食べ物レポート, 旅をする

羽田空港のメルセデス・カフェ

虎ノ門にあった港屋が突然閉店してから何年たっただろう。その後、都内某所に支店が開いたとネットニュースで見たが、ついつい行きそびれていた。たまに港屋インスパイア系のラー油蕎麦屋でお茶を濁していた。その港屋が最近、羽田空港に開店したというニュースを見て、これは是非行かなければと思いつつ3ヶ月ほど経ってしまった。ようやく空の旅ができるようになり、いつもより1時間ほど早く羽田空港に向かった。

羽田空港の全日空側の地下から搭乗口に上がるエスカレーターの奥にある、メルセデスベンツのPRスペースの一角に港屋ラウンジがある。どう見てもカフェだ。洒落た空間だ。エスプレッソとかなんちゃらラテが似合う店だ。確かに港屋も立ち食いそばながらエレガントな空間だったが、さすがにここまでカフェぶりにはしていなかったような気がする。

店頭に出されたメニューを見ると、一番上にあるのが「冷たい肉そば」だった。これを見て初めて蕎麦屋だとわかる。蕎麦以外にはカツカレーもある。ドリンクはコーヒ−100円、生ビール500円というこれまた微妙な値段で、どうやらここはカフェではないぞという気がしてくる。しかし、港屋の蕎麦は普通の蕎麦ではなくラー油蕎麦で・・・みたいな説明が一切ない。港屋のそばとは何であるかを理解している客以外を無視しているとも思える。ただ、初めて食べる港屋のそばに感激する人は多いと思うのであまり心配はない。

入り口のカウンターで注文すると呼び出し器を手渡され、席で待つセルフ方式だった。客席はコロナ対策がされていて席間の間隔も広いゆったりモードだ。しかし、どう見てもこの空間はスタバ的なカフェなのになあ。などと考えながら100円のコーヒーを飲みつつ待つこと数分で呼び出された。

久しぶりの肉そばだった。記憶にあった味を思い出しながら、もぐもぐと食べ始める。ラー油蕎麦は麺が太めで硬いのが特徴だから、するっとではなくモグモグになる。それでも、思っていたより麺が細かった。記憶とはかなりいい加減なものだから、太いと思い込んでいただけかもしれない。ラー油入りのツユももっとしょっぱいような記憶だったのだが、甘さが思いのほか強いという印象がした。どうやらインスパイア系の味に記憶が改竄されてしまったらしい。
この甘めのツユがやはりうまい。またツユの量がたっぷりあるのが嬉しい。つけ麺も含めてツユの量が少ない店が多いので、このタップリ感にありがたみが出る。卵も生卵ではなく温泉卵だった。これはやはり最近の衛生事情の影響だろうか。
ちょっと多いかなと思っていた蕎麦をたちまち完食した。やはり肉そばはうまい。羽田空港の絶対定番はこれに決まった。羽田空港は、搭乗時間に十分余裕を持って、ラー油蕎麦を食べに来る場所になる。早朝便以外は、早ランチ、遅ランチ、ティータイム、全時間帯、ラー油蕎麦を食べることにしよう。

人生長く生きているといいことはたまにあるものだ、などと長寿を願う蕎麦を食べながら感動しておりました。

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蕎麦 あれこれ

松本で朝飯は蕎麦にしようと決めていて、8時過ぎに勢いこんで向かったのは松本駅1階にある手打ちそば屋だった。しかし、なんという運のなさだろう。この日に限って厨房メンテナンスのため開店時間は未定とのこと。5分ほど店内を覗いたりうじうじとしていたが、結局諦めて他の店を探すことにした。その後、買い物のため11時ころに戻ってきたら、もはや行列ができていた。あーあ、残念。食べてないから、余計に思い込んでしまうのは、きっとこの店の蕎麦はとても美味いのだろうなということ。

素朴なうまさ 出汁のバランスがとれたつゆが良い

そこから歩いてほんの1分ほどにある、座って食べる立ち食い蕎麦屋があり、駅弁製造の会社が運営している。店内には駅弁のチラシも置いていた。トッピングに駅弁に使われている山賊焼(松本あたりの名物鳥唐揚げ)があるということだったが、自動販売機のボタンには「山賊焼売り切れ」と札が貼ってあった。これが不運のパート2だった。山賊焼は諦め、山菜蕎麦にした。これは蕎麦とつゆのバランスが良い。山菜もたっぷり乗っていて、ネギはセルフで盛り放題だった。満足しながらそばを半分食べたところで、なんと山賊焼到着とのこと。駅弁で製造したものが配送されてくるらしい。悔しいので山賊焼のみテイクアウトした。自宅に戻り食べてから後悔した。一個ではなくもっと買ってくればよかった。ちなみに、山賊焼ハーフサイズ120円(税込)なので、10個くらい買うべきだった。

松本に初めてきたのは、乗鞍岳の中腹にあるキャンプ場に行った帰りで、その時に入った蕎麦屋が今も健在だった。その後も、時々この店には立ち寄っているが、いつも安定したうまさだ。初めて入った時は子供連れだったのだが、従業員の方が子供のそばアレルギーを気にしてくれたのが忘れられない。

人づてに教えてもらった、うまい蕎麦屋の一軒が、中町通にある。売り切れ終いなので、この店に来る時はいつも開店前に並んでいた。週末であればなかなか入れないらしい。店頭の張り紙が痛々しいが、今食べられるのはざるだけになっているようだ。寒い季節になれば、かけそばに天ぷら別添で熱燗という不良な蕎麦の楽しみ方もあるのだが、当分お預けになるようだ。それにしても微妙に英語表記が混じるのは、この店がインバウンド客に占拠されていた名残なのかななどと思った。ひょっとすると松本には外国人居留者が多いのかもしれないが。

縄手通りの神社の境内の中に蕎麦屋ができていた。というか、これは移設してきたのだろう。神社の建物の一角に入り込んでいるのでわからなかった。この店は、松本にある多くの蕎麦屋の中で、一番の高級店かもしれない。日常遣いで食べられる値段ではなく、やはり松本城観光にきた人たちとか、昼の社用接待みたいな感じだろうか。神田の薮、浅草の並木藪、室町砂場といったお江戸の高級店と同価格帯だからやはりここ一番のイベントでもなければ、ちょっと敷居が高いかも。味は間違いない、高レベル店だと思う。

駅前、中町通り周辺だけでこれだけ蕎麦の名店がある松本だが、例年10月中旬に行われる蕎麦祭り目当てに遊びに来ていた。去年は中止で、今年も中止。来年はぜひ開催してほしいなあ。

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グッとくる店 松本駅前で

松本の人は出身地を長野県と言わないという話を聞いたことがある。県名を言わず松本と答えるか、どうしても県名を聞かれる(松本が長野にあることを知らない人でしょう)と、苦し紛れに信州というという嘘か本当かわからないが面白いエピソードだと思った。
日本地図を広げると北海道と東北は別格として、長野県と岐阜県の大きさが目立つ。日本の山岳部に広がる海なし県で、県の中でお天気が変わるほどの広さだ。岐阜県は元々が美濃、飛騨、木曽と三つの国だった。ところが長野県、つまり信濃の国は、北信、南信、東信、中信と大まかに4つに分かれていたが、まとめて信州と呼ばれていたようだ。中核となる都市圏の人口から見れば長野市と松本市が2トップで、有名どころでは諏訪と軽井沢、それに飯田が南部地域の中核といった感じだろうか。
その松本と長野の2トップのプライドのせいか、FM局は松本にある。あるテレビ局も松本に本社があった。(現在は移転して長野市)
PARCOのあるなしで争うのは福岡と熊本の関係に似ていて微笑ましい。そして江戸時代から続く教育都市でもあるから、町の中が何やら文化っぽいというか、おしゃれなまちづくり、店づくりがめだつ街だ。

駅前の繁華街というか飲み屋街を歩くと洒落たファサードの店が多い。昼より夜の方が見栄えがするという点もオシャレ都市として加点対象だと思う。このハイボールの店は、東京で麻布十番あたりにあると人気店になりそうだ。オープンドアの季節は、特に良さげに見える。今はコロナ対応なのでしょうねえ。

小ぶりな店だが満員だったイタリアン居酒屋。ここはぜひ入ってみたいが、今の時期よりもう少し寒くなった季節の方が楽しめそうだ。3色提灯が素敵でセンスが良い。このご時世で満席だったので、おそらく予約をしないと入れない人気店だと思う。信州野菜とジビエ料理みたいなものが期待できるかなあ。

そのイタリアン居酒屋の真向かいにあった、お蔵改造しました的な古風な店構えの居酒屋では、日本酒のラインナップが自慢らしい。確かに白壁のライトアップは夜になるとひときわ目立つ。壁自体が発光看板みたいなものだから、誘引効果抜群だろう。大きな提灯が、この店でも誘蛾灯のように客を引き寄せる。

駅前繁華街をちょいと裏側に入ったあたりで出会った「鳥きん」駅前店。ということは他にも支店があるのだろうか。大手町店とか縄手店とかありそうな雰囲気だ。看板に乗っている山清は、松本の北にある酒蔵のようで、日本酒が飲めるラーメン屋ということなんだろう。それもちょっとそそられる。多分昭和の中頃からずっと変わらずに営業しているだろうなと思ってしまう店構え。最近はすっかり見かけなくなったラーメンと書かれた赤い暖簾が麗しい。ここは間違いなく締めの一軒の絶対定番だろう。

松本駅前で一番突き抜けていたのが、なんとジンギスカン屋で何故か北海道出身者がやっていると訴えている。ほぼ絶叫系だ。看板をよくみると、正確にはジンギスカン屋ではなくジンホル屋だから、松本オンリーな店かもしれない。
世間ではあまり知られていないような気がするが、長野県のスーパーでは普通に長野製ジンギスカン肉が売っている。長野県は北海道と変わらぬジンギスカン愛好者の住む場所らしいのだ。おまけに困ったことにジンギスカン発祥の地は長野だという人が多い。同じ話は岩手県遠野でも聞いたことがある。敗戦後、大陸からの引揚者が全国で同時多発的にジンギスカン創始者になったような気配もあるが、札幌では冷凍肉を焼いてタレにつけ食べる焼肉スタイル。長野ではタレ付きの肉を焼いて食べるタレ焼きスタイルなので、ちょっと違うやり方だ。おそらく、この店では北海道式と長野式がマリアージュしていることだろう。ここもちょっと入ってみたい、というかガツンと肉が食いたくなる。

松本の街はコンパクトだが魅力にあふれるお店がいっぱいだった。

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まるも 続き

久しぶりに訪れた丸もだが、開店してすぐの9時過ぎに行ったせいか、店頭には何も出ていなかった。帰り際に振り返ってみれば、入り口周辺に黒板やら、掲示板やらが色々と出現していた。以前に訪れた時には見かけた記憶がないので、おそらくコロナ対応で積極的にアピールすることにしたのだと推測した・・・。

モーニングセットがあることすら知らなかったが、これまでも訪れていたのは午前中だったはずで、それにもかかわらずお目にかかっていないとすれば、超人気で売り切れていたということなのだろう。トーストで朝食という習慣がないこともある。一般的にモーニングセットに関心が薄いせいだ。それでも、コーヒーを頼むとトーストとゆで卵がつくことがあるくらいは常識として知っているが。マルモにもモーニングがあったのかあ、とちょっと感動した。

マルモの名物がハニートーストであると知ったのは、このメニュー案内をみた後で、ネットで確認した。相当な人気商品らしい。コーヒーを楽しむに特化していたから、メニューをまともにみていなかったことも原因だ。メニュー表をマジマジとみてわかったことは、懐かしのクリームソーダとか、今はどこで飲めるのと言いたいくらいの喫茶メニュー絶滅種、レモンスカッシュが存在していたことだ。ウィンナコーヒーは、スタバなどのバリスタ系コーヒー店で飲めるものなのだろうか。ラテの上にホイップクリームというのはありそうだが。

写真で写っているよりも店内は暗い。本を読むには明かりが足りないと思う。ただ、コーヒーを飲んで静かに時間を過ごすのには居心地が良い空間だ。昔は喫茶店とはタバコの煙とコーヒーの香りが入り混じった大人の空間というイメージがあったが、このご時世ではタバコの煙が消え去り、コーヒーの香りが鮮烈になった。BGMにかかるクラシック音楽以外には、会話すらほとんど聞こえない静寂。大人のちょっとした贅沢、そんなことを思っていた。都内でこんな場所はどれだけ残っているのだろう。

地元所沢では、茜屋珈琲店がいまだに健在なのでありがたいと思っております。

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ゴールデン酒場 本店らしいぞ

つなぐ横丁で焼き鳥を平らげた後、街をフラフラしていたら、あの気になる店「ゴールデン酒場」に巡り合った。キンキラキンに輝く看板を眺めていれば、馬刺しの文字があるではないか。おまけに店頭のれんは「肴」「呑」「飯」と、積極的にこちらの胃袋を責めてくる。上手な店作りだなと感心した。
そして、馬刺しに飢えていて街を彷徨っていただけに、ほぼノータイムで暖簾をくぐった。店内は完全開放型で、入り口から開けっ広げというか、ほぼ外で飲んでいる雰囲気だった。浅草の浅草寺西側、町外れにある商店街の飲み屋がこんな感じで、路上にはみ出る客までいるアウトドア飲み屋だった。松本も負けてはいないらしい。ただ、冬はこのスタイルは無理だろう。

まだ熱燗が恋しい気温ではないが、ここはあえて松本の地酒を熱燗で注文した。ちょっと甘めで、懐かし系の日本酒だった。昭和の酒は大手メーカーも地元の酒造所も、みんなこんな感じの甘めの酒だった。焼き鳥によく合うのはこの手の日本酒だと、当時は思っていたが、今はちょっと違う感じがしている。好みとして甘すぎるからだが、平成時代に日本酒の作りが劇的に進化したため、そこから取り残されたように元二級酒を売っている蔵の酒はどこか懐かしい。二級酒探しは酒造りが盛んな場所を旅をするときの楽しみの一つだ。

馬刺しは、今やスーパーでも売っているくらいポピュラーな食べ物になったが、ほんの20年ほど前までは、わざわざ名産地まで食べに行く代物だった。福岡で熊本から直送だから美味いですよ、と言われて食べた馬刺しは確かにうまかった。血の味がする野性味と濃厚な脂が熊本馬刺しの第一印象で、それを九州特有の甘い醤油で食べる。これは焼酎によく合うぞと思った。
その後しばらくして、信州馬刺しを食べたとき、油よりも旨みを感じるというか、血の味、鉄の味に甘さが混じり込んだようなかんじだった。生姜醤油で食べるとさっぱりして、これは濃口の日本酒が良さそうだと思った。
久しぶりに信州馬刺しを食べたが、やはり旨味が引き立つさっぱり系だった。生姜で食べるのが定番だが、ここはちょっと変化球でニンニクスライスで食べてみたいななどと思ってしまった。高知のカツオの食べ方だが、ねっとりとしたカツオと鉄分の味が馬刺しに重なったせいだ。
常連となって通い続ければ、そんな面倒な注文も受けてくれそうだが、初見では失礼だろう。レモンスライスは、馬刺しに絞りかけるのではなく、馬刺し最後の一切れを楽しんだ後、まとめて口の中に放り込んで酸味でお口直しとした。
もう一つか二つ、つまみを注文したいと思ったのだが、カウンター席は外気オープンで喫煙可能席だった。両サイドに愛煙家が席につき、少々耐え難い環境となり早めに退散した。11月くらいまでは寒さをあまり感じないで楽しく飲めそうだなあ。でも、夏は暑いし蚊がよってきそうだななどと考えながらお店を出た。

名店でした。

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つなぐ横丁の猥雑な感じ

つなぐ横丁の中は小ぶりな店がぎっしりと詰め込まれた、昭和レトロ的空間で、昭和時代の居酒屋を知っている人間からすると、「あーこれこれ、こんな店、よくあったよね」という感想になる。

業種がなんでもありなので、台湾の夜市的なバラバラさというかカオスな感じもするのが楽しい。丸い椅子とパイプ足のテーブルなどもはや死物だと思っていたが。

メニュー板を見るだけでも楽しいが、出てくる酒もなんでもあり。ワインにカクテル、泡盛に日本酒、まさにカオスだ。そう言えば一時期大ヒットだった肉寿司も最近は見かけなくなったと思っていたが、この店ではしっかり現役だ。

平成生まれにとってはこの猥雑感が新鮮なのだろう。昭和生まれにとっては、時代に奪って変わられ消滅していった業態が、ゾンビのように復活した感じもする。アサヒ生ビールは、当時キリンのラガーに対抗するべくキラーコンテンツとして投入され人気があったビールだ。今では生ボールが当たり前で、スーパードライがアサヒの代名詞なのとは、隔世の感がある。最近、アサヒの生ビール缶が発売即売り切れになったとニュースで見た。アサヒ生を懐かしむ世代が買い占めたのか、それともレトロ感に引かれた若者に人気が出たのか。その辺の動向を知りたい気がする。

焼き鳥屋のつくねには2大流派があり、この写真のようにバー状のものをつくねと呼ぶ流派と、丸い団子が3個刺さっている「串団子」ならぬ肉団子を捏と呼ぶ派が業界を分けている。焼き鳥屋でこのつくねの形状の話をすると、どちらの流派でもうちが本物と説教された経験があるので、これは業界のタブーであると思っている。
個人的には団子派なのだが、業界主流はこのバー式つくねのようだ。火通りというか焼き方を考えると、このバー状の方が合理的な形であるように思うが。バー状つくねには卵の黄身を合わせて食べることも多い。団子型つくねの場合、卵の黄身はついてこないようだ。

横丁内の店を見て歩いて発見した「商標登録 ゴールデン酒場」の看板にひきつけられた。一般名詞「ゴールデン」+「酒場」で商標登録できるのかというビジネス的な疑問だった。まあ、語感としてはそそられる。ゴールデンと言いながら、チープシックな感じというか、あまり高級感が感じられないのが良い。
「ゴールデン酒場ねえ、ふふふ」となんだかウキウキしてくるのが不思議だ。新宿とか渋谷に昔あったよねえ、という感じがするし、池袋なら今でもありそうだ。やはり「ゴールデン」という言葉は昭和オヤジの反応率が高いのだな。

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松本の夜歩き そぞろ歩き

松本駅前を日暮どきにぶらぶらしてみた。写真の通りに、松本駅には高層駅ビルがない。JRの駅前開発の主力が新幹線駅であることは間違いない。だから在来線の駅にはあまり力が入らないのだろうな、ということは理解できる。
北陸新幹線が開通したこともあり、在来線しか通っていない地方中核都市はもはや数少ない。南北に眺めてみても、県庁所在位置は概ね新幹線が通っている。新幹線が通らない県庁所在地を思い浮かべると、関東近郊では山梨県甲府、日本海側で福井県福井、鳥取県鳥取、島根県松江、関西方面で奈良、和歌山、三重県津。四国は4県ともアウトで、九州が長崎(これはもうすぐ通る)、大分と宮崎。
こうして並べてみれば、確かにどの駅も高層駅ビルとは無縁なようだ。奈良だけは駅横にビルが立っていたが、それ以外の都市ではは3−4階立てが多いような気がする。ただし、旅をするものから見れば、これくらいの大きさの方、低層ビルくらいが駅らしい。

地方中核都市では、駅前と旧市街に二つの繁華街があることが多い。松本もそれに近い。駅前の飲み屋街には全国展開をするチェーン店が多い。お城の裏手?に当たる一角には古い居酒屋や「女性の接待が伴う飲料主体」の店がある。旧市街は地元民が中心で、駅前繁華街はビジネスホテルも多く、観光客と出張サラリーマンが中心になるのかもしれない。しかし、夕方だというのに人通りが少なすぎる気もした。まあ、ご時世というもので、旅をする人が少ないよりも、飲酒という行為が社会的に歓迎されていないだけなのかもしれない。

駅前すぐの一等地にあったハイボールバーは、かなりオシャレ感が高い。ドアも開け放たれ開放感がある。まだ、夕方は暖かい時期なので、こういう場所で飲むのは良いなあと思うのだが。

そこから100mは慣れれば、なんと魚居酒屋があった。この山国松本で、なぜ魚?と突っ込みたくなるが、それはあくまで観光客、ビジター目線の考え方だろう。松本市民だって魚は好物だろうし、この物流網が整った現代日本では、日本海側の漁港からであれば、2時間もかからず新鮮な魚の配送は可能で、朝に水揚げされた魚が夕方には提供可能、つまり港町で食べるのと松本で食べるタイミングに差があるわけではない。そんな具合に納得はできる。ただ、松本で刺身で乾杯という気分にはならないのも確かだ。だから地元客専用のお店だろう。

似たような話が記憶にある。昔々、沖縄に出張して仕事先の方と会食をした。その場所が鮨屋で、いったいどんな沖縄の魚が食べられるのだろうと期待していたら、「うちの魚は全部築地から空輸している」と職人さんに威張られて、気が遠くなった。たしかに沖縄の人にとっては、築地から空輸した魚といえば高級品という意味になっているはずだ。それを理解できないことはないのだが。あの大きい青い熱帯魚みたいなやつの刺身食べてみたかったのだよね。

ビルとビルの間にできていた小路に、下がっている赤提灯が飲む気をそそる。入り口の前に止めてある自転車が、町の飲み屋という感じがする。こんな街で暮らしてみたいと思わせる、風情のある光景なのでありました。

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珈琲まるも

松本駅から松本城に向かうと、途中で小さな川を渡る事になる。川筋沿いに土産物などの店が立ち並ぶのはお城側で、反対側はちょっと趣の異なる店、飲食店などがバラけた感じで広がっている。中町通という昔ながらの商店街のようだ。その外れに近いところにあるのが、美しい喫茶店と絶賛評価している「珈琲 まるも」だ。2年ぶりに訪れたのだが、コロナのご時世に関わらず相変わらずにしっかり営業を続けていた。実にめでたい。

頼むのはブレンドコーヒー一択なので、他のドリンクの味は知らない。次こそは試してみようと思いながら、あいかわらずのブラックコーヒーにしてしまう。コーヒーの味は、酸味が強めで濃い。スタバなどのコーヒーとはちょっと違う。ジャパニーズコーヒーとでもいうべき、砂糖とクリームが合う濃い味なのだろう。それでもブラックで飲むのは、高校生の頃からの好みなので死ぬまで変わらないと思う。砂糖とクリーム入りのコーヒーを最後に飲んだのはいつだろう。おそらく30年近く前にスタバが日本で開き始めた頃、試しに飲んだカフェラテが最後の砂糖・クリーム入りコーヒーではないか。

店内は随所にコロナ対策がとられているが、もともと空間を贅沢に使った喫茶店で、混雑すると言っても隣の客とは随分離れている。今回も窓際のテーブルを独り占めした。ここは障子越しに漏れてくる明かりが心地よい。本を読むにはくらいが、コーヒーをひっそりと飲むにはちょうど良い。障子越しの間接照明は、残しておきたい日本の文化の一つだ。自宅にも障子のある部屋は一つだけ。今は、窓ガラス越しの直接照明が主流の時代だから余計に障子越しの明かりが気になってしまう。

初めてこの店に来た時から、一度はまるも旅館に泊まってみたいと思い続けている。やはり、思い切って今年は「旅館」に泊まってみようか。この喫茶店の周りには、中町通りを中心に洋食屋、蕎麦屋、焼き鳥屋、うなぎなどなど松本のうまいもの店がずらっと揃っている。秋の夜長を旅先の和室で過ごすのも良いか。

街を歩く, 旅をする

松本名物は「あめ」

おしゃれな外観 まるでブティック

ホテルのモニターに観光案内がつながっていて、ホテルから徒歩圏の観光名所が載っていた。それとは別に松本の名物みたいな情報も載っていて、つらつらと眺めていたら、松本名物は「飴」とのことだ。お城と並ぶ名物らしい。ずっと知らなかった。そこでネットで松本の飴屋を調べると、なんと相当な数の飴屋が存在するらしい。そこでお城の近くの飴屋に行ってみることにした。

潔い看板で、売り物が一眼でわかる。すばらしい。松本が何故あめで有名になったのかわわからないままだが、サトウキビの産地だったということもなさそうだし。原料が水飴だったとしたら、味噌、醤油、酒などの発酵所関連の技術かもしれない。

店内に入ったら従業員の方がいないので暫し待っていた。その間に撮ったのがこの「神飴」の看板。最初は左から読んでしまい「飴の神様っていったいだれだ?」などと考え込んでいたが、ふと気がついた。これは右から読むのだ。そうなると、このお店の飴がとてつもなく美味しいのだという意味になる。実に楽しみだ。そのうまそうな飴を一箱買い込み、これは土産ではなく自分で食べようと決心した。うまいものはシェアする前に、まず自分で確かめておくべきだという、心優しい決意だ。しかし、本当に松本はオシャレな街なのだな。

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焼き鳥番長@松本 GJ

松本つなぐ横丁の店舗ラインナップはサイトで見てもらうのが一番わかりやすい。色々な店があるので、好みの店を見つけてそこに行くのもよし。ぶらりとはしご酒をするのもよし。価格はリーズナブルだから、ちょい飲みでサクッと済ませる、ガツン飲みでどすこい気分、どちらも可能だ。

やきとり番長のカウンター席はこんな感じで、自信作は生レモンサワーらしい。カウンターの上にレモンが山盛りになっていた。「美味だれ焼き鳥」の提灯がよく目立つ。たしかに「タレ」が自慢だというのはよくわかる。ただ、やはり焼き鳥は肉の鮮度と焼き加減できまるので、そこの技にブレがないのが最低条件だろう。
比較的大振りの焼き鳥だが、火通りに問題なし。塩加減上等。うまい焼き鳥屋はこの最低条件に問題を感じさせない。普通に出してくるから当たり前と思ってしまうが、この最低条件をクリアできない、つまりまずいと感じる焼き鳥は多い。日通りが悪く生の部分があったり、逆に焦げ付いていたり。塩味がしない焼き鳥は食えたものではない。その塩味のしない焼き鳥に塩をかけても、まずさは変わらない。
チェーン居酒屋ではうまい焼き鳥が出てくることが稀なので、やはり焼き鳥は専門店に限るし、力の差が目立つ。その焼き鳥専門店の中でも、やはりランクというか腕前の差があるので、うまい店を見つけるのはなかなか大変だ。たかが焼き鳥、されど焼き鳥といつも思っている。個人的な活動領域で言えば、高田馬場には良い店が何軒かある。新宿や渋谷、池袋などの繁華街では、焼き鳥は既に消滅した文化のような気がする。

せせり 仕入れの力が見える一品

好みの焼き鳥は砂肝、セセリ、つくねだが、この3種はその店の調達力、鮮度管理、工程管理が露骨に出る「こわい」しろものだ。ちょっとした手抜きや手違いであっという間にひどい商品になってしまう。だから、初めて入る焼き鳥屋では最初に砂肝を注文して、その店のレベルを判断することにしている。
砂肝がダメなら、即時に会計して店を出るべきだ。おそらく焼き鳥で一番味を誤魔化せない部位で、鮮度管理も難しい。セセリも焼き加減が難しいので、焼き方の腕前判定には良いと思っている。また、セセリは調達するのが難しい貴重部位なので「仕入れの力」みたいなものも判断できる。
この店は、その三品全てが高い水準で、焼き鳥屋・エースマークあるいは個人的に星三つを進呈したい。その上で「美味だれ」なので大満足ということだ。

この店の箸袋は、ちょっと工夫がされていて、開運と書かれた部分をめくると。「おみくじ」になっている。今回は中吉だった。まあ、この頃の自分の運勢を顧みると中吉でも出来過ぎという気がする。今年は凶が続くことが多く、そろそろ厄落としをしたいものだから、焼き鳥屋で験担ぎも悪くないなあ。