食べ物レポート

日本酒居酒屋 アゲイン

日本酒好きの友人が久しぶりに東京に来た。一杯やろうということで、最近知った西新宿の日本酒専門?居酒屋に行くことにした。前回行った時は酒の種類の多さに喜んでいたが、料理も気に入ったので、今回は料理をあれこれ頼んでみようと考えていた。
前回は居酒屋定番の刺身盛り合わせが見当たらないなと思っていたのだが、メニューの裏側に載っていた。なぜ裏なんだろう、刺身が売り物ではないということか?などと疑問を感じつつ、注文してみたのは三人前の盛り合わせだった。無理を言って、その一つを好物のしめ鯖にしてもらった。自家製とのことだが、程よい酸味で身も柔らかい。どこかの工場で作った酢のきついものとは違うな、とありがたく頂戴した。うましだ。

鶏肉を塩麹に漬けたものは、やはり絶品だと思う。シンプルな焼き鳥が、一段グレードアップした感じになる。これは真似をして自分でも作れそうだなと思い模したが、やってみると大抵は失敗する。塩味のバランスが難しいことは予測できる。漬け込み時間で味が激変しそうだし………
プロの料理というのはそういうものだろう。自分で作ると、味の評価がプラスにバイアスがかかるので(つまり自作品には甘い評価をしてしまう)、ついついうまいと感じてしまうが、実際には大したことない平凡な料理にしか仕上がらないものだ。料理の評価は、自分以外の誰かに味を確かめて貰うべきだ。料理の世界で自己満足は自己中でしかない。
それでも、これはやはり挑戦してみたいぞ、と思ってしまった。キモになるのは塩味の染み込み具合だろうとはわかるのだが。その加減が難しいと思う。何度か試行錯誤する必要はある。
あとは、この絶妙な焼き加減が実現できるかだ。自分で焼けば、きっと黒焦げにしてしまう気がする。火加減は難しいのだ

塩でいただくあさりのかき揚げが絶品だった。これは、うまい。熱々もうまいが冷めてもうまい。なんというか、酒飲みの気持ちをよくわかった料理だなと思う。量と味付けの計算がすごい。かき揚げだから、味を濃くしないと衣が抱き込んだ油に負ける。ただ味が濃すぎると、やたら喉が渇く、油っぽく感じるなどあれやこれやの問題点が出る。その辺りを計算した一人前の量だろう。ただ、一人でこれを食べ切ると、かなり腹に応える。甘口の日本酒とは相性が良いと思った。

最後に注文したのは、特別の期待もなくなんとなく惰性で頼んだピザだ。締めにするのであれば蕎麦も注文できるのだが、なんとなくピザを頼んだ。味噌と山菜のピザという、ちょっと変わったものだったから、興味本位で注文したのだが。
実は、これが「今日一番なお料理」だった。味噌味がチーズによく合う、というかチーズと味噌が混じりあって何か別のものに感じてしまう。その味噌チーズと具材とのバランスが絶妙に良い。
冷めたピザはまずいというのは、チーズが溶けて固まると味が一気に落ちてしまうためだが、この味噌とチーズ混合体は冷めてもうまい。チーズの油が味噌に溶け込むせいだろうか。これを計算して作ったものだとすれば、全国のピザ屋はもう少しお勉強しなければいけない。
たまたま出来上がったのだとしたら、料理の達人の技というしかない。最後の一切れを食べながら、10年前にこの味を(味の方程式を)気がついていればなあ、と泣きたくなった。なぜか居酒屋で、人生は後悔の連続なのだという悲しい真実を思い知らされた。Good Jobな居酒屋の夜でありました。まだ試していない名作品を食べに、また行かねば。

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