
高知の友人からご招待されて、新橋にある高級イタリアンレストランでお食事会に参加してきた。高知の地元産物を使ったフルコースで、ワインも飲み放題という久しぶりの「ディナー」だった。

テーブルの上にあるナプキンではない「マスク入れ」から今の日本が垣間見える。ただ、ここ数年間はこうした集まり自体が自粛というか禁止というか、令和の魔女狩りというべき「狂乱」の時代だったことを思えば、随分とマシになった。この3年間のさまざまな統計数値を見て、後世の歴史家はどう書き記すことになるのだろうか。最近、あまりニュースでも見かけなくなった例の医療関係者提言集団の「提言」を読めば、数値に基づいていない煽りがあきらかなのだが。医療関係者のボス達は理系集団ではなく、何やら怪しい呪文を唱える数字無視のカルトなグループだったらしい。「怖い怖い教」の教団幹部だったということか。

スペシャルディナーの最初に出てきた前菜は、一口サイズでぱくり。お米を使った「イタリアンなおかき」が食感・味共々斬新だった。併せて出てきた、柚子を使ったカクテルとの相性も良い。

カツオは、おやまあ、これがカツオですかという大変身をしていた。高知スタイルでのカツオのスタンダードな食べ方、つまりポン酢とニンニクとは大幅に違う。野菜としっかり併せて、口の中でのミックスを楽しむ料理になっていた。
無類のカツオ付きとしては、目から鱗が落ちた気分だったが、確かに「鉄分」の多い青魚であるカツオは、強めのソースと合わせると上手くなるし、野菜と合わせる方が食感も楽しめる。なるほどね、これこそプロの腕ということかと、ただただ感心していた。


パスタは白いソースと赤いソースで、かっちりとしたイタリアンスタイルの二種提供だ。この辺りがちょっと嬉しい。

メインアントレは、ジビエ(鹿肉)のローストだった。残念ながら高知さんの鹿は手に入らずということで、今回は滋賀県のもの。ジビエも普通に食べられるようになったのは、どうやらSDGsを売り物にした地域生産物として、全国各地で出回るようになったせいらしい。
確かに鹿は全国ほとんどの場所で捕獲すると懸賞金がもらえる害獣扱いだから、それを有効に利用するというのは良い考えだ。ただ、食材として使うには法整備が不十分なので地域であれこれと対処しなければならないことが多い。
想像以上に柔らかい鹿肉だったが、これはやはりシェフの腕前というものだろう。濃い味の肉に濃いめの甘いソースがよくあっていた。


デザートとコーヒーで締めくくった「ディナー」が終わってみるとおおよそ3時間が経っていた。久しぶりののんびりとした美味しい時間だった。同じテーブルについたゲストの方々もお話上手ばかりで、あっという間の3時間だった。
どうも地方政治家に偏見があり、脂ぎった自慢話ばかり聴かせる人たちだと思い込んでいたが、やはり物事には例外というものがある。お若い時代の海外放浪記や、地元の町につくった健康施設での活動ぶり、あるいは女性利用者からの評判などを面白おかしくお聞かせいただき、すっかり楽しませていただいた「町長」、お話ありがとうございました。
美味しいものを食べ、洒落た会話を楽しむ。面白い話を聞く。普通の楽しみが戻ってきて良かった良かった。