食べ物レポート

普通に美味しいレストラン

食べてしまって気がついたが、これが正面の向きではないのね トホホ

前菜からデザートまでしっかりと食べることはすっかり減ってしまった。社交的な会合に出る機会がなくなったということもあるが、自分のお腹の都合というのもある。食べたいものを食べたいだけなどとわがままを尽くすようになって、結果的にサラダとメインだけで注文おしまいみたいな感じが多くなった。店からするとありがたくない客だろう。その分、せっせと回数を稼いでくれれば良いのだが、それすらもサボり気味となれば、もう来なくていいですよと言われても仕方がない。
そんなダメオヤジが友人に誘われて、恵比寿の片隅にある家庭的なイタリアンレストランにノコノコ出かけてしまった。こじんまりした居心地の良いお店だった。メニューを眺める前からうまそうな予感はしたのだが、友人たちがマダムと相談してシェフにお任せで適当に、ということになったらしい。それに文句はないし、お任せであれば何が出てくるのか楽しみだ。スタートは生ハムといちじく。最近は、この肉とフルーツの組み合わせが気に入っている。昔は塩蔵肉をうまく食べるために甘いフルーツと組み合わせて作られたmrニューなのだろうなと思う。今のように塩蔵肉の塩度が低下してくれば、またちょっと違う意味合いもありそうだが。肉とフルーツ、魚とフルーツという味の組み合わせはもっとバリエーションが多くなっても良さそうだ。和食で言えば、干し柿の和物みたいな感じだろう。干し柿とバクライは一度食べてみたいかも。

イカのマリネは前菜として嬉しい。イタリアンの良いところは海産物に関して自由な発想の調理をすることだと思っているが、イカやタコを食べる国は地中海的な明るさがあるよねなどと勝手に決めている。シーフードとオリーブオイルとガーリックが合わされば、無敵の料理になるのだ。

イワシも日本的な天ぷらや塩焼きとは違う発想で食べると美味い。イタリアンの濃いめの味付けには白身魚よりも青魚が合うと思っているので、これも旨しでガシガシと食べる。トマトとイワシは海の恵みと土の恵みだ。和食で魚を油でソテーした料理にはお目にかかった記憶がない。どこかで食べたことがあるのかもしれないが覚えていない。鰤の照り焼きがソテーといわばソテーなのだろうが、あれはもはや煮魚ではないかという気もする。豚肉の代わりに鮭やギンダラを生姜焼きにすれば和風ソテーになるかなあ。蒸し魚のあんかけ料理はあるから、ソテーにするよりそういった調理法が和食には向いているということだろう。

メインは肉。小ぶりのステーキかと思ったら薄切り肉が重なっているものだった。甘めのソースが絶品で、やはり肉料理はソースで決まると、これまた勝手な感想で納得していた。旨しだった。

そして、これが指定注文していたラザニアで、それも一人前に調整して出てくくる細やかさ。オーブン料理も和食とは異なる発想の調理法だが、これは焼くときに欠ける濃厚系ソースが重要なポイントなので、日本食としては難度が高そうだ。味噌を使ったソース(餡かけ)みたいなものになるのは予想できるが、やはりこのラザニアやドリアに代表される濃厚さは難度が高いだろうなあ。某イタリアンレストランチェーンの最大人気商品がドリアだというのは容易に納得できる。

最後にフルーツソースがかかったアイスクリームが登場してコースは終了した。満腹と満足の程よいバランスだったが、イタリアンでシェフのおまかせというのも、なかなか面白いものだなあ。随分と昔にローマまでお勉強に行った。その時に食べた普通においしい普通のイタリアン料理を思い出した。豪華な食材を使った豪勢な料理より、普通の食材で普通に美味しい料理は提供するのは難しいと思う。まさに料理は素材だけで旨くなるものではないというお手本のようなディナーだった。
来週にでもまた行きたい、そんなお店でありました。マダムとシェフにグラーチェ。

恵比寿駅から山手通りを渋谷方向に戻る 徒歩4ー5分にあるトラットリアでした。

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