食べ物レポート

つまみのピザとはこうでなきゃ

お気に入りのピザ 新宿にある洋食店 はやしや

ピザはすでに国民食に近い一般化された食べ物だと思う。家庭向けには冷蔵・冷凍両方が販売されている。ピザが変形した食べ物でピザトーストなるMade in Japanな食べ物も存在する。ここ数年は宅配ピザの需要が爆発していて、それと合わせて宅配専門店ではテイクアウト品を低価格で売り出すことが当たり前になり、ピザ1000円時代になった。1000円のピザ(Mサイズ)は、ほぼ2ー3人前なので、ハンバーガー3個を買ったとすれば、一人前換算をするとほぼ同価格の商品になる。
宅配ピザを注文してレンタルビデオを見るというのは昭和後期、平成初期のそれなりにトレンドに載ったライフスタイルだったが、いまでは宅配ピザも手抜き消費の代表として、カップ麺の代用品くらいの位置付けではないか。
売り手にはそれなりの思い入れがあるだろうが、昔のピザが持っていた「ご馳走感」はすでに遠い過去の話だろう。ただ、一部のレストラン(イタリアンではない一般洋食系)や洋風居酒屋では独自の進化を遂げたピザがある。


その特徴は、たっぷりチーズにある。今や宅配ピザではお目にかかることがないほどのチーズの量で、まさにチーズに溺れているトッピングたちという感じがするチーズの多さだ。ただ、このチーズはあまり匂いが強くない。ブルーチーズのピザのような強烈な臭気(香りとは言い難い)が好きなチーズ好きには物足りないかもしれない。ただ、食べた時のボリューム感であったり、咀嚼した時のかみごたえは、「酒の肴」向きに定向進化したおつまみメニューとして高い完成度がある。進化の方向が明確だった結果という気がする。料理は、薄ぼんやりと美味いものを作ろうとしてもうまくいかない。「こういう食べ物にしたい」という明確なビジョンが必要という証明だろう。
具材はミックスピザであってもシンプルなものが多い。基本はソーセージ、ベーコン、サラミなど塩味の強い乾燥肉製品で、たまに変わり者としてシーフード(イカ・エビ・タコなど)が使われるくらいだ。ファミレスで人気の「変わりピザ」、マヨコーンなどは居酒屋系、酒のつまみ系ピザではあまり見ない。
この酒の肴ピザの良い点は、冷めてしまってチーズが固まって、酒のつまみとしては機能することだ。脂分が多い、タンパク質が多い、味が濃いなど料理としてのバランスはどうかと思うが、冷めてもうまい。
鶏の唐揚げやフライドポテトと同じで手づかみでも食べられる。重量型のスナックという位置付けにあたる。どの店でもピザ専門店のこだわりみたいなものはないのだが、それが逆に酒のつまみとして完成度が上がる原因にもなっている。
当然ながら、「生地が手作り」だの「ソースが自家製」などとうるさいことは言わないのがお約束だ。ピザと似たような商品のはずだが、ハンバーガーやフライドチキンになると途端にうるさいことを言い出す(店と客のどちらも)連中が多い。あれはなんとかならないものか。ジャンクな食べ物にはジャンクな旨さがあるのだ。もったいをつけて語りたいのであれば、せめて正統フレンチくらいにしてほしい。
が、不思議とピザに関してはうるさく言う人間が少ない。ひょっとするとピザに関しては知見や知識が足りないだけなのかもしれない。ピザはイタリア発祥の食べ物だが、そもそもイタリアンはグッとカジュアルな料理で、ピザはその中でも軽量級になるから、語るのは自分の感想だけで良いと思う。

イタリアンレストランに行ってピッツアにタバスコを使おうとすると、あれこれ問題が出ることもあるが、飲み屋のピザは一面が赤く染まるほどタバスコをかけて食べれば良い。飲み屋のピザはお気楽に、あくまでお気楽に楽しむワン・ハンド商品だ。お値段も安めだし、ぜひ酒のお供としてご検討ください。ちなみに、焼いたチーズは想像以上に日本酒によく合うので、酒の種類は選ばないはずであります。

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