街を歩く

高田馬場 ぶらり歩きの風景

高田馬場は谷間の底にある町なので夏は暑くてとても歩きづらいが、冬は歩き回っても快適だ。

久しぶりに高田馬場を歩いて見つけたゲーセンの看板が、全然「らしく」ないので笑ってしまった。まるで、なつかしの居酒屋的な看板だ。コロナによる営業規制のため、生き残るだけでも精一杯だったのではないかと心配していた。ゲーセンなどこの何年も入ったことがないが、昔はよく飲んだ後に遊びに行った。レトロというよりも昭和の化石文化ではないか。最近のゲーセンはクレーンゲームが主体だが、昔はモニターに向かってレバーガシャガシャやっていた。もはやマザーボードがダメになると交換機種もないだろうし、そもそもブラウン管のモニターなど作られているのだろうか。
そう考えるとレトロゲームは有形文化財扱いされても良さそうだが。

こちらの卓球場も、コロナの間はお客がいるのを見かけなかった。今では、換気のためか窓を開けて営業中だった。たまたまこの時は客がいなかったが、もう少し遅い時間であれば、なつかしの卓球に興ずる若者たちが集まってくるのだろう。
これも、昭和の化石文化だ。そろそろ新宿区有形文化遺産に認定されても良さそうだが。

その後に、飲食店の跡地に出現した判読不明な看板をあげる不思議店を発見した。簡体字のようなので、大陸系の客向けらしい店だ(たぶん)。東京では新大久保や葛西が外国人の集団居住地域として有名だが、高田馬場もそういう外国コミュニティー地域になってきたということだろう。コロナで母国に帰っていた人たちが、また日本に来ているということらしい。
昔、ニューヨークで見た「カラオケ」というカタカナの看板を思い出した。異国の地で見る母国語は、なかなか吸引力がある。あのニューヨークのびっくり感が高田馬場で再現されているのだろうか。高田馬場を道行く人の中に大陸系の人が多くなっているのは間違いない。この看板を見て(読解して)なんの店であるかはわからない。看板ではわからないが、空いたままの入り口から覗いてみると風俗系ではないようだ。ただ、店の中はかなり雑然としていたのでやはり商売の検討はつかない。

「V○V」はバルタン星人のサインだよねと言いたくなるが、それ系統の店でもないらしい。

しばらく高田馬場を歩いていないせいか、あちこちでお店が新築、改装されていた。オヤジ居酒屋の典型である「蔵元直営店」も、店内がきれいになっていた。おまけに、随分と明るくもなっている。健全な「居酒屋」に変身したようだ。どうも、この通りの先にある一軒目酒場を意識した感じがある。あちらの店はコンビニ並みに明るいので、高田馬場の流行は「店内がまぶしいくらい明るい」ということのようだ。それは、自分にとってもありがたい変化だ。本が読みやすい。

メニューもファミリーレストラン風な立派なものに変わっていた。気になるのは、最近あちこちでサッポロビールの赤星、つまりラガーが復活していることだ。サッポロビールの営業が頑張っているのか、ラガーファンが増えてきたのか。赤星はサッポロ黒生と比べると、若干もたついた感じがするビールだが、そこが良いのかもしれない。アサヒスーパードライやキリン一番搾りで育った世代には、ラガービールはある意味変化球的な存在だし、飲む機会も少なかっただろう。昭和レトロブームのお陰で、おじさんたちはラガービールのお裾分けに預かっているわけだ。

蔵元直営店なので、日本酒のラインナップは立派だしお値段もリーズナブル。一人で飲むには、酒量を調整しながらあれこれ注文できるのが嬉しい。誰かと来る時には、日本酒をパスしてホッピーやハイボールに逃げるのもありだ。

卓上から撤去されていたアレコレも戻ってきた。それでも醤油と唐辛子の最低キットなので、まだコロナ後遺症は残っているのだなあ、とわかってしまう。

以前もメニューにあったような気もするが、食べた記憶のない「カツとじ」を注文してみた。カツ丼のあたまというべき食べ物だろう。味付けがそれなりに濃いので、酒の肴には結構合う。酒を飲む時にトンカツをストレートに食べるのは、あまり向いていないと思う。トンカツ(肉薄め)を、甘めのつゆで卵とじにすると、あれまあ不思議、カツの油っぽさが中和されたせいか、卵の甘さのせいか、酒の肴に大変身だ。カツ丼の頭も好きだが、カツカレーのライス抜きも好きなので、やはりカツは変形調理したものが自分の好みらしい。蕎麦の天抜きもうまいが、このカツとじも好物だ。
全く理屈には合わないが、カツとじは揚げ物料理に対する罪悪感的なものが消えるからだろう。揚げ物が煮物に代わることで綺麗さっぱり返信してしまう。これは心理的な代償規制というべきか、はたまた無意識の言い訳と考えるべきか。
まあ、うまいものはうまいで良いのだと自分に言い聞かせ、次は何を頼もうか考えるのが、居酒屋の楽しみ。高田馬場の街が元気になってきてよかったなあ。

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