
自宅近くの桜もすっかり散ってしまった。それでも週末にはちょっと足を伸ばした散歩がてら、あちこちに残っている桜を見てまわった。満開になるとすぐに葉桜になるのが残念と言えば残念に思う。ハラハラと落ちる花びらをみるのは風情があるが、花が落ちた後の葉桜はなんとも間が抜けていると見えてしまう。

そして桜見物といえば味噌ラーメンでしょう。というのには全く説得力がないのだが、桜の時期は気温が上がったり下がったりするので、ちょっと温かいものが食べたくなる。そんな時は、こってり濃厚系の味噌ラーメンが良いのではと思っている。
自宅から徒歩圏にはおよそ10軒ほどのラーメン屋があるラーメン激戦区なので、その日の気分に合わせて味違い、麺違いは選び放題だ。今回は、去年開店していたのだが、行かないままで宿題になっていた一軒を試してみることにした。個人営業の店なのだと思ったら、この地域には何軒かある味噌ラーメンローカルチェーンらしい。

味噌ラーメンといえば北海道という時代はすっかりどこかに行ってしまい、今や味噌ラーメンは全国区で競合がしのぎを削る。ご当地ラーメンから進化した、ラーメン業界の最強ジャンルだろう。特に、濃厚な豚骨系スープと合わせることでできるパンチ力は、味噌以外のラーメンでは到底敵わない。ただ、味噌という強力な調味料に支えられているのも確かなことで、強いスープが出来上がると、どこの店でも似たような味わいになることが弱点と言えば弱点だろう。複雑な組み立てのスープを仕立てても、味噌の力でねじ伏せられてしまうというべきだろうか。
そうなると、味噌ラーメン専門店ではスープの味違いを訴求することより、トッピングのバラエティーで競争する傾向が強い。トッピング全部乗りのもりもり系が増える原因でもあると考えている。ラーメン業界でも、一杯1000円越えの値付けをしたのは、この全部ノリもりもり系だった。
観光地でご土地ラーメンを食べるのであれば、一期一会みたいなものだから全部乗りもありかもしれないが、自宅近くの高頻度利用店ではトッピングもりもりにする必要はない。自分の好みで追加トッピングを選ぶとすれば、海苔とメンマくらいのものだ。ほぼラーメン屋全店でおすすめ品にされている「味玉」は頼むことがない。シンプルなのが一番だ的な立場をずっと維持している。

さて、この店の味噌ラーメン(プレーン)だが、スープは濃厚、麺は太めで最近の定石通り。コーンが味噌ラーメンに合うのかというと、いつも疑問には思うが、これも観光地で発生した「コーンバター」の流れを汲んだ味噌ラーメン定番トッピングになっている。ちょっと変わっていたのは、長ネギではなく玉ねぎだったこと。これも味噌ラーメンという強い味のラーメンでは「あり」だなと思う。そして、ひき肉が乗っているのは伝統的な味噌ラーメン的でもあり、新旧の味噌ラーメンレシピーが融合した感じだ。最近流行りであるらしい低温調理のチャーシューなどが乗っていない方が、味噌ラーメンにはストロング感があって良いと思う。
スープの中に沈んだ挽肉を食べるための穴あきレンゲが添えられているのが、さりげなく嬉しい。こういう細かい芸はポイントが高いのだ。
個人的な評価として、近場ラーメン店の中ではトップクラスに認定したい。次回は、辛味噌だな。