
すしテロとか、ぺろぺろ事件とか言われている、SNSで発信された危ない映像の対応を確認してみようかと、被害にあった大手回転寿司に行ってみた。ニュースでは事件の後、売り上げが低下したと報道されていたが、店内はほぼ満員だった。気にする人は来ないし、気にしない人には関係ないということだろう。どうやら高齢者を中心に回転寿司忌避は起きているようだが、確かに周りの席に座っているのは高校生から30代くらいまでだった。昔よく見かけた高齢者カップルは1組だけだった。
郊外型の店であれば、もう少し年齢層の偏りがあり影響も大きそうだが。
具体的な店舗での対応を見ると、非常に簡単だった。寿司は回っていない。注文したものだけが上段の高速レーンで運ばれてくる。つまり完全なバイ・オーダー、注文が入ってから作る方式になっていた。ぐるぐる回る寿司の前提は、商品(皿)にイタズラされないという客と店の性善説関係によっているので、その信頼がなくなった以上、回る寿司はありえない選択ということだ。
他のファストフードでも類似事件が起きている、卓上の無料調味料やガリ、紅生姜、漬物などをどう対応するかが重要改善ポイントの一つだが、この店では「客の選択」に委ねることにしたようだ。
封印された小袋で、わさびなどが置かれている。昔は容器に入ってベルトの上を回っていたがテーブルごとの設置に変わったようだ。そして、ガリも小袋化されていた。
お茶も上部の小さい穴から粉茶を取り出す方式になった。容器に入ってる粉茶を小さじで取り出す方式はやめたようだ。

ただし、ガリ容器も残っていて、これは大量にガリを食べる客向けの対応だろう。たまに見かける、皿にガリを山盛りにしている客は(特に外国人観光客らしき人たちは)、小袋を大量に開けるのが面倒くさいと思うだろうということなのか。少なくともコスト面からの考えではないと推測する。

もう一つ気がついたのだが、全ての容器が綺麗に並べられている。割れたガラス理論ではないが、テーブルの上に乱雑に置かれていると、適当なことをしてもあまり気にならないという客側の心理を考えているのだろうか。このブランドは素早く対応している。良いお手本だ。
もはや性善説の維持は難しい。となると、客との心理戦にどう有利な位置を取るか、そこが具体的な対応策になるはずだ。ファミレスのドリンクバーの運営や、調味料のセルフサービス、食べ放題の料理陳列システムなど外食企業で類似の改良が必要な設備は多い。業界内で色々な試行錯誤が続く上で、最上な解答が生み出されると思う。
ただ、やはり今回の一連の事件は、運営側の怠慢でしかないと厳しく反省するべきだと思う。こんなことをする客はいないだろう」という思い込みで、「改善すべき仕組み」に金をかけてこなかったツケなのだ。被害者である回転寿司ブランドに同情的な意見もあるようだが、自分は全くそれには与しない。
失敗の原因は自分たちにある。それにどう早く対応できるかが企業力だ。自分たちの怠慢、無知を他人のせいにするようでは、飲食業、サービス業が存続する意味がない。迷惑行為をした者を法的に制裁するというのは、その次の作業だろう。
客の中の一定数は悪意を持っているという前提で、システムやオペレーションを組み立てる努力をせず、自分たちの怠慢を法的制裁で牽制するとしか見えないのだ。

自分がそういう悪意ある客ではないことを証明するため、写真を撮りにきただけではなく、寿司もちゃんと食べるのだということで、好みの寿司6皿をしっかりいただいて帰りました。茶碗蒸しとメンチも追加で頼んだことを付け加えておきます。