小売外食業の理論

外食DX考察 ガストその2

自宅近くのガストは典型的な郊外住宅立地型店舗で、ファミリーレストランのスタンダードみたいな場所にある。ただ、ガストは平成の後半に郊外から都心部への出店を強化した時期があり、都内にもビルの2階などにテナントとして出店している。同時期にサイゼリヤも都心部出店を強化したが、コロナの2年間で都心部繁華街は商売向けとは言えない場所になった。アフターコロナではどういう対応をしているのか見に行ってみた。

今風のファミレス三点セットといえば、この全席禁煙とWi-Fi、電源の自由使用ということになるのだろう。都心部、繁華街立地では客席の高速回転こそ売り上げ増強策であるはずだった。それが、テレワークにも対応する長居ができる場所に転換しているのだから、都心部ファミレスとしての基本フォーマットが変わってしまったと理解するべきだろう。
ランチの時間帯では流石にパソコンで作業する客もいないような気がしたので、少し遅めの朝食タイムに入ってみた。しかし、客はほぼゼロで、二人三人いた客もパソコンを広げている様子はない。ただ、スマホで動画でもみているのか、一人しかいない客席から大きな声が漏れてくるのは不気味だった。
ただ、動画をスマホで見る環境が整っているのも確かだ。お仕事をしなければいけないということでもないだろう、と一人で納得してしまった。朝のファミレスで一人Youtubeもアリと言われればアリなのだ。

turnover 両面焼きで注文した

遅めの朝食で定番卵とトーストを頼んだ。ファミレスの朝食ではこの組み合わせがド定番だが、あらためて確かめたいことがあったからだ。前回ガストで注文した時に確認するのを忘れていた卵の調理法だ。結論から言うよと、卵は目玉焼きか両面焼きが選択できた。あとはジャムの有無、野菜のドレッシング有無も選択だった。タブレット上で分岐条件をつけるわけでもないので、何かを選択できるようにするのは簡単だろう。
調理法の複雑化を嫌ったのだと思うが、もう少しあれこれ選択できるようにすると「それに釣られる客」も増えそうな気がする。最近のトレンドでいえば、無塩調理、使用する油の選択、無塩バターやハニーなども考えられる。
アメリカのコーヒーショップの朝食であれば、答えるのにうんざりするほど選択肢がある。あれもやりすぎのような気がするが、客の要求に応えると言う姿勢の表れとも考えられる。タブレットでの選択肢を設定するだけで済むの対応できる時代なので、米国流モーニングメニューに学ぶべき点は多い。

ちょっと面白いのが、ケチャップが最初からついてくることで、これは他のファミレスではなかった対応だ。逆に醤油は卓上にあるが、ソースはドリンクバーの調味料置き場にもない。
目玉焼きに対する調味料の考えは、ファミレスそれぞれというか、スタンダードがないようだ。調味料として塩、胡椒、醤油、ソース、ケチャップの5点セットは標準化してほしい。

前回の郊外型ガストでは朝食時だったためか、ランチメニュー(紙製)はテーブルに置いていなかった。今回の都心型の店では、グランドメニュー、ランチメニュー、キャンペーンメニュー、デザートメニューと紙製メニューが全部揃っていた。24時間、全メニュー対応ということではなく、単純に時間帯でのメニューブック差し替え・交換が面倒なのかなと推測した。ひょっとすると朝は暇なので全メニューを出しておき、夜になるとランチだけ下げるのかもしれないが………。
実際の注文はタブレットでするから、決められた通りの時間帯で提供制限が可能だろう。それだからこそ、意図的に行う緩んだオペレーションという気もする。現場で起きる融通無下であり、優柔不断であり、自由奔放なオペレーション、本社から見れば統制不可……。やたら四文字熟語が浮かんできた。
タブレット導入が引き起こす負のDX効果というか、統制と運用の問題みたいなものだろうな、とジャムトーストをかじりながら思っていた。

小売外食業の理論

外食DX考察 びっくりドンキー

以前も書いたような気がするが、びっくりドンキーは3号店から使い続けている。札幌の住宅地にあった店をよく使っていた。当時は、ちょっと気張って食事をするときに行っていたような記憶がある。合い挽き肉のハンバーグが好みだったので、牛肉100%の店は選ばなかったことも理由だ。今でも、ここのハンバーグを食べることに安心感がある。一種のソウルフード的なものだ。毎月とは言わないが、年に数回は無性に食べたくなる。
そのちょっと気張ったディナー用レストラン(自分の中では)が朝食を始めたと言うので、ノコノコ出かけたのが半年前くらいだった。当たり前だが、朝飯でハンバーグが出ると言うので感動したものだ。そして、今回は普通の朝食を試してみようと開店と同時にお店に飛び込んだ。朝8時からどんな客が来るのだろうと、入り口近くの席に座っていたのだが、予想以上に来店者が多い。それも、中年男性一人ばかりで、注文するのはほぼ全員がハンバーグだった。これはすごいことだなと感心してしまった。朝からハンバーグを頼める胃袋もすごいが、おそらく牛丼を食べるのと同じ感覚なのだろうと推測した。納豆卵焼き定食より、肉が食いたいと言うことだ。仕事がはじまる前であろう8時台にガツンと飯をかき込む客ということか。

朝食は全くの別メニューなので、いつもの「木の扉」のような大きなメニュー板は持ってこない。朝食のラインナップは大きく分けるとハンバーグ定食(笑)と、卵かけご飯と、トースト茹で卵セットになる。価格帯として他の総合ファミレスより低めで郊外型喫茶店のモーニングセットに近い。
別メニューだけのためにタブレット端末を導入することもないだろうから、「紙メニュー」を使っている。このブランドに関しては、「木の扉」メニューが看板(ブランドアイコン)みたいなものだから、余計にタブレット化が難しいことは予想できる。デジタル能力がないのではないことは、新宿にある新業態でタブレット導入をしているので理解している。
なぜか茹で卵がやたら熱いので、注文毎に茹でているのかもと思ったが、半熟ではなく完熟だった。茹でたままウォーマーで保管しているのかもしれない。まあ、普通においしい朝食で値段に見合った標準品だろう。サラダは100円で追加できるオプションだった。

他のファミレスとは違い、朝の仕事場にしている客はゼロだった。後から来た客もほぼ全員、秒速に近い速さで平らげてさっさと店を出て行った。これも牛丼朝食に近い行動だろう。やはり客層が違うのだなと改めて思った。
朝食後にパソコン仕事をしようとすると電源がある席を探さなければならない。無料wifiは設置されている。ただ、店内が暗めなので窓際の明るい席が望ましい。などなど多少制限事項もある。仕事の場所として考えるならガストやデニーズの方が良さそうだ。ただ、個別ブース式の席が多いので、密閉感というか分離感が重要であれば、この店を選ぶ者もいるだろう。

DXと共に考えられる、店内空間の切り売りというか使用用途の転換に関しては、まだ中途半端な段階のようだ。ひょっとすると本社が札幌にあるというハンディなのかもしれない。東京と地方の拠点都市(札幌や仙台や福岡などの大都市)では、明らかにテレワークの比率が違う。マネージメントの差もあるだろうが、人と人の距離の違いが大きい気がする。
単純に言えば通勤時の密着度が東京は異常であり、電車に乗るとコロナ感染の恐怖が実在するレベルだ。地方大都市では車通勤者の数も多い。それ以上に電車内での距離が明らかに東京とは違う。肌感覚の危機感、恐怖感の差が存在するだろう。
本社のある札幌でテレワーク普及が低調であれば、自社も含みファミレスのテレワーク利用者も少ないはずで、当たり前のように全国店舗への対応は遅くなる。そんな部分が現れているようだ。いろいろな意味でこのブランドの店内DXは進んでいないように見える。

コロナ対策で個別ブースの隙間をシートで塞いだ緊急対応は理解できる。ただ、もはや2年も経ったにもかかわらず、ガムテープ貼のままというのはあまりにも杜撰というかのんびりしてはいないか。
おそらく、コロナは半年程度で終わるから臨時対応で十分と思っていたのだろう。それが2年以上も続き、本格的な設備対応が必要になったのだが、それができていない。これは店舗の運営力問題ではなく、本社の管理能力不足、現場認識の低さと言われても仕方なさそうだ。
ただ、この中途半端な臨時対応というのは、このブランドだけではなく大多数の大手チェーンでも放置されたままのことが多い。傷跡が深いというべきか、外食企業のマネージメント能力が低すぎるというべきか。
どちらにしても見識と戦略のないチェーンは、アフターコロナで失速、退場していくことになる。ドンキーのハンバーグがなくならないことを心の底から願っている。

小売外食業の理論

外食DX考察 ジョイフル

ファミリーレストランも全国に展開するメジャーブランドとローカルでは知名度抜群のローカルチェーンがある。首都圏で展開する老舗三社のうち、ガストとロイヤルホストはほぼ全国チェーンだが、デニーズは首都圏と関西圏が中心の広域型ローカルチェーンというべきだろう。サイゼリヤも全国チェーンだが、九州では苦戦している。その原因が、九州のローカルチェーン「ジョイフル」にあることは間違いない。ガストも九州では店数が少ない。
簡単に言えば、ガストの下の価格帯で展開するロープライス・ファミリーレストランが「ジョイフル」だ。九州の小都市郊外に、こんな場所にファミレスがあるのかとびっくりする立地でよくジョイフルに遭遇する。
メニュー構成を見ても、洋食特化型のファミレスが多かった時代に、不思議な和洋中の組み合わせメニューで、デザートも豊富だった。当時は、喫茶店のメニューがどんどん肥大化するとこうなるかな、というような感想を持っていた。関東では店舗数が少ないが、たまに郊外でお目にかかると、ついつい入ってみたくなる。その原因にはメニューの不思議さもあるが、いろいろな意味でローコスト経営をおこなっているから、お店を行くたびに学びがある。

そのローコストぶりがアフターコロナでどう変化したかと、興味津々で見に行ったのだが、意外と変化がない。テーブル上にアクリル板の間仕切りがあるのは、コロナ以降当たり前の光景だ。それ以外に変わったところが見当たらない。メニューもテーブルの上に置かれているが、「紙」のままでデジタル対応はない。
レジで会計をするときにも、今では当たり前になったキャッシュレス対応は行われているが、無人レジになってはいない。デジタル化=ローコスト運営と思っていたが、なんだか拍子抜けしてしまった。

日替わりランチ500円は納得の低価格だが、これもサイゼリヤ・ガストなどの低価格プレイヤーは「全員右に倣え」の状況なのでジョイフル的な変化はなし。ハンバーグが食べたくて行ったのだが、(曜日別に日替わりメニューが変わる仕組みは当たり前として)たまたま訪れた日はハンバーグメニューではない日だった。こういう不運な目にはよく会う。ツキがないというか、ハズレが多いというか、ダメダメ人生を思い知らされることが多い。
仕方がなく、日替わりランチではない「普通のランチ」を注文する。ライスはつくがドリンクバーは別料金なので、ファミレスランチとしては高くついた。
胡椒のきいたペッパーハンバーグは好みの味なので、満足したランチにはなるので文句を言うつもりもない。ごちそうさまでした、だ。しかし、このランチ営業もあくまで普通の状態で、つまりコロナ前と変わらない。(それもすごいと言えば、すごいことだ)
とにかく「対顧客」という点では、コロナ前と比べて何の変化も起きていない。DXという言葉は関係ない世界のようだった。厨房のオペレーションを含めた、いわゆるバックヤードでは変化が起きているのかもしれないが、客席に座っていては変化が理解できない。

気になって、朝食の時間帯にも出掛けてみた。そこで、ようやくちょっとした変化を発見した。朝食の客のほとんどが高齢者だったが、その中の数人が仕事を持ち込んでいる気配がある。パソコンを開いて何やら資料作成していたり、ノートを開いて電卓を打っていたり、何冊も本をテーブルの上に置いてコーヒーを飲んでいたりする職業人的な客がいる。年齢を推定するにノマドウォーカーとまでは言わないが、いわゆる仕事・作業をしている人たちだ。
確かに、朝のファミレスは、申し訳ないほどガラガラなので、仕事をするには良い環境だ。駐車場が広いし空いているので車で来るときには荷物が多くても構わない。テーブル席を独り占めすれば、おそらくオフィスの作業環境より数段上だろう。空調も効いていて、BGMがかかっていて、おまけに人声もほとんど聞こえてこない。これまで課題だった、電源の確保もほとんど全てのファミレスで対応完了している。無料Wi-Fiも整備されている。
あまり目につかない変化だが、コロナが産んだファミレスのインフラ整備だとも言える。他のファミレスでこうした客を見かけなかったのは立地のせいなのかもしれないと気がついた。確認してきたファミレスは住宅地の真ん中にあるとことばかりで、住宅地から外れた幹線道路沿いは、この「ジョイフル」が初めてだった。
時間帯によって提供メニュー・食べ物を変えるというのは当たり前の考え方だが、滞在環境を変えるということも「アフターコロナ対策としてはアリ」なのだと気がつかされた。
DXはハードだけの変化ではない。運営方法というソフトの変化も必要なのだと。ただし、これはジョイフルで気がついたことだが、ジョイフルが適切に対応しているかというと、そこはちょっと違いそうだ。客が「居座りやすい」空間を探し出した、というか発見しただけのような気もする。

卵とトーストの朝食がドリンクバー付きで459円だった。これはロイヤルホスト、デニーズより安くガストより高いという微妙な設定で、これまた色々と考えを巡らせる原因となった。600円朝食では卵が2個になる。卵の個数は目玉焼きのため、はっきりとわかりやすい。目立つ差だ。サラダがついたり、ソーセージとベーコンがついたりという変化はあるが、一番の違い?目玉焼きの数になる。これが価格の差なのだな、とわかりやすい指標だ。あとはトーストの付け合わせになる。高い方の店ではバターとジャムが無条件につく。安い方の店ではジャムがない。(頼めば出てくるかもしれない)。ガストは、頼めばジャムがつく。
400円程度の朝食メニューでは、ジャムのコスト(おそらく一つ10円程度)が損益分岐に影響を与える。単品のコスト管理としてはかなり厳しいポイントだ。ジャムの原価10円を削減するか、あるいは朝食としての満足度を重視してジャムをつけるか、コストと顧客満足のバランス判断になる。ジャムのあるなしは意外と大きな問題提起だ、と考える経営者がいるはずだ。その結果として、低価格帯朝食ではジャムなしになっている。
おそらく朝食は採算に合わない店が多いだろう。ところが、アフターコロナでは売上の増大、客層の拡大を目的に朝食を重視するようになってきた。そうなると、朝食の意義をどう捉えるかも考え直さなければならない。事業の収益性以上に、ブランド価値、居心地の良い空間を提供するという新しい価値づくりを目指すのかどうかだ。
自分としては、そこに事業生存の策があるような気がする。朝食時間帯こそDXの対象にして考え直すのが良いのではないか、などと目玉焼きを食べながら思った。
ついでに朝飯で食べる目玉焼きはターンオーバー(両面焼き)でケチャップをかけて食べたいのだが、それを頼めるようにメニューブックに書いておいてほしい。おまけに、なぜかこの目玉焼きセットに醤油がついてくるのだが、ケチャップもつけてほしい。と言いたかったのだが、わがままな客にならないように堪えておりました。

小売外食業の理論

外食DX考察 幸楽苑

コロナ感染拡大の2年で一番迷走していたのは、このブランドだったような感覚がある。ただ、それも対応が早いという意味では正しい試行錯誤だったのかもしれない。試行錯誤を未だに続けているというか試行が止まらないというのも正直な感想だ。

町中華と比べて値段は安め、「らしさ」にかける冷やし中華だが好みだ

このブランドで好みを言えば、㐂伝ラーメンになる。発売以来好きなメニューなのだが、おそらくスープベースの違いだろう、このラーメンは定番から排除されたり、期間限定で再販されたり、またなくなったりする「大迷走メニュー」だ。ただ、最近は定番で落ち着いたらしい。
季節メニューで言えば、夏の冷やし中華もあまりリニューアルされることもなく毎年同じ見え方で登場する。ただ、毎年出るたびに値上がりしているという気がする。今年はついに700円間近で、定番メニューと比べて一際高い(幸楽苑としては)価格設定だ。この辺りの準定番メニューの出し入れが、実に下手くそだと思ってしまう。他のレストラン各社との違いが目立ちすぎる気がする。
どうもメニュー開発の基本思考がファストフード的すぎるのだ。同じ「麺業態」のリンガーハットも同様な傾向はあるので、ファミレスというよりも、「テーブルサービスのついたファストフード」と業態定義するのが良いのかもしれない。

カウンターは「盛りだくさん」で狭い

その幸楽苑が、ついにタブレットで注文を取るようになった。そのついでにというか、「非接触」対応と言っているが、水のセルフサービスを開始した。卓上から水ポットが消えた。回転寿司のようにテーブルの上にカップを置くという発想はないようだ。非接触コロナ対応を理由に語るのであれば、客がマスクなしで水を求めて歩き回る方がよほど考えるべき課題のような気もする。
タブレットを使用して注文みるとわかるが、ファストフート的な作り込みなので、予想以上に使い勝手は良い。ただし、注文確定の部分はもう少し改善が必要だろう。

どのメニューも丸い皿とどんぶりなので見分けがつかない

ラーメン屋としては当然だが、デジタル対応拒否層であろう中高年男性向けに紙メニューも設置している。ただし、一枚にまとめようとしているから、見にくいし混乱しやすい。この使い勝手の悪に紙メニュー問題は、麺業態の「山田太郎」でも同じような対応なので、業界標準的な仕組みができるまでもうしばらくかかりそうだ。
ファミレスでタブレットを先行導入したガストの事例が、業界で共有されるまでまだまだ時間がかかると言うことだろう。それが麺業態にまで染み渡るには、年単位の時間が必要なのかもしれない。ただ、そこまで業界が持ち堪えられるかと言う疑念もある。

その疑念の原因が、店頭にあったPOPスタンドだ。本来、デザートなどの追加注文をひきおこすための卓上ツールだが、そこにあるのが「食器」販売だった。強烈な幸楽苑ファンであれば、ロゴ入りのどんぶりも欲しくなるのだろうが。(自分はいらない)
おまけに、同じ場所にテイクアウトやら、麺の宣伝やら、内容がてんこ盛りで読む気が失せる。そして、笑ってしまったのが、4面あるPOPスタンドの一面を他社に販売するらしい。だったら、店頭のポール看板の下にもう一面看板を設置して広告画面として売りに出したらどうか?
アフターコロナの対応は店内オペレーションのDXと顧客との接点・接客部分の合理化が重要課題であることに間違いはない。また、テイクアウト事業の強化も含まれる。しかし、店内の手抜きをDXで言い訳したり、デジタル対応できない客層への対応をおもんばかりすぎてデジタル対応を中途半端にしてはいけないだろう。ましてや、本業以外の商売にむやみに手を出すのは多角化でもなくデジタルトランスフォーメーションとは程遠い。
まだまだ、このブランドの試行錯誤は続くようだなあ。20年近い極小株主として見守るつもりなのだが。頑張ってほしいぞ。

小売外食業の理論

外食DX考察 ファミレス ロイヤルホストの場合

外を歩く時にはマスクは不要という政府見解が発表され、いよいよコロナ収束のムードが強まってきた感がある。まだまだ同調圧力が強く「マスク・レス」社会までは時間がかかりそうだが、それでもアフターコロナの時代が到来したのは間違いないだろう。外食にとってこの2年半は受難・苦悩・経営危機だったというしかないが、それでも政府の休業補償で一息つき、ここからどう対応するかが生存戦略、最重要経営課題だ。
たまたま入ったファミリーレストランで気がついたあまりの変化のなさに、どうにもモヤモヤした気分になる。
ということで、モヤモヤ解消のためファミレスを含めた大手外食をみて回ろうと思った。ファミレス業界はどこも大きなダメージを食らっているので、各チェーンでそれなりの工夫をしているのではないかと予測した。ファストフードは全体的に好調なので、やはり観察対象はファミリーレストランと居酒屋だろうと決めた。
回る順番はその日の気分なので、特別な意味はない。混雑ぶりを見に行く(商売の良し悪し)に関心があるわけでもないので、比較的空いている時間、曜日を狙っていこうというくらいのものだ。
見どころとしては、アフターコロナに対応したDX、オペレーションの統合デジタル化・組み直しの進み具合を比較してみようと考えた。

ロイヤルホストは、ファミレス以外の事業もダメージが大きく、大手商社の資本参加で事業立て直しを図っている。コロナ前には中高年を主客層に比較的高めの単価設定で、高いけれど質が良いというアップグレード戦略が当たっていたと記憶している。が、コロナで一番外出を控えたのが中高年、特に高齢者層だったことを考えると、ダメージの深刻さが想像できる。
それでもロイヤルらしさというものが店内には散見できる。テーブル上の仕切り版にはロイヤルホストのロゴが刻印されている。薄っぺらなアクリル板で申し訳程度の小さなものを置いている店も多いだけに、このロイヤルの本気度は素晴らしい。

気になったのは、いまだにメニューが「紙」であることだった。つまり注文、接客は従来通りのお作法で進むということになる。非接触と丁寧な接触は相反するものだけに、ロイヤルホストは非接触より、従業員のサービス、歓待、ホスピタリティーを選んだということになるのだろう。アフターコロナでこの従来路線堅持が、良い方向悪い方向どちらに転ぶかに興味がいく。

満足度の高い定番朝食

ドリンクバーつきのモーニングセットが610円(税別)はさすがロイヤルホストと思わせる高品質だろう。郊外型コーヒーショップでコーヒーを頼むとトーストと茹で卵つきで400円程度だが、プラス200円でこのレベルになるとすれば、コスパの高さはどちらになるか。そして、もう一度中高年・高齢者を引き戻すためには、この従来型路線維持が効果を上げるか、業界的には興味深いところだろう。
もともと朝飯屋だった(と思っているが)デニーズと比較すると面白そうだ。

コロナ前から取り組んでいる冷凍食材の販売も、一応アフターコロナ対応と言えるとは思うが、売り場の大きさや設置位置を考えると、テイクアウトに関してはあまり力が入っていないような気がする。
高くてもうまい、スーパーで売っている冷凍食品とは質が違う、くらいの大袈裟な宣伝をしても良いのではないかと思ってしまう。すでに閉店した実験店舗での、冷凍食品をレンジアップだけで提供するという業態は、予想以上に商品レベルが高かった。ロイヤルの冷凍食品も同じレベルだろうから、もっと威張って売っても良いと思うのだが。
ただ、そのためにはテイクアウト専用マーケティング部隊を組織するくらいの意気込みが必要だろう。アフターコロナの事業計画の中にそれが含まれるのかどうか。
DXという世界とは、まだ距離があるようだ。

食べ物レポート, 小売外食業の理論

山田太郎の進化

昨年夏に開いた山田うどんの新規業態、埼玉タンメン山田太郎を時々観察に行く。地元ということもあるが、埼玉タンメンなる造語までした新業態がどう進化していくのか楽しみにしているからだ。2号店は川島(関越インター近く)に開いたので、そちらもそのうち見学に行こうと思っている。新業態の2号店は、1号店の修正がなされた増加試作的な形になることが多いので、1・2号の比較はためになる。少なくとも仮面ライダー1号2号程度の差はあるはずだ。

今回の気づきとして一番の変化は、メニューブックとスマホ注文を併用していたのが、タッチパネル注文に代わっていたことだ。開店時から非接触型のコロナ対応店舗だったが、どうやらスマホオーダーが不人気だったようだ。麺を主力とする業態だけに、中高年男性が多い印象があるが、その客層が問題の原因だと思う。何度か来店して観察していたが、いまだに携帯電話を使っている男性客が多いこと。そして、スマホを持っていても口頭で注文する面倒くさがりが多すぎるようだ。
タブレット式注文はその解決策だと理解できるが、やはり学びはあるようで「紙」メニューがテーブツの上に置かれている。ブック型ではなくペライチというのが、対応客層が誰かを連想させる。一覧できる一枚メニーはファストフードでも多用されているが、メニューが多くなると目移りがして選びにくい。その辺りもレイアウトで工夫しているのがわかる。(元ファストフード従業員としては、もう少し工夫の余地がありそうな気もするが…)
この紙とタブレットの併用策は客層に合わせた柔軟な対応と考えられるが、印刷物の用意は時間もかかるし、単店ではコストがバカにならない。できればタブレットに一本化したいだろうが。まだ試行錯誤中ということか。
また、タブレットはあきらかに一覧性が悪い。いくつかあるメニューからどれかを選ぶとなると、一覧性の悪さは「使い勝手が悪い」と客の不興を呼ぶ恐れがある。この店のように中高年男性が主客層になる場合は客離れの原因にもなりかねない。

すでにコロナが収束しつつあり(感染者数の減少より社会的認識として)、アフターコロナの外食ビジネスがどういう運営方法に落着するのかが目先の課題だろう。外食各社の思惑で「百花繚乱」状態から、どのやり方が定着してくるか。業界標準が定まるには、もう少し時間がかかるようだ。
埼玉タンメンは山田うどんの系譜につながる、テーブルサービスのファスト提供というユニークな業態なので、進化の行方が楽しみでしょうがない。

今回の新商品はトマト味のタンメンだった。トマトスープのラーメンは先行業態があるが、そこのトマトラーメンとは全然違う。埼玉タンメンのスープをベースとしてトマト味に仕上げたものだが、全体的に印象のぼんやりとした味になっている。イタリアンを意識したのか、あるいは先行形態のトマトラーメンを狙ったのか、粉チーズをかけて食べる仕上がりになっている。当然、チーズの旨味成分と塩が加わって完成形になるという、合体方式の麺料理らしい。ただ、それであればチーズが別提供、後掛けではなく提供時から合わせたものを出すべきだろう。
チーズなしで食べるとスープの味が薄く、麺料理として完成していない気がする。ちなみに、薄味が気になって卓上にある醤油とニンニクを追加してみた。予想通りスープの塩味が足りていないのが醤油で補われると旨味を感じる。ニンニクが入いると「イタリアンなトマト味」に変化した。味変を楽しむという意味では、面白いベースだと思ったが、それが狙いでもないだろう。
まあ、色々な試行錯誤の中から「ヒットメニュー」も出てくるのだろうし、あれこれ新しい味を楽しませてほしい。
次に行った時には何が起こっているだろうか。実に楽しみだが、進化速度をもっと早めても良いような気がする。アフターコロナの生存戦略の一つは「変わり身の速さ」だと思うのだが。

街を歩く, 小売外食業の理論

ファサードの魅力と吸引力

札幌狸小路の話を長々と続けているが、実は今回の札幌探索で一番気になった店を狸小路で発見してしまったのが原因だ。何度も書いているが、狸小路の西端は建物がどんどん潰れて、駐車場になったりホテルになったりしている。新陳代謝が激しいと言えばそうかもしれないが、新しくできるレストラン、食べ物屋のほとんどは新築ビルに入居するわけではない。古くて小ぶりなビル・建物にひっそりと開店するのがほとんどだろう。
だから、ビルの2階にある店舗も多い。数少ない狸小路歩行者を店内に引き込むべく、外観のデザインやpopなど工夫している店が多い。だから、都心中心部を歩くより狸小路のはずれを歩く方が、今の札幌で店をやろうと思う若い衆の意気込みが感じられると思っている。そんな街歩きの中、数ある新進気鋭の店舗群の中で、一番目を引いたのがこの店だった。
ちなみに「点と線」は某有名推理作家の出世作の題名と同じだ。何か、その小説と関係があるのかもしれない。勘ぐれば、点と点をつなぐ線みたいな意味で、つながりとか共生などを考えているのだろうか。店名だけであれこれ考えさせられてしまう。

どうやらカレー屋さんが始めたラーメン店のようだが、「新しい麺料理のカタチ」と真面目な宣言をしている。デザインセンスはなかなか優れものだと思う。ただ、ラーメンが退色しているように見えるので、その点は気になる。
ああ、このラーメン食べてみたいなと思わせる説得力がある。コピーもシンプルだが力強い。このデザイナー、センスがいいなあと感心した。

入口横メニュー看板も一点豪華主義といいうのが良い。ついついフルメニューを乗せたくなるのが入り口看板だが、その誘惑をしっかりと退けている。いいぞ、いいぞと思う。
おまけが、地面に置いた行灯だ。夜になり灯りが入れば、これは実に効果的だ。この手の地面に置く行灯は京都先斗町や東京神楽坂でたまに見かける。夜に特化した「ハイセンス」POPだが、使い方が難しい。それをラーメン店でよくやり遂げたものだ。
次回の札幌では、この店を外すわけにはいかない。店内の姿にも期待が高いが、おそらくラーメンのビジュアルも相当にハイレベルでフォトジェニックな仕上がりになっている気がする。
レストランは見た目が8割、ということを理解している人は少ない。見栄えが悪いが味はうまい食べ物など、極めて稀な存在で天然記念物級のレアものだ。それと同じで、レストランの良し悪しは入り口で8割方決まっているものだ。初めて入る店は入り口で決まる。嫌な感じがしたら、決して中には入らない。意外とお店をやっていながら、このことに気がついていない店主・経営者は多いようだ。うちの食い物はうまいはずなのに、なぜか客が来ないという傲慢な店主は、入り口で客を惹きつけないどころか排斥していることに気がつかない。その意味でこの店は必見の一軒だと思う。

繁盛店を作るには、店名とファサードがとても重要なのですよ。 

食べ物レポート, 小売外食業の理論

ファストフードなステーキ 

今回で1000回目になった。ほぼほぼ食べ物の話だけで、飽きずに書き連ねたものだ。原因はコロナの流行で在宅時間が増えたということだと思う。まあ、数が多ければすごいというものでもないし。駄文はいくら書いても駄文だと自覚している。この後はぼちぼちという感じで続けていければ良いのかなというのが1000回目の正直な感想だ。

さて、進化するファストフード界のチャレンジャー代表が松屋だと思っている。成功しているブランドほど保守的であることを考えると、松屋のチャレンジぶりは尊敬に値する。
ただ、そもそも論的に言えば、松屋は最初から異端の牛丼屋だった。牛丼屋というより定食屋だとする方が正しいと感じていた。が、最近の動向を見ると定食屋からスタンド形式のファミリーレストランみたいなものまで進化?したように見える。そして、その進化の波は松屋本体から、姉妹チェーンに飛び火してカオスなファストフードを次々と展開している感がする。その松屋シスターズで一番気になるのがステーキ屋松だ。

吉祥寺の百貨店裏という立地は、ファストフード向け立地とはずいぶんと違う気がする。小ぶりなイタリアンとかフレンチ、あるいは洒落者気味の和食店あたりが似合いそうだ。このステーキ屋松という業態はファストフードとしてはアッパーな価格帯だけに、日常使いができるような客層がいる立地を選んだという見方もできる。
駅前に店を開け、300円の牛丼で客席を1日50回転させるような商売とは正反対な業態を確立する。そのための実験店ということもあるだろう。
面白いのが(コロナ対応だと思うが)入店する前に食券を買うことだ。松屋でも入り口を入れば券売機があるが、あえてそれを店外に設置している。
券売機で食券を買うと、ドアを開けて従業員が出てくる。席を案内するためだと思うのだが、店内のお好きなところにどうぞと言われて、いささか拍子抜けした。
この辺りもアフターコロナで対応が変わるとは思うが、松屋本体でも商品渡し口で食券と引き換えに受け取る方式もある。カウンター越しの対面接触を避けるため、新しい提供様式が試行錯誤されている段階と考えるべきだろう。

席に着くと数分でステーキが出てきた。その速さにびっくりした。肉が焼ける重々という音がしている。肉の上には紙ナプキンのようなものがかけられていて、油飛びを防いでいるようだ。その髪をとると石板の上でステーキ登場となる。石板は相当に熱く、レア状態で出てきた肉をナイフで切って石板に押しつけ好みに合わせて加熱するという仕組みだ。
極端に言えば生肉状態で提供するわけで、注文から提供までの時間が短いのは納得だ。焼き加減も関係ないので従業員が「焼き」の技術を身につけるのも不要だ。この辺はペッパーランチと同じスタイルでファストフード化するための必須技術だろう。

肉は石板に置いただけでなんの調味もしていない。ますます従業員の技量は必要ない。カウンター席の目の前にある多種のソースから好みのものを選んで、肉につけて食べる方式だ。このソースあれこれは、松屋本体で既に実証済みの仕組みだからお家芸に近い。4種類のソースを全部試してみたが、好みはオニオンソースだ。塩、胡椒、ワサビなども置かれている。これで味のバリエーションは確保した、ということだろうか。シャリアピンステーキのように肉の上からソースをかけるタイプには対応しにくいとは思うが、そこは「肉を生でくらう」的に割り切れば良いことだ。
そもそも、この店のコンセプトを考えるとソース上掛けによる単価アップは、あまり期待できそうももない。単価アップを狙うのであれば、肉増量して割引の方がよど補客層的にすっきりしたものになるだろう。

ご飯は少なめを選択

肉が素早く出てきてしまったので、サラダバーに行くのを忘れてしまった。食後に確認に行ったら、最低限の野菜サラダは食べられる状態だった。郊外型ステーキ店の重厚なサラダバーとは異なるが、ファストフード・ステーキ店としては十分だろう。
150gの赤身肉ステーキは、あっという間に胃袋に消えた。自分でも驚くほどの速さだった。これならばハーフポンド、約250gでもよかった。もう少し腹を減らしていたら1ポンドもいけそうな気がする。
この先、この店がどう進化していくのかが楽しみになった。立ち食いステーキのあれこれを学んで改良されたコンセプトだと思うが、やはり二番手の方が色々と改良されている。次回はテイクアウトも試してみよう。もしテイクアウトがあるレベルを超えていれば、アフターコロナの対応進化型ファストフードとみなすことにしよう。その時には新型ファストフードの定義と理論を整理してみたい。

街を歩く, 小売外食業の理論

小麦の奴隷のユニークさ

うまいパンを焼けば売れる、というのは嘘だ。売れるパンがうまいのは確かで、まずいパンは売れない。ただ、うまいだけで売れるわけではない。売るための必要条件ではあるが、売れることを保証する「十分条件」ではない。
世の中には商品の優秀性に対する過信がありすぎるといつも思っているのだが、それをとあるパン屋で思い知らされた。

チョコチップの入った硬めのパンくろわっさ

くどいとは思うが、小麦の奴隷について書き連ねる。冷凍生地を利用して甘いパン(生地に糖分が多い)を作るのは簡単らしい。高級食パンも生地がリッチなのが流行りなので適応しやすいと聞いたことがある。逆に小麦と塩だけのようなリーンな生地(ピザ生地などがその典型)が難しいそうだ。
だから、小麦の奴隷に並ぶ数々のパン、柔らかくて生地が甘くて、ふわふわで、フィリング(中身の詰め物)がいろいろ入っているパンは、対応がしやすいのだろうと想像している。
ところが、その甘いパンのバリーションを開発するのは、個人経営の小規模パン店ではなかなか難しいのも容易に想像がつく。アイデアに関してであれば、流行りのパン屋に行って、売れ筋のパンを買ってきて、それのコピーを作るくらいのことはできるだろう。
ただ、多品種少量生産をしようとすれば食材は増えるし、焼く手間も増える。そもそもコピーとはいえ試作は何度かする必要もある。
個人経営者本人であれば残業時間など考える必要はないから、自分の頑張りが全てだが、パン職人を雇って経営しているとすれば、開発に要する人件費も増加する。

クロワッサンではない

つまり、レシピー開発は手間がかかる仕事で、できればやりたくないというのが本音だろう。ただ、バラエティーこそ「繁盛の基本」要素であることも確かだ。だからこそ、そこを代行するビジネスがフランチャイズとして成立する。
世間的によく理解されていないかもしれないのだが、フランチャイズシステムとは「売れている看板」を使う権利が「売り物」主体だ。次に「独自の商品」の製造許可が来る。商品ありきではなく、売れている看板こそが売り物なのだ。
ただし、どんな分野でも商品の経時劣化というか、時間と共にありふれたものになる、飽きられるのは避け難い。だから、強い定番商品は改良を続け、第二の定番を生み出すまで新商品開発も怠けることができない。優れた商品とは、「進化し続ける商品」であり、商品開発力こそがフランチャイズビジネスの基盤となる。
残念ながら多くのフランチャイズ企業で、この原則を守らない「なんちゃって商品」ばかり投入されるのを見てきた。このブランドも長くないななどと思うことは多々ある。

カルツォーネと言っているが、外側はソフトなパン生地


この観点から、小麦の奴隷がどうなるのか一年、二年は見続けなければ答えは出せない。ただ、一つだけ確信しているのは「都会の匂い」を商品開発の軸にしていることだ。地方の小都市、田舎町をターゲットにしているそうだが、「都会の匂い」はまさにそうした立地の客に来店動機、行きたくなる気持ちをもたらす。基本コンセプトにブレがないことは重要だ。
それはネーミングのひねったセンスに現れている。そして、商品のおしゃれ感も「都会の匂い」には重要な要素だ。硬いパン、柔らかいパン、甘いパン、惣菜食事パンなどの配分も適切に見える。

誰でも知っているメロンパンであれば、形容詞で強化する。地方都市では、まだあまり知られていないようなパンは、イタリアン、フレンチのカタカナ名を濫用して圧倒する。おそらく定番の出し入れと季節商品の出し入れを頻繁に行い、常連客を飽きさせないヘビーローテンションを狙う作戦だろうと推測している。
地方都市の小商圏圏でパン屋を成立させるには、パン職人の腕前だけでは足りない。綿密なマーケティング戦略が必要なのだと、この店舗を実際に訪れて思ったことだ。
ロケット打ち上げビジネスをやりながら、田舎のパン屋を展開する、ホリエモンというビジネスパーソン、すごい人なのだね。

食べ物レポート, 小売外食業の理論

回転寿司のマーケティング分析

スシローがキャンペーンで「東北」ネタメニューをやっていたので、ノコノコと出かけてしまった。スシローアプリでキャンペーンメニューを確認して、開始日も確認して、と入念な準備をした。そして、ネタ切れという悲惨な目に遭わないように開店10分後を目指して出かけた。ところが、開店10分でカウンター席は満席で、待ち時間が発生するという人気ぶり。いやあ、驚いてしまった。
そして、まずはお目当てのホヤ塩辛軍艦を注文した。期待通りというにはちょっと「ホヤ臭さ」が薄い。ただ、ホヤフリークでない限りは、これくらいの「薄さ」の方が受け入れやすいだろう。仙台で食べるホヤは鮮度が素晴らしく匂いもしないが、首都圏まで輸送されてきたホヤは、一種独特の匂いがする。この問題が解決できればホヤファンも増えるだろうにとも思うのだが。

続いて貝の二種盛り。まあ、無難なまとめかたという感じ何する。貝好きにはちょっと物足りないかもしれない。ネタがもう少し大きければなあ、という感想だった。ただ、回転寿司で貝をしっかり食べさせてくれるのはスシロー限定に近いような気もする。ネタとしての貝類が難しいせいだろうか。

そして本日のメインイベントは、夏に続いてリリースの「うに」だった。ただし、これはチリ産ウニを塩漬けにしたものらしい。ただ、なまのウニもうまいが、つけたウニも別のうまさがある。個人的には塩漬けウニが大好物なので、これは実に嬉しい。鮮度管理のことを考えると、こちらのほうが味のバランスが良いという気もする。
回転寿司でしっかりとしたウニが食べられる時代になったかと、思わず嘆息する。店数が増え買付規模が上がったことや、競合他社との競り合いが厳しいせいだろうが、大手三社のネタの質は年々進化しているように思う。競争は大事だ。

ただ、今回のお目当ては、新ネタの寿司を食べに来ることではなかった。お持ち帰りロッカーの見学が目的だった。これはネットで注文したテイクアウト商品(決済済み)を、店員と話すことなく持って帰る仕組みだ。スマホ注文時に発行される解除番号でドアが開く。テイクアウト商品の販売は、この手の「非接触型引渡」が主流になるのだろうと予測できる。
この手の設備に十分投資できる企業体力が業界での生き残りの条件になる。つまり、テイクアウトを販売の主力に置こうとすると、膨大な設備投資が要求される「パワーマーケティング」の時代になる。知恵と工夫で生存しようとする戦略を、木っ端微塵に打ち砕く「数こそ正義」という戦略だ。
これが、どの業態でも寡占状態の最終決着をつける、最後の戦略になる。回転寿司業界は、そろそろファイナルステージに入ったようだ。それは中小企業受難の時代となり、生き残るのがますます厳しさを増すことを意味する。

**誤字修正などをして、再アップしました