
自宅から歩いていけるチェーン店の本店というのは、なかなか珍しい物ではないかと思う。満州発祥の店はすでに他の店に変わっているが、そこから移転したのがこの本店のようだ。満洲チェーンの中では比較的大きな店になるのではないか。この本店の横に別館があり、パーティールーム、宴会部屋として使われている。そのパーティーメニューが満漢全席ならぬ満洲全席になっていて、一度試してみたい物だと思っているのだが、誰か満洲本店での宴会に付き合ってもらえない物だろうか。
宴会の帰りには満州餃子をはじめとするテイクアウト商品の詰め合わせセットなどご用意できるのだが。

恒例月替わりメニューを食べていなかったと気がついたのは2月もほとんど終わりになる頃で、これはいけないと、のこのこと出かけてしまった。ここ数年、冬の時期の恒例になっている「辛い麻婆豆腐」が2月の月替わりメニューだった。
満洲のメニューは町中華にはあるまじき絞り込みがなされていて、シンプルの極みだ。そもそも餃子の店が多少中華メニューを増やしたという体裁だと疑っているのだが、それにしても月替わりメニューの変化の薄さはなんとかならないものか。大ハンバーガーチェーンが必ず秋に実施する月見メニューのようにほぼ定番化された季節メニューも世の中には存在する。だが、中華料理店はもう少しあれこれ変化球にしてくれないかなと思う。
コロナ以前はそれなりに挑戦的なメニューも投入していたので、ここ最近はコロナによる経営打撃や原価高騰などからマイナーチェンジに留まっているのだろう。同じ埼玉発の中華チェーンである日高屋も最近はすっかりおとなしいメニューになっている。
満洲の場合は、餃子がうまければみんな満足ということもあるので、変化の乏しさも致し方ないかと諦めている。それでも月替わりメニューはちゃんとチェックしているのだから、まんまと作戦に嵌められているのは間違いない。
さて、2月の辛い麻婆豆腐だが、どうも昨年のものと変わり映えがしないような気がする。一口目はあまり辛くない。食べ進めるとだんだん辛さが増してきて、最後の方ではうっすらと額に汗をかく。そんな感じの味付けだ。文句はないし、普通の麻婆豆腐より辛いのでネーミングに嘘はない。ただ、年毎にもう少し変化しても良いのではと思うのは、無理なお願いだろうか。
この本店の客層を見ると半分は高齢者なので、高齢者は変化を嫌うという考えがあるのかもしれない。ただ、今の高齢者は70歳を過ぎてもジーンズで街を歩く。足元を見ればそれなりのブランドのスニーカーだったりする。(ナイキが多いのが不思議)ハンバーガーは20代の頃からバリバリ食いまくり、競争社会に適応した「団塊世代」で肉食集団だ。世間で思われるほどジジイ化していないとは思う。いや、いまだに油ぎったウルサい人たちが多いのだから、もっとギラギラした食べ物でも彼らには問題なかろうと感じるのは間違っているのか。

辛い麻婆豆腐があまりにシンプルだったので、追加で定番のホイコーロを頼んでみた。これも、味噌味はマイルドで、回鍋肉特有の油まみれ感はあまり感じない。やはり満洲は、オイルレスでヘルシーな方向にメニューをゆっくり変化させている途中なのだと改めて気がついた。しかし、オイルレスで味付けが薄めな町中華とは、なんとも不思議な存在だ。
健康志向だとかオーガニックだとか声高に叫ぶチェーンの宣伝くささ、嘘っぽさには辟易しているが、本当に健康志向な舵取りをしたい経営者は、あえて何も語らず定番メニューの変化で客を惹きつけるということだろう。次に行くときは、宿題にしていた「玄米で作った炒飯」を食べてみなければ……(満洲は米を使ったメニューで玄米か白米を選ぶことができる)