
秋田で夜の繁華街「川反通り」をぶらついてみた。すずらん通りとゲートに書かれているあたりが、飲み屋街のランドマークだと思うのだが、確信があるわけではない。広い通りから横に入ってくる形なので、そうではないかなと思った。

そのすずらん通りの入り口にひときわ明るい看板の店があった。焼き鳥屋のようで、外から覗いてみると比較的若い客が多い。コンビニ的な明るさだなと感心した。周りの店が実にシックというか、外観が暗いので余計に目立つ。
夜の繁華街はこういう「店外看板」で道が明るくなるものだが、秋田の街は例外のようで道が暗い。秋田スタイルは店外を明るくしないのかと思ったが、街を歩き回ると単純に店が開いていない(休業、休み、閉店)だけのようだった。
県庁所在地の賑わいがない、という気がする。ただ、駅前にホテルが多くあり旅行者向けには駅前周辺の方が使い勝手が良い。おそらく飲食店は駅前周辺に引っ越しているのだ。

そんなことを考えながら薄暗い通りを駅前方向に歩いていくと、不思議な惣菜屋があった。どうやら、洋風居酒屋の端っこをテイクアウトコーナーに変えて、惣菜販売をしているらしい。中を覗いてみたら、店内はつながっていた。
なるほど、コロナでのテイクアウト対応をしっかりとやるとこうなるのかと気がついた。秋田では冬の雪を考えると、店頭にテーブルを置いて販売するなどの、なんちゃってテイクアウトでは無理だろうなと思う。しかし、この人通りの少なさで商売は大丈夫だろうかと、他人事ながら心配になる。腹に隙間があれば、何品かは買ってみても良いのだが………満腹だったので、ごめんなさい。

その近くにクレープのテイクアウトの店があった。夜にクレープなのか? ちょっと不思議に思い近づいてみたら、そこはなんと「ステーキ屋」というか「肉レストラン」だった。これも、なんとも不思議な対応だ。最初はテイクアウトで「ステーキ丼」とか「焼き肉弁当」とか売っていたのかな。それが売上の低迷か、店主の好みかはわからないが、全く違うカテゴリーで甘いもの、クレープをテイクアウト商品に選んだのかな。ステーキを焼く技術があればクレープも上手に焼けるのかな。などあれこれと勘ぐってしまった。
これは秋田だけの現象ではなく、おそらく日本全国の中小都市で起きていることだろう。廃業するにも廃業できない苦肉の策。経済学的には採算が合わない業種は潰れて、次の新業態に置き換わった方が良いのだろうが、現実的には潰してなるものかと踏ん張る人たちは多い。こういう光景を見て、行政は何を考えているのだろうか。何も見ていないし、考えてもいないような気がした「秋田の夜」でありますよ。