
このラーメン屋で初めて入った店は川越にあった。車旅の帰り道でなんとなく看板が目に入ったラーメン屋というだけだったのだが。予想外にうまいラーメンだったので、それから何度か通った。埼玉県内に何軒か支店があるので、自宅近くの店にも行ってみた。そのお気に入りになったラーメン店の支店が自宅近くの街道沿いに開店したのは、今年の夏頃だった。
たまに通る道に何か新しい店が建築中だったのは気がついていたのだが、看板が上がるまでなんの店なのか分からなかった。遠くから見て味噌ラーメンというのはわかったが、例の店だとわかるには店に近づいてみなければならない。通り過ぎるだけでは、なかなかわからなかった。いざ出来上がった店に行ってみると、コロナ対応なのか餃子の無人販売が設定されている。あれこれ考えるものだと感心した。

入り口から店内に入ると、ちょっと暗めの内装で、ラーメン屋というよりバーっぽい感じもする。オシャレ路線のラーメン屋にチャレンジしたかと思ったが、メニューはいつも通りの「ド」がつく「味噌ラーメン」だった。価格表記が税込みに変わったせいで、ちょっと値上げしたようにも見えたが、多分値段は変わっていない。
最近、外食では税込み表記にする店が増えている。おそらく、値上げのタイミングで「えいや!」と、わかりやすい税込み表記に変えているのだろう。流通・小売のインチキ価格表示(?)と比べると、明らかに外食は潔い。

ガツンとくる味噌味がいつも通りだった。この店はトッピングアレンジで、何段階か異なるメニューがあるようにみえるが、基本は味噌と辛味噌ベースなので、その日の腹具合でトッピング量を変えれば良い。夏だろうが、冬だろうが、腹ペコの日に「ガシガシ」と熱い麺をかき込み、額に汗をかくというのがこの店での正しい食べ方だ。最近はメンマ追加の代わりに、野菜マシにすることも多い。体に気を使う歳になったとは言わないが、野菜がうまいと思うことも増えてきたからだ。次は海苔追加にしてみようか。
世の中に元気なラーメン屋が増えると人生は少しだけ楽しくなるのだ。と、満腹になってしみじみ思った。小市民的よろこびはここにある。