
お城巡りをしていると、時々びっくりするような「あれやこれや」に出会うことがある。丸岡城の駐車場で見つけた「一筆啓上」には、「ああ、あの有名な一文は、このお城の殿様が書いたものだったのか」と気がつかされた。
旅を終えた後であれこれ調べてみると(全くの不勉強ぶりだが)、徳川配下の本多氏が戦場で書いた手紙だそうだ。確かに、簡潔でありながら、お家の大事をもれなく書いている。手紙の手本と言われる意味がよくわかる。

丸岡城はこんもりとした小さな丘の上に立っていた。周りが平野なので、これだけの高さ(30mくらいか)でも、周囲を見渡すには問題ない。城の守りとしては手薄な気もするが、ここも戦国後期に築城され、反乱や諍いが制圧された後の城なので、やはり穏やかな時代における治世の拠点ということだったのだろう。

城としてはおとなしい部類だ。百名城に選ばれたのはお城の見栄えというより、この一筆啓上手紙が重要なポイントだったのではなどと思う。

しかし、今や日本全国どこに行っても、それもお城巡りで、ご当地キャラというかお城キャラがいるのにはびっくりする。戦国時代の武将を題材にしたゲームでイケメン武将が大量出現したので、それぞれの居城に「イケメンキャラ」がいるのは理解できる。
ただ、有力武将、著名武将がいない場合は、おとぼけ気味のユニークキャラがいるようだ。この丸岡城も、本多のお殿様キャラではなく、「城丸くん」はどんなキャラなのかちょっと興味がある。目元の赤ともみあげを見ると、随分と歌舞いたモデルがいるようだが。

駐車場の脇には茶屋があり、観光客向けに食堂もある。昼飯を食べようと中に入ってみたら、食堂というより蕎麦屋だった。それも、注文を受けてから蕎麦を茹でる本格派のようで、良い意味で驚いた。
当然ながら、出てくる蕎麦は正統越前そばだった。カウンターで受け取るセルフ方式だが、そんなことは問題ない。そう思わせる仕立ての蕎麦で、大盛りにしておけばよかったかなと食べ終わってから思った。
カウンターで食券を置くときに、普通盛りで良いですか、と念を押された意味がよくわかった。蕎麦つゆと蕎麦の強さがよくあっている上に、大根おろしがうまさを引き立てる。越前そば旨しだ、まだまだ勉強が足りんなあ、というのが丸岡城での最大の感想だった。城を見に来て食べ物を知るというのも、アレレという気もするが。いや、城巡りで学ぶことは多い。