食べ物レポート

桜とビール

北の街の南部にある桜の名所でおこなわれる花見会に招待された。地下鉄駅から歩いていく途中で、綺麗な桜の花小路を見つけた。個人のお宅のようだが、一般向けに解放されていてお好きに見ていってということだった。小粋な方がいるものだと感心した。

その桜の名所は小高い丘の上にある。その丘の下には、老舗味噌ラーメン店が店を構えている。おそらくこの店に来るのは20年ぶりくらいではないかと(大袈裟だな)思うが、普段であれば歩いてくるはずがない。車でなければ来店がするのに不便な場所がから、前回は車で来たはずだ。記憶がはずれてはいないと思う。

店内には窓際にずらっと行列ができていて、その行列が入り口からはみ出している人気ぶりだった。店内に入いってみると、昔の記憶とは異なって実にこぎれいて明るい。改装したのがいつ頃なのかはわからないが、それほど時間はたっていない感じだった。
券売機で注文の品を決める。周りを見渡すと半分以上が観光客という感じだった。聞こえてくる会話から判断しても、北海道外から来た客が多い感じだ。ぱっと見ではわからなかったが、どうやら台湾から来たカップルもいた。すごいことに彼らは二人でラーメン三種(味噌、塩、醤油)コンプリート注文していた。従業員の方が、「3 Bowls coming, together 」みたいなことを言っていたから間違いないだろう。
どうやら、三種コンプリート注文する外国人観光客は多いようだ。老舗のラーメン屋も着々とグローバル化していた。しかし、自動販売機は日本語でしか書かれていない。どうやって味違いラーメンを選んだのだろう。スマホで翻訳アプリを使って………みたいなことだろうか。

この日は花見ということもあり、地下鉄駅からの徒歩移動だから、いつもはできないラーメンとビールが堪能できる。缶ビールというのがちょっと残念なところだが、出された銘柄はクラシックなので文句なしだ。じつは、このクラシックというビールは、プレミアムビールである「恵比寿」より美味いと思う。お江戸で売ってくれないのが悲しいが、たまに(何故か)JR東日本の駅売店で行われる北海道フェアで大量に販売されることもあり、全く手に入らないという訳でもない。
近くのスーパーでもこまめにチェックしていると年に3-4回は販売していることがある。ただ、気温と湿度の関係はビールの味にとって重要で、北海道で飲むうまさをお江戸ではなかなか味わえない。
まあ、お江戸にはお江戸にあったビールもあるからそちらを楽しめば良いのだが。

そして本命の味噌ラーメンが出てきた。スープの表面をたっぷりの油が覆っている。だから、スープから湯気が立たない。スープの表面が光って見えるのは、全面的に油で覆われているからだ。ただ食べ始めても油は気にならない。スープの味が濃厚なので、逆に「脂」が旨さを引き立てる感もある。具材はシンプルにメンマともやしだが、このシンプルさがまさに売り物だろう。
味噌ラーメンの調味料といえば唐辛子、それも一味に限る。最初にぱらぱらとふりかけ、途中から追い唐辛子で辛味増量をする。スープの熱さと唐辛子の辛味で額にじわりと汗が出る。これぞ正統的味噌ラーメンの楽しみ方ではないか。(ドンドンと机を叩いて力説したくなる)
待ち時間40分、食べ終わるまで10分の至高の贅沢だった。ほろよい加減のクラシックが幸せな気分を盛り上げてくれる。このまま、花見などしないで飲みにいってしまおうかと、怪しい誘惑に駆られてしった。ビールと味噌ラーメンは、そんな魔力を秘めているのですよ。
ラーメン・ビールに餃子などという夾雑物をいれるのは、まさに邪道なラーメン道だなどと勝手なことを呟きながら、桜が咲く丘の上まで急な坂道を登っていった。あまりの寒さに、やはり桜はどうでも良くなりました………

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