街を歩く, 小売外食業の理論

小麦の奴隷のユニークさ

うまいパンを焼けば売れる、というのは嘘だ。売れるパンがうまいのは確かで、まずいパンは売れない。ただ、うまいだけで売れるわけではない。売るための必要条件ではあるが、売れることを保証する「十分条件」ではない。
世の中には商品の優秀性に対する過信がありすぎるといつも思っているのだが、それをとあるパン屋で思い知らされた。

チョコチップの入った硬めのパンくろわっさ

くどいとは思うが、小麦の奴隷について書き連ねる。冷凍生地を利用して甘いパン(生地に糖分が多い)を作るのは簡単らしい。高級食パンも生地がリッチなのが流行りなので適応しやすいと聞いたことがある。逆に小麦と塩だけのようなリーンな生地(ピザ生地などがその典型)が難しいそうだ。
だから、小麦の奴隷に並ぶ数々のパン、柔らかくて生地が甘くて、ふわふわで、フィリング(中身の詰め物)がいろいろ入っているパンは、対応がしやすいのだろうと想像している。
ところが、その甘いパンのバリーションを開発するのは、個人経営の小規模パン店ではなかなか難しいのも容易に想像がつく。アイデアに関してであれば、流行りのパン屋に行って、売れ筋のパンを買ってきて、それのコピーを作るくらいのことはできるだろう。
ただ、多品種少量生産をしようとすれば食材は増えるし、焼く手間も増える。そもそもコピーとはいえ試作は何度かする必要もある。
個人経営者本人であれば残業時間など考える必要はないから、自分の頑張りが全てだが、パン職人を雇って経営しているとすれば、開発に要する人件費も増加する。

クロワッサンではない

つまり、レシピー開発は手間がかかる仕事で、できればやりたくないというのが本音だろう。ただ、バラエティーこそ「繁盛の基本」要素であることも確かだ。だからこそ、そこを代行するビジネスがフランチャイズとして成立する。
世間的によく理解されていないかもしれないのだが、フランチャイズシステムとは「売れている看板」を使う権利が「売り物」主体だ。次に「独自の商品」の製造許可が来る。商品ありきではなく、売れている看板こそが売り物なのだ。
ただし、どんな分野でも商品の経時劣化というか、時間と共にありふれたものになる、飽きられるのは避け難い。だから、強い定番商品は改良を続け、第二の定番を生み出すまで新商品開発も怠けることができない。優れた商品とは、「進化し続ける商品」であり、商品開発力こそがフランチャイズビジネスの基盤となる。
残念ながら多くのフランチャイズ企業で、この原則を守らない「なんちゃって商品」ばかり投入されるのを見てきた。このブランドも長くないななどと思うことは多々ある。

カルツォーネと言っているが、外側はソフトなパン生地


この観点から、小麦の奴隷がどうなるのか一年、二年は見続けなければ答えは出せない。ただ、一つだけ確信しているのは「都会の匂い」を商品開発の軸にしていることだ。地方の小都市、田舎町をターゲットにしているそうだが、「都会の匂い」はまさにそうした立地の客に来店動機、行きたくなる気持ちをもたらす。基本コンセプトにブレがないことは重要だ。
それはネーミングのひねったセンスに現れている。そして、商品のおしゃれ感も「都会の匂い」には重要な要素だ。硬いパン、柔らかいパン、甘いパン、惣菜食事パンなどの配分も適切に見える。

誰でも知っているメロンパンであれば、形容詞で強化する。地方都市では、まだあまり知られていないようなパンは、イタリアン、フレンチのカタカナ名を濫用して圧倒する。おそらく定番の出し入れと季節商品の出し入れを頻繁に行い、常連客を飽きさせないヘビーローテンションを狙う作戦だろうと推測している。
地方都市の小商圏圏でパン屋を成立させるには、パン職人の腕前だけでは足りない。綿密なマーケティング戦略が必要なのだと、この店舗を実際に訪れて思ったことだ。
ロケット打ち上げビジネスをやりながら、田舎のパン屋を展開する、ホリエモンというビジネスパーソン、すごい人なのだね。

食べ物レポート, 小売外食業の理論

回転寿司のマーケティング分析

スシローがキャンペーンで「東北」ネタメニューをやっていたので、ノコノコと出かけてしまった。スシローアプリでキャンペーンメニューを確認して、開始日も確認して、と入念な準備をした。そして、ネタ切れという悲惨な目に遭わないように開店10分後を目指して出かけた。ところが、開店10分でカウンター席は満席で、待ち時間が発生するという人気ぶり。いやあ、驚いてしまった。
そして、まずはお目当てのホヤ塩辛軍艦を注文した。期待通りというにはちょっと「ホヤ臭さ」が薄い。ただ、ホヤフリークでない限りは、これくらいの「薄さ」の方が受け入れやすいだろう。仙台で食べるホヤは鮮度が素晴らしく匂いもしないが、首都圏まで輸送されてきたホヤは、一種独特の匂いがする。この問題が解決できればホヤファンも増えるだろうにとも思うのだが。

続いて貝の二種盛り。まあ、無難なまとめかたという感じ何する。貝好きにはちょっと物足りないかもしれない。ネタがもう少し大きければなあ、という感想だった。ただ、回転寿司で貝をしっかり食べさせてくれるのはスシロー限定に近いような気もする。ネタとしての貝類が難しいせいだろうか。

そして本日のメインイベントは、夏に続いてリリースの「うに」だった。ただし、これはチリ産ウニを塩漬けにしたものらしい。ただ、なまのウニもうまいが、つけたウニも別のうまさがある。個人的には塩漬けウニが大好物なので、これは実に嬉しい。鮮度管理のことを考えると、こちらのほうが味のバランスが良いという気もする。
回転寿司でしっかりとしたウニが食べられる時代になったかと、思わず嘆息する。店数が増え買付規模が上がったことや、競合他社との競り合いが厳しいせいだろうが、大手三社のネタの質は年々進化しているように思う。競争は大事だ。

ただ、今回のお目当ては、新ネタの寿司を食べに来ることではなかった。お持ち帰りロッカーの見学が目的だった。これはネットで注文したテイクアウト商品(決済済み)を、店員と話すことなく持って帰る仕組みだ。スマホ注文時に発行される解除番号でドアが開く。テイクアウト商品の販売は、この手の「非接触型引渡」が主流になるのだろうと予測できる。
この手の設備に十分投資できる企業体力が業界での生き残りの条件になる。つまり、テイクアウトを販売の主力に置こうとすると、膨大な設備投資が要求される「パワーマーケティング」の時代になる。知恵と工夫で生存しようとする戦略を、木っ端微塵に打ち砕く「数こそ正義」という戦略だ。
これが、どの業態でも寡占状態の最終決着をつける、最後の戦略になる。回転寿司業界は、そろそろファイナルステージに入ったようだ。それは中小企業受難の時代となり、生き残るのがますます厳しさを増すことを意味する。

**誤字修正などをして、再アップしました

小売外食業の理論

コストコでチキン 日本外食の課題がみえる日米比較してみた

コストコのチキン

年末に家族の要望でコストコに行ってきた。開店当初は会員になっていたが、あまりの混雑に辟易して、ここ数年は非会員状態だった。そもそもコストコは会員制業務用卸の商売だったはずだが、今ではすっかり個人ユースが主流のようだ。コロナによる外出制限を追い風にして、商売も順調らしい。
そのコストコでいつも買っていたローストチキンを久しぶりに手に入れた。この立体パッケージはアメリカのスーパーでも良く見かけた、テイクアウト・ローストチキンお決まりの入れ物だ。
チキンの大きさと価格を考えると、もう一度コストコ会員になろうかと思うほどのコスパの良さだ。味付けはあまりくどくどしていないため、追加で自分のお気に入りのソースをかけて食べるのが良い。やはり、あくまで業務用でチキンメニューのベース材料という感じがする。この値段で仕入れて、ソースを自前で作成してレストランで販売すれば、3000円を超えるお値段が取れそうだ。
ローストチキンを食べている時に、クリスマスに買った某ファミレスの丼入りローストチキンを思い出した。

ファミレスのチキン

大きさは、コストコの半分程度。焼き方は腹が上のあおむけ焼き。味付けは色々濃厚だった。値段はコストコの5割り増しくらいなので、小さくて高いということだ。この2品を比較すれば、色々と言いたことが出てくる。ただ、その違いの理由も十分理解しているので、あえて語るつもりはないが、この差は一般の消費者から見ればなんとも腹立たしくなる違いにあたるのだとも思う。

コストコチキンは、自分の中のローストチキン像とマッチした調理の仕方で、うつ伏せスタイルで腹は下向き。背中がこんがり焼けている。チキンは上半身の胸肉、手羽が好みの部位だが、ローストチキンの場合は、適度に油と水分が残った足の部分がうまいと思う。
ただ、物性的にいうと手羽元付近の胸肉が旨味成分となるアミノ酸が多いので、某フライドチキン創始者のおじさんは、味見をする時には手羽元・胸パーツをたべたそうだ。なので、自分の家でローストチキンを食べる時には、解体役をしながら、解体役特権として手羽元部分を最初に手に入れる。
これにママレードなどの柑橘系で甘さ控えめのジャムをつけて食べると、なんともアメリカンな気分になる。ローストチキンは照り焼きソースや味噌、醤油系和風仕立てソースより、やはりアメリカンテイストで食べたい。アメリカ製バーベキューソースが手に入れば、それが一番よく合うと思う。

テイク・アンド・ベイク はアメリカピザ業界の新興勢力

アメリカではデリバリーピザよりも人気があるらしい、トッッピング済みのテイクアウトピザがあちこちで売っている。いわゆる生ピザだ。自宅に大型オーブンがあるアメリカの家庭では、この生ピザが絶対定番に近い商品だろう。日本的に言えば、生ピザはラーメン(インスタントではない方)に近い位置付けだと思う。
Take & Bakeと名付けられた持ち帰りピザは、デリバリーピザの半額くらいで売っている。価格の安さも魅力だが、自宅て焼きたてあつあつを食べられるのが最大のメリットだろう。スーパーでは常時5−6種類のトッピング違いピザが売っている。チーズの違うピザも人気がある。
Take&Bake専門店もあり、そこではお好みトッピングの指定もできるが、人気筋のミックスピザを10−15種くらいを取り揃えている。大きさは標準が16インチ、直径40cmくらいあるので、日本では特殊な家庭でしかそのまま調理できない。オーブントースターやグリルを使うにしても1/8くらいにカットしなければ調理機器の中におさまらない。当然、日本のスーパーでは売っているはずがないサイズなのだ。
そのアメリカンサイズのピザがコストコでは当たり前に手に入るのだが、やはりこれは業務用と考えるべきだろう。家庭向きの大きさではない。値段を見れば、デリバリーで注文する時のMサイズピザ(10インチ)の値段だ。コスパの良さは歴然としている。これもレストランで原材料として購入して、トッピングをアレンジして販売すれば、2倍程度のお値段は設定できそうだ。日本のコストコでも、生まれ故郷のアメリカンなDNAはなくしてはいないようだ。

イケアのホットドッグ シンプルでベストという感じだなあ

コストコに行った翌日にIKEAに行った。フライドチキン、ホットドッグ、どちらも100円程度。立ち食いスタイルとは言え圧倒的な低価格での提供だ。コストコでも同じように買い物後の立ち食いが人気コーナーだった。確かに、安い買い物をした後、高い食事をすればコスパ気分は台無しになるから、イケアもコストコも低価格提供することに、損得をあまり考えていないのかもしれない。
残念なことに、日本の外食産業が提供する低価格コンセプトが、いつもチープになるのはこのあたりの総合的な割り切り、コンセプトメイクができないことにあるようだ。コスト低減のと値付けの考え方に問題がありすぎるのだと思う。
Value for mpney 、支払った金に見合う価値 という考え方をもう一度ゼロベースで見直すべきなのだと、年末に欧米発祥の価格破壊コンセプトに買い物に行って、改めてあれこれ考えていた。

街を歩く, 小売外食業の理論

ディッシャーズ 再訪

びっくりドンキーの新型店舗が開店後一年を経過したので、再訪しようと思っているうちに夏が終わってしまった。オリンピック騒動と長期化した緊急事態宣言ですっかりやる気を無くしていたせいだ。
年内にはなんとかしなければと、新宿までのこのこ出かけてみた。年末の週末なので人出は少なく、店内に客もまばらだったが、この店の真価は平日ランチだろうから、日にちを変えるべきだったと反省した。
基本的には究極の省人化がコンセプトのようで、店内で従業員と対面接触するのは注文した商品が運ばれてくるときだけ。言葉を交わすこともほとんどない。

タッチパネルで注文するのだが、基本のプレートにサイドアイテムや量の調整をすることで自分の好みに仕上げることができる。ハンバーグ五枚乗せとか、飯大増量とか、ガツン系には楽しみなオプションで作成できる。ただ、その分だけお値段は上がっていく。
ソースにカレーが選べるというのは、ちょっと嬉しい。ハンバーグにカレーはかけたくないが、ご飯にちょっとカレーという組み合わせができる。会計は右下にある番号札で、会計機で行う仕組みだった。

橋、ナイフやフォークも木製に代わっていた

ナイフやフォークなども基本的にはセルフサービスになっている。食器が木製に変わっているのは脱プラスチックということだろう。この辺りの最新SDGs対応は、流石に西新宿のオフィスビルというロケーションのせいだろう。けっして某・元環境相のせいではないと思いたい。新宿高層オフィスビル内にあり、SDGsを唱えている会社ばかり入っているビルだから、周りの店でも同じような対応をしているのかもしれない。

カレーソースをつけて1000円程度、西新宿オフィス街では平均的な価格かもと思うが、これが繁華街立地で出店するとちょっと微妙な値付けかもしれない。ファストフードとしては高すぎる。ファミレスとしてみると、妙に接客サービスが足りない気もする。ファストフードとレストランの中間形態、つまりファストカジュアルと考えれば納得がいくコンセプトだ。非対面接触型の店内飲食主導モデルとしてみれば、完成度は著しく高い。
ただ、アフターコロナを見据えて作った店ではないと会社が言っているので、これをうまく発展進化させた「アフターコロ型」をみてみたい。おそらく現在手薄なテイクアウト専用メニューの充実などを踏まえたものになるのだろうが。

現在はピザを導入して夜のちょい飲み需要、パンケーキを入れてティータイムの実験をやっているようだが、本命はハンバーグのテイクアウトではないのかと思う。
あらためて定点観測すべきコンセプトだなと思いながら帰ることになった。気になる店舗でありますよ。

小売外食業の理論

お正月の福袋から経済動向を

今更ながらだが、自宅近くの神社に初めて初詣に行った。というか、福袋を買いに行く途中で行列を見つけたので、ついでにお参りしてきたというのが正解だ。地元の街では旧市街にある古い神社が初詣や七五三で賑わっている。多分、何百年かの歴史がある由緒正しき神社なのだ。
自宅近くの神社は雑木林が造営されて新興住宅地になったときに勧進されてきたものだから、比較的歴史が浅い。小ぶりな神社で普段は宮司もいないようだ。それでも周辺住民の支持は厚いようで、境内はいつも綺麗にされている。
その初詣のささやかな行列に並んでいて気がついた奉納絵馬が、なんと中学の美術部作品だった。これは新年早々良いものを見せてもらった。中学生が冬休み前に頑張って描いたのだろう。すごい力作だ。

今年の福福は、事前にネット予約して中身もわかるし、カードで事前決済するのが主流とニュースで言っていた。衣料品であればサイズ別の予約もできるというのだから、もはや福袋の中身は開けてからのお楽しみ的なびっくり要素は皆無になった。
コロナのせいか、ネット社会の進展か、原因は微妙なところだが便利と言えば便利だ。
そして、今年はようやく抽選に当たった「マクドナルド」の福袋を元旦に買いに行った。というか引き換えに行った。現金払いではなくネット決済にすると当選倍率2倍という特典付きで応募して、めでたく当選した。

お店に行きネット決済の番号を見せると、当選者のリストの中から名前を確認する。リストは4−5ページあったから1日100人以上は当選しているはずだ。引換日は指定されているので店頭での混乱も起きないようだ。(名簿確認に時間がかかったが) 福袋は3150円(税込)で、マクドナルド商品の引換券とおまけの品々という組み合わせだった。

商品引換券だけで販売価格とほぼ同じ金額になる。ということはオマケの分だけ得をするという仕組みだ。黒いものが保冷機能付いたリュックサック。赤いのがフライドポテト型ライト、黒いプラスチックカップと白いプラスチック収納袋がついてくる。製造原価で考えると1000円はかからないくらいのおまけだろう。
仮に原価600円とすると3000円の売り上げに対して2割の販促費をかけたことになる。ただし、クーポンの構成を見ると、原価の安いポテトとナゲットが、ほぼ1000円分入っている。原価と販促費のバランスがよく考えられた仕組みだろう。完全予約制で売れ残しなしであることを考え合わせると、よくできた福袋戦略だと思う。
一店あたり1日100個予約が取れたとすると、三ヶ日で300個販売する。定価3000円(税別)だから、福袋で90万円の売り上げになる。
そして、これはおまけとクーポン券の入った福袋を予約客に渡すだけなので、調理も不要だ。ネット決済であれば、会計すら不要になる。福袋販売は、究極の人件費カットが前提条件となっている。要するに楽して金儲けができる。
1店舗90万円かけるマクドナルド2942店(2021年12月時点)だから、ざっくり27億円を三が日で追加売り上げとする計算だ。おまけにその売上のためにハンバーガーを作る必要がない。クーポン券は後日、商品と引き換えになるので、その時は原価がかかるが、大多数の客はクーポンに合わせて追加注文をするだろうから、クーポン券はまさしく誘客効果を生み出す。
正月早々に他人様の商売で、こんな皮算用をしていた。需要の先食いと言われていた飲食店の福袋だが、ここまで来ると巨大マーケティング戦術に仕上がっている。
おそらく今年は夏の福袋とか秋のハッピー祭りとか、新年福袋と類似の仕掛けが始まりそうな気がする。
今年は、マクドナルドが空前の売り上げ低下からV字回復が始まって4年目になる。コロナを追い風にして伸長した売り上げを、さらにどう伸ばしていくのか。今年も目が離せない巨大ブランドの動向だ。
夢を見る福袋から、随分と世知辛い現実を思い起こした元旦でありました。

小売外食業の理論

ブランド再建 コラボの力

回転寿司、立握り 両部門とも結構気に入っていたのだが

長らく吉野家の傘下にあった京樽がスシローに売却された。テイクアウトが主流の京樽が展開していた寿司レストラン、回転寿司も合わせて事業移管されているので、一体どうなるのかなと興味があった。最初に動きがあったのは、持ち帰り部門で、なんと予想外のWブランド展開だった。

看板を見ればわかる。というか、店名はわかるが、売っているものも想像はつくが、一体なんなのこれって感じもする。京樽といえば、ショーケースに飾り寿司や海苔巻きを並べて売っている場所という記憶がある。寿司を売るというよりショートケーキを売っているような感じだった。最近ではオープン型のショーケースも使っていたが、基本的に握りは扱わない店だったように思う。
それが、この合体店舗では変わっていた。握り鮨部門がスシロー製、飾り寿司部門が京樽製商品という棲み分けだった。ショーケースがはっきり分離されている。
また、基本的にセルフで寿司を取り出し、レジで会計するというスタイルに変わっていた。これは時間をかけて選びたいという客には効果的だろう。対面販売の辛さ(客側)は、注文をさっさと決めないといけないというプレッシャーにある。自分の後ろに待ち客がいたりすると余計ひどくなる。

寿司製造の小型厨房と、セルフ販売ショーケースを設置するだけなので、小型店舗で十分展開可能だ。駅前などのテイクアウト立地であれば相当に戦闘力がありそうだ。今のところ京樽既存店からの転換が進んでいるようだが、握りと飾り寿司という両ブランドのいい所取りができれば、新規出店も可能だろう。
ショッピングモールなどとの相性も良さそうだ。レストラン街に回転寿司を入れて、食品スーパー近くにテイクアウト店を設置するということで効率良い2店舗運営も可能だろう。
最近ぼちぼちとWブランドの店が出始めている。アフターコロナを睨んだ実験なのだろうが、このスシロー×京樽は成功例になるような気がする。

回転寿司三崎丸もブランド転換が始まっている。色々と業界も動き始めているのだなあ。

小売外食業の理論

パッケージからブランド理論を考える

ジャンクフードの典型は、ナゲットとフライドポテトだと思う。ただし、ジャンクフードと言いたいやつには勝手に言わせておけとも思う。人の好みに難癖つけるな。誰がなんと言おうと好きな食べ物だ。だから、マクドナルドがナゲットのキャンペーンを始めると、ふらふらと吸い込まれてしまう。ナゲットを食べながら、またあれこれ妄想して、思考が暴走する・・・。ナゲットに妄想成分が含まれているはずもないのだが。(正確には、チキン・マック・ナゲットですね。このネーミングもブランドマーケティングの塊なのだが、それはまた別の機会に)

マクドナルドは世界最大の外食ブランドで、統一化されたオペレーションが作り出す「ブランド」ドリブンの企業だ。ブランドドリブンという言葉が適合するもう一つの企業がコカコーラだが、マクドナルドは中西部のシカゴが発祥、コカコーラは南部のジョージアが発祥、同じアメリカ企業でも体質はずいぶん違うらしい。どちらも、東海岸のエスタブリッシュとは程遠い田舎?出身企業というところは共通だ。昔関わっていたKFCはケンタッキー州、ピザハットはカンサス州発の企業で、世界ブランドにも関わらず本社に行くのはとても不便だった。日本で当てはめれば、山形県酒田市とか岐阜県高山市、茨城県水戸市みたいな感じになるのだろう。新幹線も通らない、空港も近くにない地域の中核都市といった感じだ。
ただ、そのマーケティング戦略はマクドナルド、コカコーラどちらも双子と言って良いほど似ている。チキンナゲットとその味変したスパイシーチキンナゲットは、コカコーラとダイエットコークの関係に似ている。2種類のナゲットは似ているが別ブランド(企業から見ればサブブランド)な商品で、カテゴリー的にはハンバーガーのサイドアイテムだが、対象顧客がキッズとアダルト(ヤング)の違いと言えば良い。コークとダイエットコークも相似形で味は似ているが、対象顧客が二層に分かれている。糖分気にしない層と気にする層だが、どちらの層も甘い炭酸飲料が好きだという共通点がある。

記憶にある昔のチキンナゲットのパッケージはもっと無機質な感じだった。最近はブランド差別化のためか、普通のナゲットは1970年代風のイラストと字体を使っている。これは明らかにファミリーキッズ向けだと思う。それに対して、スパイシーチキンナゲットは、現代風というか太字でゴッシック調の文字を使いイラストなし。ヤングアダルト向けだとわかる。

たかがパッケージの差と思ってはマクドナルドを見誤ることになる。ブランドにこだわる企業は、こうした細部に細心の注意を払い商品の完成度を高める。客の「無意識」に自分たちの意思、ブランドを強化して刷り込んでいくのが最も高度なブランドマーケティングだ。一つ一つの商品の宣伝より、ブランドを脳細胞にすり込むことが、将来的な売り上げを保証するほぼ唯一の活動だということを理解している。
だから字体の選定一つをとっても膨大な手間と時間をかけているはずだ。神は細部に宿るというが、ブランド構築とはそうした細部の仕掛けの膨大な集積で、その細部を手抜きしない企業が勝組になる。勘と経験で出来上がるほど世界企業創設は甘くはない。日本でも東京発の企業が世界ブランドになる時代は、もうおしまいかもしれない。ちなみにアパレル最大手ユニクロは山口発のグローバル企業だが、大きくなってからはずっと東京在住者だからなあ。ちょっとアメリカ的企業とは違う。北海道旭川発とか熊本県天草発とかいうグローバル企業が生まれないものだろうか。

勘と経験(それもひらめき)で国家運営をしようというアジアのどこかの国とは、そもそも覚悟も違い人材も違うのだ。某国の政治屋と官僚はシカゴのハンバーガー大学に行って、マーケティング戦略を学び直してこいと言いたい。ただし、彼らの実力では、最初のハンバーガーを作る実習の時点で落第するだろうけれど。