
新宿駅西口を新大久保方向に北上すると、西新宿の飲み屋街がある。小田急ハルクの裏側の一角と言えば良いだろうか。そこには昭和から営業している渋い居酒屋が数軒あるが、よく通っていた店が焼き鳥の名店ぼるがだ。店内は薄暗い。複数で行くと2階の広間に案内されるが、一人のみだと一階のカウンター前になることもある。焼き鳥に日本酒を冷でというのがに合う店だ。ここしばらく営業しているか気になっていたが、元気で開けているようだった。ちょっと時間が早く、焼き鳥を焼いている姿は見られなかったが。夏の夕暮れ時に、この店の前を歩くと、焼き鳥の煙でもうもうと煙っている。個人的には、なんとなく西口の象徴的な店という気がする。夏が近づいたら、また来ることにしよう。

そこから徒歩1分にある居酒屋がこの日の集合場所だった。にほ飲酒の品揃えが良いと聞いていたが、店に入る前から「推し」銘柄がたっぷりと押し寄せてくる。階段脇のポスターを見ていたら今日はやはり濁り酒にするべきだろうと思った。濁り酒は冬のご馳走だと思うが、甘口なので飲み過ぎ中だ。一杯でやめる勇気が重要。

店内に入るとこれまた大量の銘柄札が並んでいる。飲んだ記憶があるものが半数くらいで、東日本の酒が多い。伯楽星を置いてある店は珍しいなと思うが、それ以上に豊盃は幻級で、都内どころか蔵元である青森でもなかなかお目にかかれない。日本酒ラブに溢れた店だ。今後は我が新宿の本拠地にしようと真剣に思う。食べ物メニューを見ても、基本的に日本酒に合う料理が並んでいる。どうやらとても良い店を紹介してもらったようだ。
しかし、歴史がある店だということだが、なぜ今まで存在を知らなかったのだろう。ちょっと人生を損した気分になる。店内は酒好きで溢れていた。賑やかなオヤジの居酒屋と思っていたら、女性客も結構多い。

日本酒に揚げ物は合うかなあとちょっと気になったとフライ料理だったが、これはなかなかに逸品で、酒も魚もうまいと感心した。西新宿の居酒屋はコロナ前のように賑わっていたが、これが本格的な復活なのか、もう少し時間がかかるのかもしれない。
入り口に貼ってある東京都のレインボー認定マークが、今更ながら当てつけがましいというか、行政とは無能者の集団だから気をつけろとい戒めであるように見える。意味のないことに意味を持たせるという意味なのだな、などと笑わせてくれた。このマークが東京都の暴政と歴史の教科書に書かれるのはいつの頃だろう。キリシタンを人別する道具だった踏み絵(最近は別の意味合いがあったとされているらしいが)と同レベルで記録されるのではないかと思っているのだが。
レインボーマークがあるから安心して飲める店、などと思っている呑んべいオヤジ(一部はおばさんも含む)は世の中にどれくらいいるのだろうか。
昔懐かしい店内の居酒屋風景にホッとしながら、そんなことを考えていました。しかし、良い店です。来週、また行こうとも思っております。