街を歩く

街の光景 昔と今とが混じり合う

古い民家や商店を改装して甦らせることが当たり前になってきた。エコだ、SDGsだと騒ぐ前から「再生」という言葉は、若い世代を中心に「普通の考え方」になっている。その普通の考え方になれていないのは、逆に団塊世代やその上の世代ではないだろうか。長年そんな疑問がある。古い建物を壊して新築するのは善なり、という概念が根強くあるのは、敗戦後に焼け野原から復興した記憶のためだろうか。
築100年の建物といえば、1920年代に建築されたものにあたる。つまり、大正時代に建てられたことになる。大正年間でも関東大震災の直後に建て直された建築物であれば、そろそろ100年建築ということだ。関東圏では東京を中心に関東大震災で街が一度なくなってしまったところが多い。その後、東京は大空襲でもう一度街がなくなっているから、古民家改装の元になる「古い民家」自体が少ない。
大戦中に起きた大地震と空襲で、名古屋も似たようなことになっているはずだが、名古屋は古民家改造のレストランがたくさんある。京都は空襲も大地震とも無縁だったから、まだまだ町屋が残っていて町屋改造旅館とか食堂、蔵を改造した雑貨店など街がオシャレな変化をしている。東京の壊して建て直す文化とは随分違う。
都市の景観の問題も、一度焼け野原になった街では古いものを守ろうにも、守るべきものがなくなったという状況が関わっているはずだ。だから、東京の街には景観マネージメントがない。そんなノーマネージメントな首都圏で、秩父はどうやら街に残された古い建物を活用する術があったようだ。確かに秩父の街で散見できる木造の一軒家は「映え」がする。

そうした改造古民家、古商店に合わせて作ったであろう壁面看板も、今ではすっかり色褪せて良い風格を示している。時間が作り上げる落ち着きみたいんものだろうか。これも新しく作り替えると、やはりちょっと違和感が出てくるのだろう。あちこち、消えた文字を修正すると、それはそれで「足跡」が残って風合いが増すのだろうし。

一見すると資料館・歴史館のような感じだが、中は営業している現役の店舗だ。タウンマネージメントなるカタカナを使うまでもなく、街の中での活動拠点を残していることが、結局は街の活性化につながる。建物ありきとは言わないが、なんでも新しくすれば良いということではない。
古い民家を壊して、駐車場と貸しビルにするのは時代の感性にそぐわなくなった。古い街並みを残すことは高齢者のノスタルジーではない。若い世代の倫理観や価値観が「壊して作る」から「再生する」に移っていることを、地方都市で権力を握るジジババが理解できているだろうか。中央政界の魑魅魍魎は、それを理解しようともしないが。新幹線の駅を誘致する前に、手をつけるべきことだと思うのだが。駅ができても魅力のない街には誰も来るはずないだろうに。国会議員には、「それは俺たちの仕事ではない」と言い出しそうな連中ばかりが揃っているようだ。
しかし、街の再生事業は、そこにかかっているような気がしてならない。

ちょっと前まで、このような反戦平和ポスター的なものを見ると、おやおやまたレフトウィングの方たちが叫んでいるのだな、などと思ってしまった。ただ、今は少し違ってきているような気がする。普通の町内会、商店会の方たちが、素直におかしいものはおかしい、と言っているのだと理解できる。
地方都市の商店街に掲げられていることの意味は大きい。ウクライナ問題にかこつけて増税しようとする頭の悪い職業政治屋たち(心の歪んだ人たちだろうなあ)とは、根本的に違う想いだろう。青と黄色がウクライナの国旗の色だということくらいは、この1年間で覚えた。この国旗の色は、青空を背景にするとよく目立つ。地には平和をだな、と本当に思う。そぞろ歩きをする商店街でも、こんなふうに今の世界を見直すきっかけはある。観光スポットとは言い難いが……………

西武秩父駅から帰ろうとして見つけたのが、昔の特急のヘッドモデルだった。なんだか微妙なしろものだ。ある種の鉄オタであれば喜ぶだろうが、一般人にはわからないかもしれない。特急の顔紹介と一緒に、ブラタモリ風に秩父の鉄道開設事情を説明するとかできないものか。
そもそも西武鉄道は、秩父から山を突き抜けて軽井沢まで通じる一大リゾート鉄道開発を目論んでいたという伝説もぜひ公開してほしいものだなあ。でも、もしそれが完成してイラば、軽井沢まで直通電車で行けたのに。残念だな。

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