
新宿の百貨店地下の食料品売り場は、ちょっと変わった調味料を手に入れるため、時々立ち寄る。スーパーなどでは見かけることのないローカル調味料が揃っているのがありがたい。今ではすっかり珍しい「江戸の甘味噌」も売っている。徳川家康が江戸入府した時に、いろいろな職人を三河から連れてきた。その時に、岡崎の八丁味噌職人もいたようで、江戸では八丁味噌のような甘味噌が主流だったそうだ。
何年か前に読んだ料理本の受け売りなので、正確ではないかもしれない。ただ、今でも東京に一軒だけ江戸甘味噌を製造する味噌蔵が残っていて、そこの味噌が「味噌コーナー」の中で、信州味噌や仙台味噌に混ざって売られている。
この日も、その江戸甘味噌を買いに行った。ちなみに、その味噌の色目は八丁味噌よりも濃い、「黒」と形容したい濃さだ。野菜をたっぷり入れた味噌汁にすると、なかなか良い具合の色調になる。
その味噌買い出しの時に気がついたのが極太アスパラで、贈答品のような立派なパッケージに入っていた。お値段も、家庭使いにはなりそうもない。一本あたり400円程度になるので、これはアスパラが主役の料理にするしかない。添え物・副菜としてはありえない高価格品だ。ちなみに、この野菜売り場の隣が鮮魚店なのだが、そこでは冷凍の魚が一匹4-500円で売られていた。冷凍カツオたたきでもワンパック500円くらいだった。
名前通り「王様」級のアスパラだった。メロンや高級フルーツトマトが贈答品に使われるのは当たり前だが、アスパラがギフトになる時代なのかと、改めて感心した。昔、実家の庭にはアスパラが何本か植えてあり、朝方に庭に出てその日の朝食にするアスパラを何本か抜いてきた(切ってきた)ような記憶がある。アスパラとは庭に生えている?雑草の親玉くらいの感覚しかなかったから、それがギフトになるというのは違和感があるといえば「ある」のだ。
昭和は遠くになりにけりで、住宅地でアスパラを植えような習慣もすっかりなくなっているとは思うが、自宅の猫の額ほどの庭でまたアスパラを育ててみようかという気になった。
ちなみに、子供が小さい頃には教育的見地で、アスパラを2〜3年育てていた。関東でも自宅用であればアスパラ栽培は可能だし、太さや長さにこだわらなければとれたてのアスパラを美味しく食べられるのだよね。