
北の街でちょっと飲み屋の話題的になっているのが「ビル解体工事」の話だ。都市中心部の官庁街で高層ビルが建築されていた。大手建設会社の仕切りで、駅前通りから工事中のクレーンが見通せるほどの高層ビルだった。そのビルが建築基準に達していない不良部品を使っているのが、発注元の検査で発覚して、なんと10階以上鉄骨が組み上がっている段階から解体工事をすることになったそうだ。当然ビルの竣工は何年か遅れるだろう。
ニョキニョキと伸びていった高層ビルが、みるみる縮んで行くという都市伝説的な風景らしい。たまたま現場近くを通りかかり発見した解体工事の看板を見ると、面白いのが「このペナルティー解体工事」も週休二日制厳守らしい。おそらく解体工事監督のおやすみ日なのだろう。ペナルティーをくらった後の解体工事で、ブラックな労働環境にすることはできないだろうし。
安物部品で削減できたコストはどれ位なのかは聞いていないが、解体工事を合わせて10億円単位のマイナスになるようだ。安物買いの銭失いとはこういうことを言うのだろうか。解体工事の現場が、たまたま北海道警察の近くだったので気になったのだが、なぜ解体しているかと言う「説明文」は見つからなかった。札幌市民には暗黙の了解事項らしい。
大通公園のオリンピックマラソンスタート地点と同じくらい、建設業界に関してあれこれ考えさせてくれる「北の街の新名所」ではないかなと思った。
発注者も請負業者も日本有数の大手企業だから発覚した事案らしい。発注者が気が付かなければ地震で倒れる高層ビル第一号になったかもしれないと、飲みながらの馬鹿話で聞いた。それもまた怖い話だ。一枚の看板にドラマがある………