
秩父の街中、あちらこちらで見かけていたポテくまくんをついに発見した。秩父駅の改札近くに鎮座していたのを全く気づいていなかっただけだった。観察力が足りない。というか、人の視覚というものは見たいものしか見ないという特性があるのだと改めて気がつかされた。
ポテくまくん、よくよく見ればなかなか可愛らしいではないか。もっと人気が出ても良さそうだが。でも、食べられちゃう運命だからなあ。

その秩父駅から徒歩5分ほどの道沿いに造り酒屋というか酒蔵というか、シックな酒屋がある。恐る恐る引き戸を開けると薄暗い店内に日本酒がずらっと並ぶ。蔵元で酒販売をしていると、市中では見当たらない様々な種類の日本酒が並んでいるのが嬉しい。棚を一つ一つ見て回るのはなかなか楽しい体験だ。

店頭にぶら下がっている杉玉を見ると、お酒の出来具合がわかるらしい。これもまた、酒蔵に行く時の楽しみだ。昔、信州の酒蔵を訪ねた時に、屋外冷蔵庫に保管してある吟醸酒を振る舞ってもらったことがある。品評会に出品した特製酒だそうで、販売するほどの量もないということで、5年10年と冷蔵庫に置きっぱなしにしているそうだ。それを、たまに振る舞うことがある。新酒と比較して楽しんでもらうためとのことだった。
あちこちの酒蔵に行った時に、その話を思い出しては、蔵の周りに屋外冷蔵庫はないかと探してしまう。変な習性が身についたもので、この時も店の裏側に回って確かめたくなった。こっそり裏側に行ってみたら、そこは客向けの駐車場だった。

店頭にある木彫りの看板は、酒蔵のプライドが込めれれていると思う。電照式の明るい看板は酒蔵には似合わない。などというのは、勝手な言い分だとはわかってはいるが、木造の古い商家でひっそりと酒を売っている雰囲気が好ましい。
この日も秩父観光に来たと思しき夫婦(多分)が土産として何種類か買い求めていた。店主らしき方が、日本酒の特性を含め丁寧に説明していた。次の客も会計を待ちながらその話を聞いていた。こちらも片手に一本瓶をぶら下げながら、待ち続けていたが、待たされるのが気にならない。良い話が聞けたとさえ思った。コンビニでレジ前に2-3人並ぶとなんだかとても待たされた気分になるのと、全然異なる空間で違う時間だったのが不思議だ。
秩父の山奥にあるウイスキーの工場も一度見に行きたいとは思っているのだが、確か工場では販売していなかったような気がする。それがちょっと残念だ。見学もコロナの煽りで中止しているところは多いので、それも確かめてみなければいけない。ぶらっといって工場を見せてくれた山梨県白州や北海道余市のようなところが、また復活してくれると良いのになと、秩父の街を歩きながら思っていました。