
小型の焚き火台は暖房器具というより調理器具といった趣がある。調理加熱用の便利な道具はたくさんあるのに、わざわざ面倒くさい使い勝手の悪い焚き火で調理をしたがるのか。これはキャンプ愛好者の中で大きく趣味が別れ、かつ決定的な価値観の差だ。(だいぶ偉そうだが)
個人的には、ガスコンロなどを使ってチャチャっと料理をするのが好みだが、そこはソロキャンプの宣教師である〇〇〇先生に従って、焚き火飯がキャンプの醍醐味だとしておく。
当然、微妙な火加減などできるはずがないので、仕立て上げるものはワイルドなメニューになる。

アスパラのベーコン巻きならぬ、岩下の新生姜の豚バラ巻きを再び挑戦することにした。これは以前も作ってみたが、その時は豚バラ肉の切り身が短すぎて、巻き方がうまくいかず潰れただんご状になってしまった。そこを改善するべく、今回は長いバラ肉を選んできた。バラ肉の産地などにはこだわらないのだが、この肉はスペイン産だった。ヨーロッパ産の豚肉といえばデンマーク産と決めつけていたが、産地が広がっているようだ。世界の物流が元に戻ってきているのかもしれない。

生姜を適当な細さに切り分け、それを並べて豚バラで巻くだけなので作業は簡単に終わる。生姜と豚肉の量はほぼほぼバランスしていたが、ちょっと余ったバラ肉は後から焼きそばの具材にすることにした。

薪の火が多少落ち着いて熾火になったあたりで、鉄板を使い一気に焼き始めた。バラ肉のためか予想外に油が出てきて、焼いているというより揚げている感じがしてきたので、ティッシュペーパーで油を吸い取る。その作業中にティッシュペーパーに火がついて慌ててしまったが、そのまま薪の上に突っ込んで燃やしてしまった。この辺りが焚き火調理の鷹揚と言うかいい加減さだ。
自宅のキッチンで調理中に火が出たら相当に慌てるだろうと思うが、野外では他に火がつくものもないし、そこらへんに火がついた紙を投げ出してしまっても、踏み消してしまえば良い。とにかく、そこまで大ごとになることもなく、発火処理は無事に終了した。

焼き上った豚バラ生姜巻きは軽く塩胡椒をしただけなので、つけダレとして北海道が誇る豚しゃぶのタレを使うことにした。これは、北海道限定で販売されている商品で、原型はジンギスカンのタレだ。ジンギスカンのタレ風のしゃぶしゃぶアレンジという感じで、脂の多い豚しゃぶにはよく合う。北海道ではラム肉のしゃぶしゃぶもよく食べられているが、このタレとの相性は豚肉よりラムシャブの方が良い。
東京周辺で好まれる牛しゃぶにはあまり相性が良くない気がする。だから、しゃぶしゃぶ食べ放題の店に行っても、そしてそこに十種類以上のタレがあっても、この「醤油味スパイス系」は見当たらない。北海道限定販売であっても、北海道に行くたびに、二、三本ほど現地調達してくるので家で使うには不自由はしない。
ただ、10年以上前のジンギスカンブーム以来、首都圏であればどこのスーパーでもジンギスカンのタレは買えるようになったが、このシャブタレはお目にかかることがない。次はラムしゃぶしゃぶが流行して、このしゃぶタレブームが訪れてくれないものだろうか。簡単に手に入るようになると良いなと思っている。
ちなみに首都圏各所にある北海道ショップでは、このしゃぶしゃぶタレを置いていないところが大半で、おまけに置いてある店でも季節商品だから、手に入れるのはなかなか難しい。
もし見かけることがあれば、一本調達するのをお勧めします。