駅弁

加賀百万石で駅弁

駅弁とコンビニ弁当を同列に語ってはいけない、といつも思う。駅弁、特に幕内系のおかずいろいろ盛りだくさん弁当を、コンビニ幕内弁当と比べるのは失礼だという気がする。幕内駅弁に近しいものとは、やはり歌舞伎観劇の時に幕間で楽しむ真正・幕の内弁当ではないか。
あるいは和食惣菜店のちょっとお高い幕の内弁当(松花堂弁当などという懐石系の弁当も含む)でも良い。ただ、最近の駅弁の傾向として、ヒット商品は「一芸達成型」が多い。牛肉が一面に載っている焼き肉系や、イクラとサーモンが全面に敷き詰められている海鮮系が駅弁ランキングにトップを占めている。幕の内弁当は旗色が悪い。しかしだ、自分の好きなのはゴージャスな幕内であるのも間違いない。米沢の「牛肉ど真ん中」も好きだが、弘前の「津軽のうまいもん」とか、京都駅で買った「近畿味巡り」みたいなちまちまおかずたっぷり弁当が好物なのだ。
確かに、駅弁とは冷めた時にうまく食べる工夫がされている弁当だ。コンビニ弁当のようなレンジアップを前提とした弁当とは、そもそも料理法や味付けからして異なる。別の種類の食べ物と言って良い。
冷めた白飯をおいしく食べるには、濃い味付けの肉や魚を白飯と一緒にかき込むスタイルが正しい。それはわかる。ただ、駅弁の楽しみ方として(最近はちょっと難しい感もあるが)、車窓の光景を眺めながら、幕内弁当のような「ちまちましたおかず」を肴に一杯やる、という古典的な旅のお作法があるではないか。それが肉だけ弁当だと、あるいはいくらだけ弁当だと、ちょっと辛い。

駅弁で美の極み

そういう旅を満喫する名脇役として、この加賀「百万石弁当」はパーフェクトだ。上段中段にならぶ6種のおかずは、ほぼ完全に酒のつまみだった。右上段に入っているあんころ餅がデザート的に見えるが、酒の肴の箸休めとしては秀逸すぎる。
崎陽軒のシウマイ弁当に入っている杏のようなものだ。駅弁に入っている甘いものは、小ぶりで一口サイズだ。どの駅弁でも似たようなものになっている。駅弁界の並行進化というか収斂進化というか。「駅弁甘味の法則」と言いたいくらいだ。このあんころ餅もサイズ、味共に実に納得できる。
下段には三種類の飯グループがそれぞれ独自な主張をしている。炊き込みご飯、押し寿司、そして梅干白飯と米ですらバラエティーを楽しませる。作り手の哲学、味のエンタテイメント性重視がよくわかる。
まさに美食の国、加賀の駅弁だ。感服した。と思っていたら、これより売り上げランキングが上の幕内系駅弁を発見してしまった。なんと「朝倉氏」にちなんだもので、これは金沢駅弁ではなく福井駅弁では?とも思ったので、今回はパスした。が、次回は是非にも金沢駅ナンバーワン駅弁に挑戦してみたい。

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