旅をする

秩父 独善的観光スポット

映画館といえばビルの中かショッピングモールの中というのが現代の常識だろう。シネコンプレックスという小型で多スクリーンの施設が主流だ。だが、昭和の末期までは日本の隅々に独立型映画館、いわゆるシアターが健在だった。
そして、昭和中期の日本映画全盛期に建てられたシアターはその街の目抜通り、メインストリートに敢然と存在する娯楽の殿堂だった。(過去系になるのが悲しい)デートといえば映画を見に行くのが絶対定番、鉄板的展開だった。(これも過去形かあ)
今では映画館も建て換えられ、貸しビルになったり、駐車場になってしまったりで、原型を留めていない映画館跡地がほとんどだが、まだありし日の姿を残しているところもある。
秩父松竹がその数少ない生き残りなのだが、それでも建物の中はすっかり改造されている。イタリアンレストランになっているようだ。映画館は天井が高いので、レストランになると広々とした開放感がある空間だろう。ちょっと高級感が出る。

暖かい季節には屋外にテーブルもセットされていたから、秩父の若き?カップルにはそれなりの人気があるのではと思うのだが、やはり夕暮れ時に来店して見なければレストランの実力は判断できないなと思う。いまさらカップルで行くこともない気がするので、誰か友人を引き連れ陽気なイタリアン料理パーティーでもやってみようかと思ったのだが……………
残念ながら友人というと年配オヤジばかりなので、イタリアン・レストランは絵にならないか。オヤジが集合するには秩父名物であるホルモンの店の方が似合いそう。ともかく怪しい面々ばかりだしな……………

秩父鉄道秩父駅で偶然見つけた、撮影スポット「キューピッドベンチ」。これまで何度もこの前を通りかかっていたのだが、一度も気が付かなかった。古びた椅子があるなくらいにしか思わなかったのだ。窓の上にかかっている説明書きが目に入らなかったということもある。
しかし、この撮影スポットはどう判断すれば良いものか。このベンチに二人で座って写真を撮るとして、自撮りは無理だろうから誰かに頼まなければならない。しかし、それは相当若いカップルであってもかなり恥ずいというやつだ。ひょっとすると年配カップルであれば羞恥心が擦り減っていて、町を歩く見知らぬ人に頼めるかもしれないが……………
やはり、ここは謎スポットだ。

その謎撮影スポットがある秩父駅前のロータリーを超えたところ、秩父神社の裏手にあたる一角に何軒かの飲食店や飲み屋が固まっている。そこで発見した看板が、なんとも感動を呼ぶ。昭和の末期までは、こういう看板が繁華街、飲屋街には散乱していた。見てすぐわかるお店のスタイル。なんとも陽気な店構えだ。学生時代にアルバイトしていた喫茶店で、よくコーヒーの出前の注文があった。隣のビルにある賑やかなキャバレーのお姉さんたちからの注文だ。その店の看板も、確かこんな感じの明るく賑やかなものだった。
平成の時代に入り世の中が不景気になるにつれ、こういうお店の看板も文字だけのものに変わっていった。そのうちに絵入の看板だけではなく店ごとなくなってしまった。この看板を見ていると、なんだかタイムスリップしたような錯覚すらしてくる。しかし、秩父駅前通りは何度も歩いているのに、こんな看板を見た記憶がないのはなぜだろう。軽度の記憶障害か??

同じビルの2階は、やはり接待を伴う飲食店が営業中らしい。この「接待を伴う」という言い回しもコロナの落とし物だが、なかなか婉曲な表現だと気に入っている。さすがに霞ヶ関には言い訳と言い換えに関して天才的な人材がそろっているようだ。
秩父神社の裏側にある商店会は建物に面白い案内看板を設置している。この接待を伴う飲食店は、「しょくどう」とういうことになるらしい。ちなみに隣には「とうふ」「文具・額」と書かれた看板が並んでいる。その隣の銀行には「ぎんこう」という看板はかかっていなかったので、金融機関は商店会に入っていないのかもしれない。秩父神社周りの商店会看板を眺めて回るのも、街歩きとしてはなかなか楽しい。

秩父神社の参道には、まさにThe レトロと言いたい建物が並んでいるが、その中で一際目立つのがこの「タバコ屋」だ。壁面にもどうどうと「煙草店」と書かれている。当時は、煙草専門で営業できるほど儲かる商売だったのだろうか。今のように喫煙が制限される時代には考えられないことだ。そういえば「煙草屋の看板娘」という美人女性の形容詞があった。その看板娘の顔を見たいから、毎日のようにタバコを買いにくるという意味だ。今ではタスポ片手に自販機で購入するか、コンビニで銘柄番号を言ってタバコを買う時代だから、看板娘自体が死後だろうなあ。そのうちに自販機には2Dアイドルが組み込まれて喋るAIが「看板娘」になるのかもしれない。いや、それはジェンダー問題がクリアできそうもないから、娘ではなく猫とか犬とかのキャラになるか?

この建物も、すでに文化財認定されていた。確かに、こうして公的な保存を図らなければ、古い建物はあっという間に壊されて駐車場になってしまう。この元タバコ屋のまわりには現役の食堂、精肉店など古式ゆかしい建物が並んでいるので街歩きには最適だ。

たまたまこの時期は、夜に遊びにおいでというイベントがやっていた。秩父といえば夜祭が有名だが、それも12月初頭の行事だ。寒さが本格化する1月に、それも寒空の下を歩かせようという企画はなかなかユニークなものだと思う。今年はタイミングを逃したが、来年はぜひ秩父夜遊びに参加して見たい。あちこちの店で一杯ずつ引っ掛けながら歩き回るのは、寒さの中でも楽しめそうだ。
そういえば似たようなイベントが高知であったな。「おきゃく」という、街をあげて路上宴会を繰り広げるというものだが、今年は高知にいってみようか。

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