食べ物レポート

魚料理で考えた

最近食べた魚料理で・いわゆる高級魚では無い大衆魚をうまく食わせる店に連続して当たった。ラッキーなことだが、よくよく考えれば魚の旨さに高級も大衆もあるわけではない。うまい魚が大量に取れると安くなる。少量しか取れないと高くなるだけのことだ。最近の高級魚の典型、ノドグロも食べてみたいという客が増える前は、多少お高いくらいの魚だった。
さて、大衆魚の典型といわれているアジ、サバ、イワシ、さんまのチーム青魚メンバーだが、不思議なことにどの魚種も豊漁ということはないらしい。数年前までイワシは壊滅的に取れなかったはずだが、秋刀魚が不良になるとイワシが復活しているようだ。おそらく大自然の摂理みたいなものがあるのでは無いかと思う。だから、この時期のお高いサンマは諦め、大量に出回るイワシを楽しめば良い。料理人も、そういう割り切りであれこれメニューを考えてくれれば良いのだが、客の方が余計な要求をしてしまう。秋にはサンマだよなとか、変なこだわりを言うからたかがサンマが(と言いたくなる)高級料理、いや高価格料理になってしまたりする。勘弁してほしい。
イタリアンの名店で食べたイワシは、安くて美味しい魚を美味しく料理してくれた。感謝しかないが、これと似た料理を真顔で食べたことがある。ポルトガル料理の店だったが、その時初めてイワシ料理がポルトガルではポピュラーなのだと知った。オリーブオイルとハーブの組み合わせで食べたイワシは、誠にうまいものだった。それと同じもの(?)を恵比寿で食すとは、世界は狭くなったものだ。ただ、うまい者には国境がない。

若者向けらしい賑やかな寿司屋というか海鮮居酒屋で、飲み放題付きの宴会コースを頼んだ時に出てきたのが、みたこともない魚の煮付けだった。従業員のお兄ちゃんが五種の説明をしてくれたのだが、うっかり聞き漏らした。食べた感じで行くと銀メロではないかと思うのだが、トロッとした白身の魚だった。これも魚体を想像すると、相当に大きな魚だろう。それを大ぶりの切り身にして一気に大量に仕上げた宴会料理だと思うが、これが思いの外うまい。一人前で調理するより、大鍋で十人前くらい仕立てるとうまくなる類の料理だ。
朧げな記憶であるが、この手のプルプル系食感の魚は深海魚が多かったはずだ。そうしたレア系深海魚をしっかりと食べ切るのは、食の循環として大切なことだなあ、などと旨さ以外のことに感心した。

魚付きが多い日本人として、世界中から魚を集めてくるのも良いが、大衆魚や深海魚といった身の回りの海にいる魚をもっと有効に活用できる社会になった方が良いのではと思った次第。うまい魚料理を食べながら、「外食産業のできることは何だろう」みたいなことを考えただけで他意はありません。

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