の聞いたつゆにはよくあう。
蕎麦は茹で置きしたものを使っているようで、柔らかめだった。蕎麦の味は蕎麦っぽい。というと変な表現だが、立ち食いそば屋で多く使われている、小麦粉の割合が多いうどんに近い麺とは違っているという意味だ。つゆは薄めのあっさり系だった。どんぶりの底が見えるほどの完食をしてしまった。

楽しみにしていたサイドアイテムの味噌ポテトは売り切れだった。多分、観光客が押し寄せる週末だけの提供ではないかと思う。原材料はじゃがいもだけに、夏だけ提供という季節性はないだろう。今ポテトは蕎麦と同じくらい期待していたので、これは残念だった。
ただ、写真を撮っていて初めて気がついたのだが、キノコそばに匹敵する高額メニューがあった。「しゃくしなそば」だが、これは食べたかった。しゃくし菜漬けのうっすらとした酸味と蕎麦はよく合いそうだ。おまけに、これまた全く知らなかったのだが、SLパレオ号のカレーというものが存在するようで、それを使ったカレーラーメン、カレーうどんがある。なんと、こちらの方がキノコそばよりはるかにご当地蕎麦っぽいではないか。おまけにぶっちぎりの高額メニューだった。

その後、SLパレオのカレーを探してみたが見つからなかった。ひょっとすると秩父ではなく熊谷駅あたりで売っているのかもしれない。カレーラーメンも食べてみたいが、それより先にカレーを食すべきだろう。
また、秩父に行く用事ができたようだ。