
アフターコロナは値上げの時代、そしてその反動は半年から一年で出る、と言っていたのだが。近くのスーパーで、さっそく円高還元セールが始まっていた。半年どころか、年が明けて一月もしないうちにだ。
確かに、日銀の口先介入(?)で円は一気に高騰した。というか、円ドルのレートが150円台まで行ってしまえば、輸出産業の儲けよりも原油輸入の損の方が大きくなるという、単純な経済原理だろう。為替だ、金利だ、国債だと、経済学者は精緻に入り乱れた要素をあげつらい解説しようとするが、やはり「オッカムの剃刀」を一振りすれば、ことは落ち着くところに落ち着くということではないか。
これからはゆっくりと円高が続いて、安倍政権末期の安定レートに至るのではないかと思う。どこの国でも長期政権が続く時は、為替変動が少なくなると記憶している。国内の政権基盤が強い(たとえそれが独裁政治であれ)と、国外も含めて通貨は安定するのは、歴史を振り返ればよく起こっている現象だ。ただ、弱小国家の長期独裁政権では、経済無視の政治が続くのでハイパーインフレが起きたりするが、その場合は革命なり政権交代で事態が収まる。
現・自民党政権は、そういった歴史的観点から見て、安倍長期政権の後釜としては力不足なので、為替の乱高下が発生したと見るべきだろう。政治の無策や無能な政治屋は、国民の災厄というしかない。その被害は、まずは物価という身近な経済現象として現れる。歴史をふりかえれば、今の日本は、大正デモクラシーで浮かれた後の昭和恐慌みたいな感じだろうか。昭和初期には、政治家テロも起きたし、軍備増強と増税が始まるのは、まさに昭和はじめの狂気な政治的状況に似通う。結局、敗戦に至る長い愚かな政治が続き、国民はそれに熱狂し失望した。敗戦という外部からの革命を受けても、愚かしい政治屋が一斉に廃棄されたためか、昭和中期は経済繁栄の時代になった。その結果、昭和の中期にはキングメーカーとして精力を誇る元首相が生まれヤミ将軍などと呼ばれていた。この時期狂乱物価などと言われる時期もあったが、賃金は上がり市民は豊かな経済のおこぼれに預かっていた。概ね、小市民が幸せを感じる時代だった。そして、平成の経済沈没があり、小市民は豊かさとは関係ない暮らしになった。貧乏になった平成日本が令和の時代になり、キングメーカーを狙っていた最長政権保持者が突然いなくなった。これからは、おそらく短期間で小物政治屋がくるくる変わる時代になるのだろう。平成前半の、日本が救われない時代が再来するに違いない。
たかがバナナではあるが、されどバナナというか、典型的な輸入商品であるバナナの値段で世界が見えてくるというのも言い過ぎか。
ただ、このバナナ、以前の値段と比べても安くなっていない気がするのだが。バナナ好きなので、他の果物や野菜の値段は覚えていないが、バナナの値段だけは記憶にある……………