
年末のニュースなどで見かける「〇〇市民の台所」と言われる市場が好きで、時間があれば立ち寄ることにしている。スーパーに取って代わられて久しい業態だが、地場の魚や野菜が並んでいるのをみて歩くのは楽しい。今回の秋田では、今まで行ったことがなかった市民市場をなんとしても見に行こうと思っていた。
ただ、行く前から恐れていたこと、あちこちの市場で起きていることが、やはりここでも起きていた。お店が歯抜け状態になっている。感覚的には1/3が空き家になっている。県庁がある町でこうなのだから、地方都市で市場がなくなってしまうのは時代の流れと諦めるしかないのだろう。(実際に弘前では小ぶりな市場が消滅していた)

秋田駅から歩いて15分くらいで、夜の繁華街「川反通り」に着く。ここはだいぶ昔に官官接待疑惑で大騒ぎになり、以降「官僚」接待が反社会的な行為扱いされ、全国の県庁所在地で飲み屋が大量に潰れていくきっかけとなったと記憶している。
秋田には何度も来ているのだが、不思議と夜の繁華街に来たことがなかった。新幹線が開通してから、北東北はちょっと無理すれば首都圏から日帰り可能になってしまったこともある。秋田で仕事をした後、青森や盛岡に移動して一泊するパターンが増えたせいもある。

街は名前の通り、川沿いに伸びていた。これはなかなかの風情がある。秋田のお城直下の場所なので、江戸時代から続く賑やかな場所だったのだろうことは簡単に推測できる。まさしく城下町の花形だったはずだ。盛岡はお城から駅が離れているが、秋田は駅が近い。同じ北東北でも西と東では街の作り方がちょっと違っているようだ。

その繁華街のメインストリートではないかと思う通りを歩いて気がついた。両脇に並ぶ店が少ない。廃業してしまったところも多いようだ。おまけに、コロナの後だけに、閉店に追い討ちがかかった感じもする。

通りの両脇を眺めながら一往復してみた。外観が賑やかな感じがしたのは、秋田名物が並ぶ居酒屋ではなく、どかーんと肉を食わせる店のようだった。秋田は日本酒と魚と勝手に思い込んでいたが、今や「肉の時代」だしな………
と改めて納得した。
接待というビジネスツールが過去の風習となる時代だから、夜の飲食店も「自分の金で自分の食いたいものを食う」という当たり前に戻ってきた。そんなことかもしれない。
秋田の老舗料亭というやつを探してみたのだが、事前に調べてもいなかったので全く見つけられなかった。まあ、料亭の時代でもないし。そういえば、東京赤坂あたりの料亭は、今はどうなっているのだろう。学習効果の足りない国会議員だから、またゾロゾロ集まっているのだろうか。