街を歩く, 旅をする

金沢で夜の散歩 都会の楽しみ

金沢駅の駅前改良工事が終わっていた。完成後の駅前広場は「都市美」というか「機能美」に溢れている空間に変わっていた。駅に向かう歩行者の散らばり具合が、都市としてちょうど良い。適度に賑やかな感じがする。東京のターミナル駅で見る、レミングの群れが暴走しているような猛々しさはない。
人という生物の生理的感覚として、大都市駅の密度はやはり異常というか、気に入らない空間なのだと思う。三密などというゲスな言葉とは無縁な、近代都市空間とはこういうものだと言っている気がする。

金沢駅西側はすっかりホテルとオフィスビルの街に変わっていた。不思議なことに金沢の人口を考えると、この街の賑わいは他の中規模都市、特に県庁所在地を凌駕している。賑わいだけを見ると、ほとんど政令指定都市のレベルではないだろうか。
いや、人口100万人を切る小型政令指定都市と比べてみても、金沢の方が賑わい度で上のような気がする。やはり、加賀百万石の威光というか名残というか、文化と観光の街として格の違いがある。

その影響を受けて駅ビルのなかも夜遅くまで営業しているお店が増えた。たまたま見つけた閉店時間間近のパン屋で面白そうなメロンパン?を見つけた。バナナと胡麻という組み合わせは見かけた記憶がない。おまけに好物のメロンパンなので、ついつい誘惑に負けて一つお試し買いをすることにした。
味は、バナナが強く胡麻はほんのりな感じだった。メロンパンの味は表面のビスケット生地で決まるものだと思い込んでいたが、この胡麻バナナメロンパンは、中のクリームが味の決め手だった。うーん、実に美味い。

閉店間際でもこれだけ並んでいるのは、売れ残っているのではなく、人気なので売り切ってしまうのだと思う。後で写真を見返していて気がついた。このパンはメロンパンではないのだな。どこにも「メロン」の文字は書いていなかった。見た目での思い込み……………おいしければ良いのだよ。

そのメロンパンもどきを買う時、もう一つ気になってしまったのが「加賀棒ほうじ茶デニッシュ」だった。加賀棒茶というものは、金沢名物として聞いている。お茶に詳しいとはいえないが、金沢で飲ませてもらった棒茶は美味しいものだった記憶もある。
しかし、一番惹かれたのはきな粉がかかっていることだった。揚げパンのきな粉がけは好物だ。シンプルなきな粉の味が好きなのだが、安倍川餅や信玄餅のようなきな粉まみれのお菓子も好んで食べる。

加賀棒茶よりもきな粉に引っかかったというのが正直なところだが、このパンの中身に入っているお茶クリームは上品な感じがして気に入った。パンというよりデザートに近い。お茶を使ったクリームは抹茶だけかと思っていたが、ほうじ茶で仕立てるあたりは、やはり金沢の味覚文化なのかもしれない。
夜の街をフラフラと歩き回っていると、こういう美味しい場面に出会うことも多い。適度な都会の賑わいが感じられる金沢は、さぞかし住みやすい街なのだろうなあ。
あの冬の曇り空は好きになれないんだけどね。

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