
以前に書いた一つの建物に2軒のラーメン屋が入居している場所の2軒目に行ってきた。前回のラーメン屋はこの右側にある。ただし、入り口は一緒だ。中にはいる入り口のドアが左右に2枚並んでいる。左のドアに入ればまぜそばの店だ。
この店は埼玉県のあちこちにあるローカルチェーン店で、お店のサイトを調べてみたら、なんと隣の店が本家で、このまぜそばの店が分家というか子会社のような位置にある。なぜ埼玉特化型なのかはよくわからないが、埼玉の風土にあった麺料理を出している………ということでもないらしい。
ただ、店の中に入ると埼玉ラブな感じが、あることはある。

この店の注文の仕方はちょっと変わっている。まず食券販売機で注文するものを決める。従業員に食券を渡すときにトッピングや味付けの指定をする。このあたりが「二郎系」呪文を唱えるのと同じだろう。当然、増量も可能で、例の「ニンニクマシマシ」みたいな呪文になる。
今回は初回なので、全部入れにしようかと思ったが、①③④⑥にしてみた。増量はなしだ。エビマヨは食べたことがないので最初に決めた。ベビースターは食感パリパリに重要だし、追加調味料としてニンニクと辛味は外せない。次回は、ヤサイマシマシにしてみようと思ったが、初回は普通盛りにしておいた。

待つこと10分程度、太麺は茹でるのに時間がかかるので多少待ち時間が長めになる。後から入ってきた客は、連続して長めの呪文を唱えていた。それがどうにも気になって、隣の客の注文が出てきたときに横を見て確認してしまった。それはものすごいものだった。なぜか丼の上にどんぶりが逆さまになって盛り上げっているような印象がある。山盛りではなく富士山盛りという言葉が思い浮かんだ。
それを食べるのかと、ついつい隣の客を尊敬してしまう。やはりこの店のスタンダードな注文は、麺もトッピングも全てをマシマシにした、超巨大ガツン系まぜそばにあるらしい。どうりで自分の注文の時に「普通で良いのですね」と何度もダメ押しされたはずだ。

出てきた麺普通盛り、トッピング四種だけ増しなしのライト級まぜそばを、ぐしゃぐしゃと混ぜる。広島の汁なし担々麺は5回混ぜると言われたが、これもしっかり混ぜるためには、それなりの回数、時間が必要だった。混ぜているうちにニンニクの匂いがぐわっと立ち昇ってくる。混ぜるたびに見た目は悪くなっていくのだが、その分だけ味は良くなるはずだ。
そして、混ぜ作業を完了し実食すると、まずはニンニクが強烈にくる。その後、濃いタレと混じった歯応えのある太麺が、麺料理とは思えないハードさを味あわせてくれる。顎の筋肉強化には絶好だろう。噛み締める。飲み込む。次の一口を口の中に入れて、噛み切る。噛み締める。飲み込む。これを延々と繰り返す。その途中では一度も「麺をすする」という行為はない。ツルツルではなくモグモグだ。いや、モグモグというよりガシガシかもしれない。
ものをしっかり噛むと空腹感が収まるらしいが、この一杯を食べ終わった時には、満腹感しかない。ニンニクのせいか、顔にはうっすらと汗が浮かんでいた。達成感がある食事になった。


カウンター上にある間仕切りは埼玉ネタ、埼玉アルアルが描かれていた。カウンターに並んでいる間仕切りの全部を確かめてみたくなった。都道府県別人気ランキングで、いつも最下位近辺をうろちょろしている埼玉だが、自虐ネタが大好きなのは某ヒット映画で明らかになった。
千葉県オンリーとか神奈川県オンリーというローカルラーメンチェーンはいくつか知っているが、ここまで地元愛(自虐愛)に溢れたところは知らない。良くも悪くも埼玉らしいというべきか。
次回は、マシマシのまぜそばにするか、それともまぜそばを超えるヘビー級と言われるオリジナルな「ラーメン」にするか、ちょっと悩ましい。