今年の冬は北国に長居してしまった。色々と用事はあったのだが、それを全部片づけ埼玉にある自宅に戻る日が来た。滞在中は大雪にも当たらず、まずまず幸運だった。今回は、ラーメンよりも蕎麦を食べた回数が多かったような気がする。それだけに、最後はラーメンにしようと千歳空港のラーメン道場に向かった。

半年前までは、いつも客席がガラガラだったらラーメン道場だが、ついに客が戻ってきたようで、ほぞ全店満席。一部の人気店は行列ができている。ただ、その行列に対して対応がぞんざいな店もあり、何だかなあと思ってしまった。
コロナによる観光客の減少で、接客レベルが圧倒的に落ちたなという感がある。千歳空港はアルバイトが長続きしないのだそうだ。慢性的な人手不足で、高い時給での求人が続いているから、簡単にやめて次の店に移ってしまうらしい。
おそらく、コロナのダメージで人員補充をサボってしまったのだろうなあ、と同情する余地はあるが、客の全てが一過性の観光客ではないことには気がついているだろうか。ビジネスで旅をしている客も多いので、スーツ姿の客は来月また来るかもしれないという想定はできているか。
トッピングを山盛りにして客単価を上げるより、一過性の観光客ではなくリピートする層を囲い込むという発送は持てないのだろうか。
混雑する店を見ながら、そんなことを考えていた。行列に並ぶほど、こだわる店があるわけでもないので、久しぶりに味噌ラーメンの店を選んだ。

普通の味噌ラーメンを頼んだ。普通においしいので満足なのだが、観光客向けの何でも乗ってますラーメンは注文しないようにしている。チャーシューとメンマという基本構成だけで、海苔が乗っているのがちょっと贅沢な感じがする。
隣に座っていた観光客風の若い男性は、全部乗せを頼んでいた。そのビジュアルは、ラーメンというより、何か別の丼のようにも見える。なるほど、一生に一回の「北海道ラーメン」であれば、この全部食べてみよう、乗せてみようというのはありななのか、と今更ながら気がついた。
単価を上げたいという店の思惑と、もう二度と北海道には来ないのでせっかくだから名物全部色々食べてみたいという客の思惑が、マッチしているのだなとは思う。(美味しい料理という観点では全くすれ違ったままだろうが)
そうであれば、やはり、客の思惑に合わせて、カニ、いくら、鮭、バター、コーン、アスパラ、じゃがいもくらいは乗せてやらないといけないぞ。麺料理としての完成度は二の次になるが、オール北海道食材お試しセットにするべきだろう。などと、皮肉なことを考えてしまった。
そんな面倒臭い客は、店からするとやはり対象外ということだろうと自己分析して、ちょっと反省しました。次回はトッピングもりもりは頼まないけれど、せめてチャーシューメンにします。