食べ物レポート

自分への土産物

北の大地に旅をすると、いくつか買い込んでくるものがある。お土産というより自分向けのストック商品が多い。昔はジンギスカンのタレを大量に買い込んでいたが、最近は首都圏のスーパーでも手に入るようになったので買い物リストからは除外した。今でも買い出ししているのは、ジンギスカンのタレ風の「しゃぶしゃぶのタレ」で、これは有楽町のアンテナショップでもたまに買えるが、個人的にはほぼ万能調味料扱いなので、最低限3本はストックしておきたい。なので、定期的に現地調達している。
セイコーマートのPB商品である「ミルクコーヒー飴」も買ってくることが多い。セコマは埼玉県にも支店があるので、乾物飲料系であれば手に入るのだが、残念ながら最寄りの店舗まで車で1時間近くかかる。だから軽めのものは現地調達することが多い。さきイカにチーズがコーティングされた、チータラのイカ版は土産に渡すと喜ばれる。セコマ最強PBはメロン味のソフトクリームだが、これは持って帰るのが難しい。首都圏のウェルマートで業務提携しているらしく、セコマPBが手に入ることもあるのでたまに利用する。

土産に頼まれるものは大体が甘いものになる。カニやイクラなどの生ま物(?)は頼まれても宅配便で送ってしまうことにしている。荷物の軽量化は大事な旅の掟だ。
お土産に希望されるような名物は空港で買えるものがほとんどだが、時にはローカルな街の名物を調達しなければいけないこともある。十勝であれば、スイートポテト(それも重量で値段が決まる量り売り)が現地でしか買えない名品の最たるものだ。これを買うために何度か寄り道をしたぐらいだ。ただ、自分への割り当ては極めて少ない。あくまで贈呈用の一品だ。
北の軍都であれば、リンゴが丸ごと一つ入ったパイがおすすめだが、これも現地でなければ手に入らない。最近はテレビで報道されたせいで通販でも品切れが続いているようだ。とてつもなくうまいプリンもあるが、こちらは通販で買えるようになった。プリンは冷蔵品だし、なかなか重たい荷物になるので、土産扱いにはしていない。1-2個を自分が食べるために買うくらいだ。ラーメンでも有名な街だが、個性的な銘菓が多い。動物園を見に行ったついでに、あれこれ買い集めるのが良いかもしれない。
たまたま軍都の名物焼き菓子を土産に注文されたので、どこにいけば買えるかとネットで調べてみたら、なんとJR駅前の物産館で売っていた。空港の中で探すのはなかなか大変だが、駅の物産館はコンパクトでわかりやすい。すぐに見つけたが、なんと味がわりで3種類ある。どれを買えば良いか問い合わせをすれば良いのだろうが、面倒なので全種類買ってしまった。

食感で売るという、かなり斬新なコンセプトだが名品に違いない うまいぞ

その注文された焼き菓子を手渡してから、ふと自分でも食べてみたくなった。すでに土産として渡したものを、一つでいいから自分にもくれないかと頼めるはずもなく、その時は諦めた。次に行った時に自分の分を調達しようと決めた。それが、この焼き菓子だった。サイド買いに行って気がついたのだが、一枚ずつばら売りしていた。最近の土産物屋はこのバラ売りシステムを採用しているところが増えたが、実に客目線で宜しいサービスだ。
さてどんな味だろうと一枚食べてみると、柔らかいクッキーというのが最初の感じだが、商品にはクッキーではなくサブレーと書いてある。サブレーの定義はよくわからないが、なんとなく硬めの焼き菓子というイメージがあるので、このふにゃっとした食感は意外だった。生地の甘さは控えめだが、その中に柔らかいチョコレートが練り込まれている。
チョコチップの入ったクッキーがとても柔らかくなったというか、ぐずぐずに湿気った食感というのか。甘さのバランスも良いが、最大のセールスポイントはこの一風変わった食感だろう。ホワイトチョコ味は食べなくても想像がついてしまう。サイトを見てみたら季節限定品も売っているようだ。次回は季節限定品を試してみよう。

この焼き菓子をもぐもぐと食べていたら、東京大好きな元・上司が銀座以外の菓子屋なんて…………という大差別発言をしていたのを思い出した。全国各地の菓子職人たちが銀座には売っていない(おそらく発想もできないから作ることもできない)、ユニークな名品を生み出しているのだが知らないのか、と反発していた。
たまたま出張の土産にフランスで有名なお菓子を買っていたときも、この店は東京にもあるのに………と馬鹿にされた。東京にあるのだから珍しくもないと言いたいようだった。
フランスの店と東京の店で売っているものが同じ商品だと思う神経がよくわからない。原材料を全てフランスから輸入したとしても、調理機器を全て輸入品にしたとしても、水が気温が湿度が違う以上、同じものになるはずがないだろう。おまけにフランスの小麦は一般的な輸入品ではない。味をよくしようとカナダ産小麦などの北米もの小麦に変えていたとしたら、東京製はフランス製と根底から変わってしまう。同じミルクやバターをフランスから安定的に輸入できるかというともっと疑問だ。日本にある「商品」は名前は同じであっても、限りなく現地のものに似せているが、あくまで似せているだけの「偽物」でしかない。(ただ、偽物であっても上手いのは間違いないと思う)東京で売っているものは、ブランドラベルだけ本物、中身は別物という認識ができないのだろうか。業界人としての見識を疑ってしまう。などと、心の中でぶつぶつと呟いていた。(こっそりとぶうたれていたが、あくまで心の中だけですよ、だって、上司ですからね)

こういうローカルな名品に出会うたびに、その時のことを思い出す。熱烈な東京崇拝主義は、それに反発する過激な地元礼賛主義を生み出すものだ。地方と中央という対立構造は案外と食い物の恨みから生まれているのかもしれない。個人的には、お江戸も巨大なローカル都市だと思っていますから、ありがたみなど感じていませんけどね。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中