
この本には大変お世話になった。特に、題名にある美味しい煮卵の作り方は、まさに天啓だった。何度もレシピー通りに煮卵を作り堪能した。冷蔵庫の中で1週間くらい熟成して食べてみたりもした。レシピー本に乗っているメニューを作ろうとすると、調味料を追加で買ってこなければいけないであるとか、ちょっとだけしか使わない食材が必要になったりすることが多い。結果的に、眺めて楽しむだけ、いつかきっと作ってみたいと思うだけの「幻メニュー」になる。
ところが、この本の中にあるものは、そうした初期抵抗値が少ない、あるいは全くないので、幻化する前に実現化する。冷蔵庫の中身で似たようなものがあれば、それで作ってしまっても良いというお気楽さがある。
一年に何度か本棚から取り出して、あれこれ見繕って作ってみようと思うレシピーが多い。料理本は古くなると使いにくくなるものだ。時代の好みみたいなものがあり、味付けも変わっていくから、古い教本的な料理本は買い替えたほうが良いと思っている。具体的に言えば昭和中期から平成中期までのの料理本は実用的ではなく、もはや史料的価値しかない。(個人的見解です)
ただ、この本は捨てる気にならない実用本で、おまけに休日前の夜寝る前にあれこれ眺めるにはちょうど良い。
今ではスーパーの食品売り場に行って、並んでいる安売り特価品を選択し、それを使ったレシピーを検索するのが当たり前な時代らしいので、レシピー本など廃れていくばかりだとは思う。ただ、この本のように「時短」というテーマで一括りにして、作り方や材料の選び方が並べてあれば、応用可能な実用本としての価値は高い。
一度麺つゆを使った煮卵を作れば、冷蔵庫内の調味料を使いカレー味とかマヨ・タルタル味とかケチャップ・トマト味とか変形は自由自在だ。色々な時短メニューの閲覧性を考えると、レシピーアプリをあれこれ検索するよりも便利さでは上だろう。
実用本として生き残るには、この本のような「本ではない使い方をされる本」みたいな発想が必要なのだと思うのであります。
註)ちなみにこの本の元ネタであるブログを見てきましたが、2020年が最終更新でしたので、現在はお休み中なのかお引越ししたのかもしれません。