街を歩く

札幌シリーズ 夜の光景とザンギ

クリスマスイブなので、綺麗な写真をと思い夜景にしてみた。

駅前通り 薄野方面のイルミネーションが絶好ビューポイント

札幌駅前通は冬になるとライトアップされる。札幌駅から薄野までおおよそ1km弱が鮮やかになるのだが、その距離を歩くほどの元気はない。夏なら問題なく歩いてしまうが、冬は凍える。雪が降れば滑りやすくなる危険な夜道だ。それでも、雪がなければ半分くらいは歩いても良いかなという気になる。今では、歩道の大半がロードヒーティングされ積雪があるのは横断歩道だけだ。ただ、そこが危ない。
冬にはほとんど雪が降らない地に移住してずいぶん経った。ようやく雪のない正月になれたと思ったら、すっかり雪が嫌いになってしまった。それでも雪さえなければ、冬は嫌いではない。

その札幌の冬だが、夏より暑い。最近の猛暑のせいで、流石に夏より暑いとは言い難くなってはきたが、それでも冬の室内気温は27度を超える。政府の電力使用制限などどこの国の話だと言いたくなるほど暑い。これでも、室内設定温度は従来より低めとのことなのだが。
北海道人にとって寒さとは凍死につながるデッドワードだから、冬の室内の寒さは「貧乏」を意味する。あるいは、北海道人としての常識がない「異常」さにつながる。
すっかり関東慣れした体には、この温度こそが「異常」と感じるようになってしまったが、郷に入れば郷に従えで、冬の外出には何枚も重ね着をして室温に合わせた体温調整を図る。だから、冬の居酒屋では、脱いだ服の山が座席を一つ占拠する。コートと、ジャケット、セーター、マフラーなどなどが積み上がるのだ。
だから、当然のように冬のビールは美味い。キンキンに冷えた黒ビールを飲むと、夏よりうまいような気がする。室内の温度が高くなり相対的に湿度が低いせいで、喉はカラカラになる。統計を見てもビ北海道でールの消費量が多いのは1ー2月だ。
ちなみに、7月終わりに開かれる大通公園でのビヤガーデンは、ほぼ7割の確率で低い気温に悩まされ震えながらビールを飲むことになる。夏の屋外ビールはやせ我慢大会になる可能性が高い。だが、冬のビールは、決して震えることはない。だからうまい。断言できる。
もしビールを飲むには寒すぎるような店があれば、その店は確実に潰れる。酒や肴が美味いかどうかの前に、「温かい部屋」は居酒屋を含め北海道における飲食店の絶対条件だからだ。
ビールがうまい季節はアイスクリームも売れる。北海道のアイスクリームのピークは2月と8月になる。ただし、夏に食べるかき氷系のさっぱり味は求められていない。コッテリ濃厚味が冬のアイスの定番だろう。

The ザンギ だったなあ

そして、冬のビールに合うものといえば、これしかない。ザンギだ。ザンギと鳥唐揚げは一体どこが違うのかという問いに、正確に答えられる北海道人はいないと思う。醤油味とニンニク生姜で香り付けしたカリカリ系鳥唐揚げ、というのが自分の持つザンギの定義だが、これをいうと必ずどこからか反論が飛んでくる。
いわく、ザンギ発祥の地〇〇店で食べたのは………から始まり、うちの流儀は〇〇でという我が家が本家主義だったり、俺の育った〇〇地方では………という地方モンロー主義であったりするが、反対意見が10人いれば10種類でてくる始末だ。飲んだ時の話題としては最悪に近い。宗教と政治とザンギの話は飲み屋向きではない。
特に、ザンギのルーツを含め、ザンギの定義にまつわる話は、北海道酒飲み界ではタブーだと思う。だから、百花繚乱的ザンギの正統性には降れずに、この店のザンギは旨い、と断言することにしている。もしまずいと思ったら、その店では二度と注文しないことだ。酒の肴にはザンギ以外にも色々ある。紛争のネタをわざわざ求めてはいけない。
まあ、元・唐揚げ屋としては色々と突っ込みたいこともたまにはあるが、それも黙殺する。鳥唐揚げを単純に楽しむのが、正しい冬の札幌の過ごし方だ。
この店の唐揚げはうまかった。その記憶さえあれば、また食べに行くことにする。札幌駅地下でふらりと入ったビール屋のザンギは、確かにもう一度来る気にさせる美味さだった。

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