旅をする

国境で越前手前の蕎麦

普通に美味しい山菜そば 乗っている山菜は東西同じもののようだ

柴田・羽柴の織田氏後継者争い決戦の場、賤ヶ岳のそばに余呉湖という小さな湖がある。某国営放送のぶらぶら地域を歩き回る番組であれば、「おお。この湖は噴火で琵琶湖から切り離されたカルデラ湖で………」などと言われそうな地形だった。(本当にカルデラ湖かどうかはわからない)
ワカサギ釣りでにぎやかになるところらしく、天女の羽衣伝説もあるようだ。その湖水のほとりに観光施設があり、いわゆるビジターセンターになっている。そこが名城スタンプの設置場所で、こんな機会でなければ一生訪れることもないような観光地だった。確かに名城スタンプの設置場所は、城のそばにはないことも多い。山城の跡のようなところは駐車場もなく歩いて登山するしかない。その登山客の休憩場所、トイレ脇にスタンプが置かれていることもある。
そういうハードなスタンプ場所に行くことは、城に対する地形的理解が深まり、肉体的鍛錬もできるというメリットは「ある」。が、決して望んでそんなことをしたいわけでもない。だからスタンプ設置場所が、それなりの施設(平地)であるとホッとする。歴史博物館やお城資料館のような展示施設に置かれている場合は、できるだけ時間をとって観覧するようにしている。
しかし、中には鳥の巣箱みたいな箱の中に、扉を開けるとスタンプがぽつんと置かれていることもあるので、そんな時は弁当持参でピクニックに行くくらいの気概が必要だ。ここは、土産もの販売所と食堂が併設されている「立派な施設」だった。食堂からは湖の景色も楽しめる。
この湖は越前と近江の国境にあたるが、所属は近江だ。現在は滋賀県長浜市になる。つまり、あの有名な越前そばの場所ではない。だが、気分的にはほぼ越前だし、「うどん」の場所ではないだろうと、山菜そばを注文した。関東の醤油で真っ黒と形容される色濃い蕎麦つゆではなく、透明感のある淡い色の蕎麦つゆは、やはり西国に来たのだなという感じがする。

メニューをみてあれこれ思ったが、まず値段の安さが目立つ。場所が場所だけに、観光地値段でも良さそうなものだが、どうも一般的な食堂と比べて2ー3割安い感じがする。おまけに、注文が入ってから調理する普通の食堂スタイルだった。
メニューの中で興味を引いたのが「おかんのカレー」で、味はなんとなく想像できる。それもどろっとした黄色っぽいカレーではないだろうか。そして150円足すとカツカレーになるのか。そばに追加して「カツそば」を注文したくなる。
興味深いのは、わざわざ『白ごはん』と書いてあることで、ライスではない。白がつくということは、味付きのご飯もあるのかと思うが、それはないみたいだ。
きつねうどん・そばはあるが、たぬきうどん・そばはない。カレーうどんと肉うどんはうどん限定らしい。親子丼、牛丼はあるが、カツ丼はない。しかし、かつ定食はある。
文句をつけるつもりは全くない。おそらく東西食文化の違いが、このメニューに綺麗に現れているなと思っただけだ。
久しぶりにきちんと昼飯を食べたような気がする。美味しい蕎麦をごちそうさまでした、と食堂のおばちゃんに言って店を出た。背中で聞いたのは、お江戸とは違うイントネーションでの「ありがとうございます」の言葉。遠いところに旅して来たのだなという、小さな感動だった。越前そばは、その後にしっかりと食べました。

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