駅弁

弘前の駅弁

弘前駅で、「津軽弁」の販売どころで入手した弘前限定の駅弁がこれだ。「津軽弁」(津軽の言葉ではなく、津軽の弁当と言う意味で使われている)販売コーナーでは、青森西部、津軽地方の各地から弁当が集まってくるので、きっちり確認しないと弘前なのに弘前以外の駅弁を購入する羽目になる。それがまずいとは言わないが、ちょっと残念な結果だと思うのだ。販売員の方も、これは手作りでおすすめみたいなことを言っていたので、迷わず選んだ「弘前弁当」だ。

弁当箱の中身は真ん中に4種類のご飯が入っている。紅白の対比が綺麗だが、栗が乗っているおこわもオシャレだし、黄色い卵乗せご飯が1番のおすすめだと思う。左右両サイドには津軽地方の家庭料理が入っている。当然、イガメンチもあるが、甘い卵焼きがイチ推しだろう。
だし巻き卵に慣れていると、この甘い卵焼きはケーキのような甘さに感じる。素朴というのとは少し違う気がするが、料亭の味のようなプロ感がある料理とも違っている。おそらく自分のうちに「お客が来た時のご馳走」とでも言えば良いのだろうか。卵焼きを普段よりちょっと贅沢な料理にしてみました、という感が強い。

弁当売り場の横にあるリンゴのオブジェをチラ見しながら、駅弁を選んでいるのは、なかなか旅情溢れる楽しい時間だった。これは地元の駅前で臨時販売している、横浜崎陽軒のシウマイ弁当を買うのとは随分違う。
駅弁の楽しみは、食べるだけではなく、買うところから始まるのだろう。それが、例えば駅のホームの売店かもしれないし、改札に入る前のお土産屋かもしれないが、いつもと違う光景で、いつもとは違う言葉を聞きながら、駅弁を買うから増幅される幸福感なのだと思うのだ。
飛行機を使った旅とはまた一味違う鉄道旅。これがあるからやめられないんだよね。

駅弁

ヘッドマーク 駅弁の華と憧憬

年末の10日間に季節限定販売で発売されたヘッドマーク弁当を、東北で仕事をした帰り道でゲットした。大宮駅、上野駅、東京駅で販売していたようだが、大宮駅で購入した。夕方だったせいもあり、最後の一個だった。つばさは山形新幹線が開通するまでの東京山形を結ぶ特急だったとのこと。確かに山形は出張で出かけるには微妙な距離感のあるところで、うろ覚えの記憶だが一度だけ羽田から飛行機で行ったような気もする。

専用弁当箱は4箇所で固定する、汁漏れもない頑丈なタイプで食べ終わったあとは再利用できる。鉄道オタクの成分が強めで弁当を持って仕事に行く人であれば、ちょっと使ってみたくなるかもしれない。

弁当の中身は、かの名作「牛肉ど真ん中」の製造元なので肉盛り弁当としては完成度が高い。牛肉ソボロとすき焼き風の肉がご飯の上に乗っている。弁当箱がコンパクトなので、ガツンと食べる感じにはならないが、量は少なめで味はガツンとくる弁当がお望みの方にはぴったりだろう。

このヘッドマーク弁当はお値段がそこそこ高いのと、季節限定どころか10日間限定みたいな売り方をするので、なかなか揃えることが難しい。いってみれば憧れの華的な高級志向というか、一段レベル上の存在だ。それが、いつの間にか第8弾まで伸びていたのを知って、ちょと愕然とした。やはり新宿京王百貨店の駅弁大会で地道に欠番を揃えることにしようか。ただ駅弁大会でも全種類出品はなく、せいぜい2−3品だからコンプリートまで何年かかることか。駅弁買いの悩みは深いのだ。

駅弁

人気駅弁を解体すると

前々から気になっていた新潟駅弁の名作を、東京駅で手に入れた。駅弁屋は一時期のがら空き状態がどこに行ったかと思うほど、旅行客で激しい混雑ぶりだった。お目当ての弁当を探すのにも苦労する。幸いなことにこの駅弁が入荷していれば入り口付近に置いてもらえるのがありがたい。人気者の強みだろう。
それでも時間によっては入荷前だったり、売り切れていたりでなかなか手に入れることができなかった。ちなみにこのえび千両ちらしと書かれているものは絵葉書になっている。駅弁を食べたら感想を誰かに書いて送りなさいという、親心というか心優しさだ。

蓋が二重になっていて、下の蓋にはお品書きが添えられている、なんともそそる駅弁だ。そして蓋をとると、全面的に黄色が目に入るが、これは厚めの卵焼き。真ん中に乗るのはたらこかと思ったら、エビのおぼろらしい。

卵焼きを半分めくってみたら、その下にはうなぎとこはだが「こんにちは」と登場してきた。なんとびっくり箱のような仕組みになっている。

卵焼きを全部外してみたら、エビとイカも出てきた。これだけでちらし寿司的に完成形だとおもうが、実際には卵焼きで隠されている。この仕掛けを知らずに卵焼きだけ見たら、なんだかしょぼい感じがするのは間違いない。
このサプライズ型の弁当はあまりみたことがない。ご飯の上をおかずが覆っている、例えば焼肉弁当みたいなものはよくある。鶏そぼろと錦糸卵でフルカバーという駅弁もたくさんある。しかし、全面卵焼きとは、すごいものだ。
酢飯は、主食として食べるのも良いが、酒の肴としても戦闘力抜群だ。JR東日本の駅弁味の陣で大将軍認定されただけある。しかし、新潟の駅弁が東京で買えるというのも、これはこれですごいことだ。新幹線を使ったサブ・物流は真剣に考えても良いのではないか。やはり最後尾と先頭車両を貨物仕様に改造して、海産物などを2時間で運ぶサービスがあれば、使いたい飲食業も多いと思うが。

街を歩く, 駅弁

人気NO1弁当らしい鳥弁

ネットニュースのコラムか何かで見たのが、蒲田にある弁当屋の話だ。「鳥久」という弁当屋がテレビ局のロケ弁でNo.1の人気商品だという。へえと思った。ロケ弁はもっと高級そうな料亭製造みたいなものだとずっと思っていた。
蒲田に行くことはまずない。おそらく、これまで蒲田の駅で降りたのは人生全部合わせて3回くらいだろう。だから、その時の目的地を全て思い出せるくらいの「行くのは稀れ」な場所だった。
いつか機会があればと思っていたが、やはりというか当たり前というか、もう何年も経ってしまった。これはいけないぞと、あえて弁当を買いに蒲田へ出かけることにした。
ところが、あまり考えもしなかったので、残念ながら蒲田に着いたのが午後2時過ぎで、ほとんどの弁当が売り切れていた。やはり弁当屋は昼前に行かなければいけないなと反省した。それでも、お目当ての特製弁当はなんとか手に入れることができた。

鳥の串焼き、鳥の唐揚げ、肉団子など鳥料理が入っている。白飯の真ん中には梅干しが一つ。ああ、実にこれが日本の伝統芸だ、と思った。おかずとご飯のバランスが微妙だが、最近の弁当はご飯少なめ、おかず多めが主流だろう。それと比べると、この特製弁当はちょっとご飯多めに仕上がっている。「特製弁当」が人気の理由がここにある。崎陽軒のシウマイ弁当と共通点がある。つまり、伝統的弁当は、米を食べるためにおかずがある。そこがポイントだ。

店頭に並ぶ様々なお弁当が、基本的には鳥のおかずの弁当だった。昼過ぎにもかかわらず店頭に車を止めて買いに来る客が絶えない。一番人気は唐揚げ弁当のようだが、大振りの唐揚げは家庭では調理しにくいから、人気の秘密はその辺りにもありそうだ。また食べてみたい名物弁当だった。ようやく念願が叶い、人生の積み残したお荷物を一つ片付けた気分になった。やはり、蒲田は遠かったが、空港に行く途中でよれば良いのだと、家に戻ってきてから気がついた。間抜けな結末でありました。

駅弁

東京駅で駅弁

これは津軽弁なのか南部弁なのかちょっと悩むお国言葉らしき宣伝文句
なんとなく理解できるので、おそらくは津軽弁だろう

JR東日本の駅弁味の陣が後半になった。所用のついでにちょっと遠回りになるが東京駅経由で移動することにした。東京駅の目的は、中央コンコースにある駅弁屋で珍しい味の陣弁当をげゲットすることだった。東北北部からの出品で青森の駅弁を買った。新幹線で運べば3時間程度で東京駅に着くのだから、青森、秋田、岩手の駅弁はぜひ常時販売にしてもらいたいものだ。
などと思っていたら、JRが北陸新幹線を利用した生鮮輸送サービスを始めるとのニュース記事を読んだ。新幹線は上りの先頭車両を貨物専用に改造して生鮮食料品などの配送に使えば便利だろうし、その中に駅弁を加えて欲しい。特に北東北の駅弁には好みのものが多いので、熱烈要望したい。

これで日本酒カップ酒 たっぷりいけるか?

青森の新鋭駅弁は、ご飯の上に青森名物の海産物や肉料理が乗ったミニ丼的なものが3種類で、付け合わせがあれこれちまちまと入っている。味付けは全体に濃いめだが、それは北東北の料理として共通項だし、自分の好みにあっている。全体的には米の量が多いが、どちらかというと飯を食うというより酒のつまみ的な要素が強い。個人的な思い込みだが、駅弁は比較的高価な弁当で、若い人であれば安価なコンビニ弁当を選ぶことも多いような気がする。駅弁ファンに高齢者の観光客が多いと思う。ましてやボリューム系の駅弁になると、酒の肴に調達する高齢世代、それも男性が多いのではないかと思うのだ。
先近の女性グループ観光客の多さにもかかわらず、女性向けのおしゃれっぽい野菜中心の弁当が少ないのは、駅弁屋の開発意識の問題なのかもしれない。平日に新幹線に乗るとよくわかるが、ビジネスユースとはっきりわかる黒い集団、カラスのようなスーツ集団は半分程度しかいない。これがボリューム系弁当の対象集団だ。
残りの観光目的らしい一人、二人での旅人は大半が女性だ。その女性旅人も年齢にはずいぶん幅がある。グループの人数が増えるとほとんどが高齢女性に見える。この辺りのニーズが取りこぼされているのは、車内で食べているものを見れば一目瞭然だ。

食べ物の商品開発の鉄則は買う人のニーズを知ることだが、「うちの商品を買わない人は、それ以外の何を食べているのか」を研究しないと、蛸壺的な企画しか出てこない。駅弁の問題点は、そこにあるような気がしている。味付けに限らず、見た目や素材、カロリーや糖質の情報など、アピールすべきことは多い。その研究を嫌がっていては、ただただ値上げするしかない滅びの産業になる。その辺りの危機感が足りないのではないかなあ、飛べ詭弁を食べながら思うことは多い。

個人的には高齢のおっさん向け弁当は大好物なので、それがなくなってしまうのはとても困るのだけれどねえ。

駅弁

駅弁味の陣 買い出しに行った

このサイトから応募した。投票は弁当付属のQRコードから

ネットニュースで知ったJR東日本のイベントだが、これまでうまいなあと感じていた駅弁のほとんどが、この「駅弁味の陣」というイベントで優勝していた。優勝すると大将軍に認定されるようだ。大将軍好みなのだから自分の舌もそれなりなものだと笑ってしまった。本当は旅に出て、車窓を越しの風景を眺めながら食べるのが駅弁の楽しみだが、今年は事情が事情だけに、「おうちで駅弁」というなんとも情けないことになる。
それでも、あちこちの駅で駅弁販売会をするというので、近くの国分寺会場まで出かけてみた。まだ見ぬ駅弁が買えるかなと期待していたのだが、ほとんどが実食済みのもので、販売されている駅弁は、ほぼ関東圏のみだった。できれば東北の弁当を手に入れたかったのだが・・・。

包装紙がなんともゆるい

それでも、今回の獲物は今年の新作らしく山梨の弁当で「ワインのめし」と、ちょっと買う気をそそる。この包装紙のイラストがなんともヘタウマ系というか、駅弁の中身を想像するのが難しい。武田信玄と思しきおっさんは弁当のおかずにはならないから、その周りにいる怪しげな魚や牛、鳥が素材なのだろう。信玄おっさんの前席にいる「ほうとう」風な鍋は何を意味しているのか、などと考え出したら、あまりにシュールな気分で・・・。

蓋を開ければ、それなりにバラエティに富んだ九品があり、添付解説書を読むとメニューはフレンチ仕立てらしい。見た目は和風っぽいが、ワインに合わせたフレンチ弁当ということなのだろう。右下にある白いものが、ほうとうのグラタンだった。左上の白いやつはチーズケーキレーズンパンで、この九品の中に米飯は存在しない。とても手の込んだ駅弁だけに、お値段もお高めだった。
駅弁とは思えない内容で、デパ地下でフレンチ惣菜のオードブルを買ったと錯覚するほどだ。俺様はな、駅弁ではないんだぞ、ワインのつまみなのだぞ、と自己主張する極めて稀有な駅弁だと思う。
これと比べれば横川の釜飯など実に和風だ。簡素系駅弁の代表である牛肉どまんなかと比べればゴージャスというか華やかさがある。横浜のシウマイ弁当が造作的には近しいような気がするが、それでもシウマイ弁当は白飯がしっかり主張している正統的な弁当だ。この「ワインのめし」は、めしと言いながら「めし」を拒んでいる革命的な駅弁なのではないだろうか・・・などと思いながら、ワインと一緒にいただきました。やはり、「めし」というよりワインのつまみだったなあ。

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松本駅の弁当 3

松本駅から黒部ダムを目指す時に使う大糸線には一度乗ってみたいと思いながら、今まで機会がない。新幹線が長野まで開通する前まで、長野に行くのはそれなりに苦労する時間距離だったが、高崎から軽井沢を抜ける特急を使い途中で横川の釜飯を駅弁で買う楽しみがあった。それでも上野長野は3時間以上かかっていたのではないか。あやふやな記憶だが、九州や北海道の各都市に行くくらいの時間距離感があったのは確かだ。ただ、その頃に中央本線、松本経由で長野という発想はなかった。時間的には高崎経由の信越本線も、松本経由の中央本線も変わりはないような気もするが。

松本駅弁の三つ目は、やはり松本名物山賊焼だろう。ただし、山賊焼発祥の店は塩尻にあるようで、そこから生まれ広がった広域松本の名物ということだ。スーパーマーケットの惣菜売り場でも、山賊焼は当たり前に売られている。おそらくチキンカツよりは大量に売られている。お隣の諏訪地域でも山賊焼は売られているが、山を越えた上田、佐久、軽井沢では売られているかどうかは未確認だ。ライバル長野市では販売拒否されているかもしれない。

イイダヤ軒のお弁当はラインナップ豊かで、ゴージャスな弁当もあるのだが、やはりこのシンプルな山賊焼弁当がイチオシみたいだ。鳥もも肉をニンニク醤油その他諸々のタレで下味をつけ、竜田揚げ風にしたものが山賊焼だ。これをご飯の上にゴロンと乗せれば出来上がり。シンプルというかワイルドというか。おまけにちょっと食べにくい。シンプル駅弁の特徴である、おかずは添え物という鉄則も律儀に守られていて、つけもの+その他少々というスタイルだ。わさび漬けがついているので、その辺りに松本名物の色を残しながら、なぜか一口ゼリーがついてくる。山賊焼は冷めてもうまい揚げ物なので、これで良いかと、ある意味で諦めがつく。ただ、細かい心遣いもあり、山賊焼の油がご飯にうつらないように、白いプラスチックシートが山賊焼とご飯の間に敷いてある。だから、食べる時には、まずこのシートを取り外す必要がある。そうしないとご飯が食べにくい。

もの+

米沢の牛肉どまん中に代表される肉系ガツン弁当は、あくまで肉と米を食べることに主眼が置かれているので、おかずは本当に添え物だが、そこは選択と集中を貫くべきだろう。個人的な見解として某フライドチキンチェーンは、こう言うライスメニュー(テイクアウト専用)を開発すれば良いのではないかなあ。〇〇〇のチキ弁、売れそうだけど。

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松本駅の駅弁 2

発車時刻案内板の中央西線と中央東線という表記は、ひょっとすると松本駅でしかみられない書き方なのではないか、などと変なところで感心してしまった。確かに松本駅は篠ノ井線の駅なのだろうけれど、そのあたりを詳しく書いても旅行者にはわかりにくいだけだろう。そもそも松本駅利用者(訪問者)の立場で考えてみると、新宿から松本経由で長野に行く人がどれだけいるだろうということだ。東京駅から新幹線で長野に行く人が圧倒的に多いだろう。たまたま住まいが八王子で、東京駅に行くよりは、特急あずさに乗って行った方が楽かなあ、と考える人がどれだけいることか。
その上、松本で一旦降りて、また長野を目指すという複雑な行程の旅人しか、この中央東線のお世話になることはないのだ。この時刻案内板には、その辺りのJR関係者の微妙な感覚が表れているような気がする。謎は深いなあ。

松本の駅弁の二つ目は、やはり塩尻の駅弁屋のもの。幕の内弁当風な、ちまちまとしたおかずがたくさん入っているタイプで、ご飯が少なめ。受ける感じとして、在来線でのんびり鉄道旅を楽しみながら、酒のつまみとしてワンカップを片手にどれを食べようかあれこれ悩む、みたいなオッチャン向け商品だ。包装紙に書かれた内容説明を見るだけで楽しくなる。

ところが、ちょっと笑ってしまったのが、包装紙を開けたらなんと違う名前の弁当が出てきた。うーん、色々とツッコミどころはあるが、おそらく弁当箱の在庫を大量に抱えたまま、リニューアルすることにした。そのため、包装紙で名前を隠してしまう作戦、みたいなことだろう。ここは笑って許そうではないか。何年か経てば、在庫処理も終わり新しい箱が登場するに違いない。

そして蓋を開けて中身を見ると、いやはや、傑作だった。これだけあれば、ワンカップどころか酒の2杯や3杯は飲めそうだ。これまでは鳥取駅「とっとりの居酒屋」と弘前で買った「津軽の弁当お魚だらけ」が駅弁界の二大酒のつまみ駅弁だと思っていた。その酒のつまみ弁当についに新規認定するものが現れた。これで、三大酒のつまみ弁当になる。
個人的には、卵焼きと蒲鉾の組み合わせはあまりに幕の内弁当っぽいので評価が下がるが、世の中にはこの二品が弁当の絶対定番と思う人もいるだろうし、文句をつけようとは思わない。かの名作、横浜シウマイ弁当にも卵焼きとかまぼこはセットされている。弁当界の定石と諦めよう。
塩尻定番の山賊焼と、キノコの酢の物あたりがご当地感、山国感を強く打ち出している。あきらかに塩尻の駅弁はハイレベルだった。実はこの弁当屋の釜飯も食べてみたいのだが、それはいつの日にか。釜飯の傑作、横川の釜飯と匹敵しそうな予感はしているのだが。

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松本駅の駅弁 

松本と聞くと、昭和歌謡の名作で歌われた新宿発「あずさ2号」のイメージが強く、中央本線の駅だと思い込んでいた。よくよくJR 路線図を確かめると、中央本線は松本の手前、塩尻駅で名古屋方向に向かう。松本駅は塩尻と長野を結ぶ中間点の扱いだった。北アルプス方面の山登りや上高地観光に行く場合は、この松本駅が鉄道乗り換え地点に当たるのだが、それでもあずさ2号が通ると思い込んでいた中央本線駅とは違う。篠ノ井線だった。しかし中央本線の駅ではないが、あずさは通る。全く自分の思い込みの記憶違いだ。
ちなみに新宿発のあずさ号で松本までは2時間40分ほど。東海道新幹線で言えば東京・新大阪が2時間半程度だから、感覚的には松本と大阪は同じくらいの距離になる。だからブレイクハートで旅に出ると、信州松本は程よい距離になる。これが甲府ではちょっと近すぎるし、八王子や高雄ではお手軽すぎる。松本の先、長野まで目指せばどうだと言いたくなるが、長野だと心理的、感覚的にちょっと遠すぎるみたいなところか。昭和歌謡をよく知らない人は、狩人、あずさ2号で検索して歌詞を調べてみると理解できるはずだ。

与太話はさておき、松本駅は駅の規模の割に駅弁の種類が豊富だと思う。東北新幹線や北陸新幹線各駅でも、これ程の駅弁ラインナップを持つところは少ないはずだ。その理由は、松本駅の駅弁と中央本線塩尻駅の駅弁が販売されているからだ。東京と横浜の駅弁が並ぶ品川駅みたいなものだろう。駅弁の種類が豊富で選ぶのに困ってしまう。
おまけにもう一つ困るのが、改札口の中に駅弁売り場があり、土産として駅弁を買うためには入場券が必要になるということだ。仙台駅では改札の外に駅弁専門店があるので便利だった。札幌駅、盛岡駅、京都駅、広島駅も改札外で駅弁が買える。東京駅の「祭」は改札内、新宿駅、品川駅も改札内だから、駅によって駅弁販売の対応はさまざまなので文句を言っても仕方がないか。

改札の外にある駅弁ポスター 入場券販売強化を狙うJRの陰謀のような気がする

今回のお目当ては「とりめし」で、弁当の包装紙にあるように塩尻市の弁当屋さんのものだ。鳥のイラストもゆるい感じでほのぼの感があるが、このご時世で税込み700円というのはずいぶんと張り切った値付けだ。ただ、この駅弁は歴史が長いようで、ずっと前から革新的な値付けだったのだろう。ちなみに700円の駅弁として記憶に残っているのは横川の釜飯だが、30年ほど前になる。釜飯はコンビニ弁当の2倍だなという記憶なので、現在の横川の釜飯1000円も似たような価格設定ということになる。
そうなると、このとりめしのお値段はすごいものなのだ。おまけに信州特産野沢菜入りと大きく書かれているが、野沢菜たっぷりが信州人に効き目のある言葉とは思えないので、県外人向け商品なのだろうと推理する。圧倒的な価格戦闘力と、ローカル食材アピールは素晴らしいマーケティングセンスだ。

蓋を開けると、鶏そぼろと鶏肉のW鳥パワーで攻めてくる。野沢菜もたっぷりと言うか、もはやこれは主役級の量で、とり野沢菜メシと言った方が良いくらいだ。紅生姜程度の量であれば、添え物として奥ゆかしい。そして、味違いを楽しむ名脇役になる。ところが、この野沢菜の量は暴力的で、主役を食ってしまうWヒロイン的な強烈さだ。しかもうまい。野沢菜というとすっきりとした浅漬け、時間をおいて発酵した古漬け、どちらも捨て難いうまさだとは思う。が、このとりめしに乗った野沢菜はもう一つの変化系野沢菜で、濃い味付きの野沢菜炒めだった。

結論だが、このとりめしは反則級にうまい素晴らしい駅弁で、できればあずさ10号(例の昭和歌謡のあずさ2号はすでに廃止されている)で新宿駅まで運んできて、新宿駅の駅弁専門店で売って欲しい。今でも、山梨の駅弁は売っているのだから、ぜひ駅弁屋さんとJRの方、ご検討ください。

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山形の駅弁で旅気分

10月からJR東日本の駅弁キャンペーンが始まるというネット記事を読み、所用のついでに駅弁を買ってこようと思い立った。いつもは新宿駅構内の駅弁屋を使っているが、久しぶりに東京駅駅弁専門店「祭」に出かけてみた。この一年半は、駅弁屋はいつもガラガラだったが、なんと緊急事態宣言をものともせず、店内は歩くとぶつかるほどの客に溢れていた。その中であれこれ物色しながら選んだのが「山形県米沢」の弁当屋の2段重ね弁当。米沢といえば米沢牛の駅弁が有名なところだが、駅のホームで立ち売りをしているという「駅弁の聖地」なのだ。山形には新幹線のとまる駅、米沢、山形どちらでも駅弁が買えるが、個人的には米沢派だ。

ご飯は柔らかめでもっちりとした感じ。オカズは鮭、里芋の煮物などがご飯の脇にある。そして二段目のオカズセットの詰め合わせでは、山形名物玉こんにゃくに絶対定番牛肉と牛蒡の煮物、なぜか肉団子としゅうまいがあり、これまた山形名物の漬物数種と、「山形の幕内」的なものだ。
華やかだし、二段重ねのリッチ感がよろしい。だいたい北東北の駅弁は、これに似たおかずがたっぷり色々詰まっている系が好みだが、牛肉ど真ん中のような「一点豪華主義」な海鮮弁当もある。秋田の鳥メシはその典型だろう。青森にあるカニやイクラが一面に敷き詰められた感じのものも触手をそそられる。
南東北になれば、宮城はさすがに東北の中心、仙台藩の文化というか、あれこれ料理が得意だぜ的幕内弁当が目立つ。福島では郡山の海苔ノリ弁当の一点突破型があるが、会津の2段重ね弁当は入れ物も合わせて秀逸だ。
山形は牛肉特化型がメインだが、今回購入のこの2段重ね弁当は、やはり列車に乗って車窓を眺めながら、ちびちび日本酒と合わせて食べたいものだ。ひとりプチお花見みたいな行動にあっているのが幕の内弁当で、この「山形みちのく旅めぐり弁当」はまさにThe幕内駅弁 な感じがする。

10月になれば首都圏のあちこちの駅構内で駅弁大会「味の陣」の駅弁販売がおこなわれるようだ。電車に乗って駅弁買いに行く「小旅行」に出かけよう。